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Special

特集

TPP/脱グローバリゼーション




メガFTA動き出す 農と食にどんな影響が出てくるか  
 新型コロナウイルスの蔓延はグローバルに広がる人と物の移動がもつもろさを見せつけましたが、依然として国境を越えての経済の自由化は進む一方です。日本では最も新しいところで日米貿易協定が2020年1月から動き出しています。それに先立ちEUとの経済連携協定(EPA)、TPP(環太平洋経済連携協定、米国を除く11カ国)が動き出し、現在ASEAN(東南アジア諸国連合)、中国、韓国、インド、オーストラリアなど16カ国が参加するRCEPの交渉が進んでいます。こうした動きが人びとの日常に何をもたらすのか、生活に直結する食の問題を軸に追ってみました。(大野和興)(2020/03/08)


今国会での強引な批准をめざす日米貿易協定  その本質と問題点を探る
 いま国会で審議中の日米貿易協定。いったいどこが問題で、この協定のもとで何が起こるのか、といった肝心のことはほとんど見えてこない。80年代以降の世界をつくってきたグローバリゼーションの流れは多国間協定を軸に進められてきた。それがここへきてなぜ二国間貿易協定なのか。それはいかなる意味を持っているのか、もわからない。(大野和興)(2019/11/13)


ファーウェイ 貿易戦争のしわ寄せは労働者に
 ファーウェイですが、5月24日の東京新聞がわかりやすい解説を掲載しています。ファーウェイはこの事態を見越して、昨年から在庫を買い増していたので、ファーウェイに部品提供していた日本企業も、その分の儲けがあるので、すぐには減益にはならないと思いますが、影響は大きいかと思います。ファーウェイは米企業に頼らないように独自で技術開発を急いでいますが、会長の任氏いわく、制裁はもう少し先になるかと思っており、開発の速度が間に合わない、ということを漏らしているようです。(稲垣豊)(2019/05/24)


安倍政権のウソとごまかしで始まる日米FTA交渉 先にあるのは米国主導のブロック経済圏形成
 実質的な日米FTA(自由貿易協定となる日米交渉が動き出した。その一方で米国が抜けたあとのTPP合意11カ国によるTPP11が、年末に発効する段取りとなった。そうした動きを包み込んで、この30年ばかり、世界の揺れ動かし、それなりの秩序を作り上げてきたいてグローバリゼーションに狂いが生じてきている。米国と中国が報復関税合戦の貿易戦争に突入、世界の経済を揺るがす事態になっている。この先をどう読むのか、ここでは日米FTA交渉に視点を据えながら考えてみる。(大野和興)(2018/11/29)


日米物品交渉なる官製フェイクについて 小倉利丸
 9月26日の日米会談で発表された日本政府のいう日米物品交渉については、その日本政府訳が怪しいという報道を数日前に東京新聞が報じ、その後、米国はこれをFTAと認識し、日本政府はFTAとは別ものの協定だと主張して、双方国内ナショナリズムに配慮した化かし合い合戦が起きています。(2018/10/07)


【TPPから見える風景】ご都合主義の政府と対策頼みの農協??− 何とも既視感のある風景  近藤康男
 6月29日(金)参院本会議でTPP11(CPTPP)関連法案が可決され、この後政令・省令が決定されれば、各国に外交文書で通知、日本としての手続きは完了する。(2018/07/10)


新たな段階に入ったグローバリゼーション  混迷の中で始まった“大逆転” 
 トランプが仕掛け、世界貿易戦争が始まった。3月23日、トランプ米大統領は主として中国と日本を対象に鉄鋼とアルミの輸入制限を発動、日本は泣き寝入りだが中国は報復関税だ全面対決の様相。トランプは中国に対しさらに知的所有権侵害で追い打ちをかけた。世界1位と2位が対立、そこにロシアも加わる。その一方で、TPP(アジア太平洋経済連携協定)を米国が抜けた後、残り11カ国で進めたきた「TPP11」は3月8日にチリで署名式が行われた。ここに中国が進める「一帯一路」と名付けられた巨大経済圏づくりが重なる。さらには世界で最初の多国間自由貿易協定であるNAFTA(北米自由貿易協定)の見直しもからまり、この先どのような世界の経済秩序が見通せるのか、予測がつかない状況が生まれている。その背後で何が起こっているかを考えた。(大野和興)(2018/03/25)


「TPP11」、チリで署名式  日本消費者連盟が反対声明
 米国抜きの11カ国が参加する「TPP(環太平洋経済連携協定)の協議がまとまり、3月8日(日本時間9日未明)に参加各国が集まり署名式が行われた。各国は今後それぞれの国内手続きによって批准を進める。日本政府は今国会で批准をしたいとしている。これに対し、消費者団体である日本消費者連盟が、同協定は人々の平和に生きる権利を脅かすとして反対声明を出した。(大野和興)(2018/03/09)


グリーンピースが日欧EPA交渉文書をリーク  EUの環境保護にとって重大な懸念となると警告
 グリーンピースは6月23日、グリーンピース・オランダが入手した日本とEUとの経済連携協定(日欧EPA)関連の文書を公開したと発表した。公開された文書は、2016年後半から2017年初頭にかけてのもので205ページに及ぶ。(有機農業ニュースクリップ)(2017/06/24)


グローバル化(貿易の完全自由化)の是非 人類の将来見据えた議論を 落合栄一郎
  トランプ氏の出現で、「保護貿易主義」的な動きが活発化しているようです。この紙上でも、そうした問題の連続講座の知らせ(http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201704111542002)が載っています。およそ7年前に、小生もこの問題を簡単に議論しましたので、それも参考になるかと思い、再掲載します。(http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201012081043433)(2017/04/14)


【連続講座】トランプ登場後の世界とグローバリゼーションのゆくえ
 グローバリゼーションが行き着いた果て、世界は混乱し、人々は分断され、矛盾は深まっています。人々の暮らしを支えてきた地域は壊れ、分断と葛藤が深まっています。その矛盾のはざまから自国第一主義を掲げたトランプが米大統領として登場、ヨーロッパ世界では移民排斥を掲げた政党が勢力を伸ばしています。共通しているのは排外主義、自国第一主義と反グローバリゼーションです。市民運動組織「TPPに反対する人々の運動」はこうした状況をどう読み解き、これからを展望するか、を話し合う連続興講座を開催します。お出かけください。(大野和興)(2017/04/11)


『保護貿易 vs. 自由貿易』ではなく『公正に基づいた貿易』 池住義憲
 3月17〜18日ドイツで開催された財務省・中央銀行総裁会議(G20)は、これまで堅持してきた「保護主義に対抗する」という文言を声明から削除。貿易体制そのものが揺れ動き始めています。G20が終わるやいなや、安倍首相は、EU加盟主要国ドイツ、フランス、イタリヤ、ベルギーを歴訪。自由貿易推進の重要性を説いて回っています。(本文から)(2017/03/22)


トランプのアメリカ  ラストベルトは80年代、中西部農業地帯で始まった  大野和興
 アメリカの農業業界はこれから始まる日米FTA交渉に大きな期待を寄せている。首脳会談で決まった日米経済対話は四月のベンツ副大統領の来日を待って始まる。交易分野の対話は実質的な日米FTA(自由貿易交渉)となるが、そこでのアメリカの目論見は、対日貿易赤字の半減と農産物対日輸出額の倍増であるという話が伝わってきている。いずれにしても、農業が大きなイシューであることはまちがいない。では、アメリカ農業とは何者なのか。いくつかの風景を切り取ってみた(2017/03/19)


「防衛」での貸しは「経済」で返してもらう 安倍首相は尖閣と農業を取引した 大野和興
 トランプ米大統領は就任早々の二〇一七年一月二〇日、公約通りTPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱とNAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉を表明した。その後の安倍・トランプの日米首脳会談で日米経済対話の開始が合意され、実質的な日米FTA(自由貿易協定)交渉が、早ければこの四月から動き出すことになる。日米が二国間交渉を始めるにあたって、米国のコメや畜産の生産者組織は早くも未完に終わったTPP交渉の到達点を上回る日本の市場開放をトランプ政権に要求している。問題はなぜ安倍政権がなんの抵抗もなく、トランプ大統領の意向を受け入れたのか、ということである。(2017/03/01)


TPP亡き後の自由貿易交渉はどうなるか 日欧、東西アジア太平洋を結ぶメガFTAを中心に考える
 トランプ米大統領の出現で、TPP(環太平洋経済連携協定)は破たんした。トランプの米国は「アメリカ・ファースト」を掲げ、保護への傾斜を強めている。対外的な通商政策は、多国間ではなくアメリカの強さを直接反映できる二国間交渉で行う方向を打ち出している。日米FTA(自由貿易協定)に安倍政権も舵を切り始めた。その中で今、国内では改めて日欧EPA(経済連携協定)とRCEP(東アジア地域包括的経済連携)が注目を集めている。それはいったいどういうものか、そこでは何が進もうとしているのか、まとめてみた。(大野和興)(2017/02/18)


「米国のTPP永久離脱を受けて」   池住義憲
 去る1月23日、トランプ米大統領は、環太平洋経済連携協定(TPP)署名国からの離脱、およびTPP交渉から永久に離脱する大統領令に署名。同30日、TPP事務局の役割を果たしているニュージーランドに書簡を送付して、正式に通告しました。TPPは米国が批准しなければ発効せず、昨年2月4日に日本を含む12ヵ国が署名したTPPの発効は、これで不可能になりました。(2017/02/02)


TPPは終わっていない、「TPPの亡霊」が彷徨っている ――  若槻武行
  すでに何度か書いてきたが、TPPは終わっていない。「TPPはもうなくなった」とか「アメリカは完全に離脱した」などと楽観視する声が多く聞かれるが、それは間違いと言えよう。(2016/12/25)


死に体になったTPP  それぞれの事情と今後  大野和興
 次期期米国大統領に選ばれたトランプ氏は、公約通り、2017年1月20日の大統領就任初日に「TPP(環太平洋経済連携協定)の離脱を表明する」と言明した。TPPの発効は参加12カ国間の取り決めで、12カ国のGDP(国内総生産)の総計の85%以上を占める6カ国が手続きを終えなければ前に進めないことになっているので、米国が離脱すればTPPは成り立たないことになる。(米国は12カ国GDPの60・4%を占める)。このことが何を意味するのか、これからどういう道筋をたどるのかを考えてみた。(2016/12/20)


【西サハラ最新情報】  この師走、世界で一番走ってるパンさん  平田伊都子
 師走は誰もかれもせわしないです。 なかでもパン・ギムン国連事務総長は、今年いっぱいで任期が終わるため、<さよなら会>と<ありがとう会>、そしてほったらかした約束への催促状などが、雪崩のように押し寄せています。 そのうえ、母国韓国では盟友の大統領が弾劾されるし、アメリカとぐるになって応援してきたシリア反政府軍はアサド政府軍に投降するし、、立つパン鳥は跡をドロドロに濁したまま、ニューヨークの空から飛び立っていくのでしょうか?(2016/12/16)


We stopped TPP  TPP阻止をたたかってきた国際運動の勝利ビデオ
 TPP(環太平洋経済連携協定)とその関連法案は12月9日、参議院本会議で可決、成立した。来年1月の就任するドナルド米次期大統領は就任早々にTPPから離脱することを表明しており、TPPは完全に死に体になったなかでの強引な可決だった。TPP反対を掲げて運動を続けてきている国際的な民衆運動は「We stopped TPP」を掲げた短いビデオを発表、「これからもいかなる自由貿易も許さない」とのメッセージを発した。(大野和興)(2016/12/10)


日本国民であることが恥ずかしいような… 反TPP…思いつくままに  若槻武行
 衆院TPP特別委員会の審議は、あきれるばかりだ。野党の質問は事前に通告してあっても、大臣らの答弁は実に無内容で、問題のはぐらかし、繰返し、時間稼ぎ……。見聞に堪えない(この欄で書くほどの内容がない)。(2016/10/26)


行き詰まる新自由主義と“もうひとつ”の世界
 戦後世界を形成していた枠組みが崩れ、新自由主義に基づくグローバル化に時代に入って30年は経つ。東西冷戦が解消し、グロ―バリゼーションの新しい国際的な枠組み・秩序がつくられると誰もが期待したが、そうはならなかった。逆に今、世界は混乱のただ中にある。人びとを豊かにすると考えられてきた市場経済と成長至上主義が逆に中間層の崩壊と貧困の拡大を招いた。それは、長年積み上げられてきた民主主義とそれに基づく近代政治システムを崩し、ナショナリズムと排外主義の横行、「テロリズム」の拡大をもたらした。(大野和興)(2016/10/24)


ハリケーンに襲われたハイチ  グローバリズムで主要穀物のコメの農業が打撃を受けていた  「マイアミライス」の大量流入とビル・クリントン元大統領の謝罪
今月、ハリケーン「マシュー」に襲われ、救援活動が行われているハイチ。そのハイチでは1980年代から加速したグローバル化によって主要穀物のコメの農業が打撃を受けており、今日に至っても未だにその影響があると「ハイチ移民を支えるハイチ女性の会」事務局長のNINAJ RAOULさんが「デモクラシー・ナウ!」で話しています。自然災害の被害だけでなく、ハイチの貧困の足元には脆弱になった農業事情と食の構造がある、と告発しているのです。(2016/10/12)


あの大富豪兄弟が自由貿易推進のため新たな草の根運動を展開  コーク兄弟VSトランプ候補
  今日のニューヨークタイムズ国際版には興味深い記事が出ていました。今、揺れている大統領選挙との絡みで、アメリカの大富豪コーク兄弟が新たな政治運動を展開しているというものです。今年の大統領選は波乱に富んでおり、たとえば共和党ではTPPも含めて一切の自由貿易を批判するドナルド・トランプ候補が指名されました。これは自由貿易を推進してきた共和党では異例の事態です。そうした文脈の中で、危機感を抱いた大富豪のコーク兄弟(共和党支持者)はトランプ以後を視野に入れた長期的な自由貿易推進のための草の根運動を始めたというのです。(2016/09/08)


【行き詰まる新自由主義】大統領選にみるアメリカの矛盾  政治統治機構も国是の自由貿易も内から壊れ始めた  大野和興
 アメリカの大統領選は民主党クリントンと共和党トランプの間で争われることになった。今回のアメリカ大統領選は、これまでにないおもしろさに満ちている。当初泡沫候補扱いだったドナルド・トランプが共和党候補にまで上り詰める過程、民主党でクリントンに決まる過程で巻き起こったもう一人の候補者バーニー・サンダースをめぐる熱狂をみていると、アメリカだけでなく民主主義国といわれている国家の民主主義政治制度の要に位置する政党というシステムが壊れかけているということを痛感する。(2016/08/21)


【行き詰まる新自由主義】イギリスのEU離脱が意味するもの  大野和興
 イギリスのEU離脱については、いろんな見方がある。懐かしの大英帝国への郷愁説からイギリスナショナリズムの発現説、移民問題の飛び火警戒説などなどさまざまだ。国民投票の結果、離脱が決まったとたんに、それを批判する言説がメディアを踊った。(2016/08/13)


【行き詰まる新自由主義】あまりの存在の軽さを見せつけたG7の結末  大野和興
 世界が壊れかけている。民族大移動ともいえる移民の群れ、頻発する「テロ」とクーデター、その背後で広がる貧困、近代政治システムの要ともいえる政党の崩壊、先進諸国を覆う極右排外主義。時代の兆しのいくつかを、ランダムに追ってみる。手始めは、いささか旧聞に属するが、5月に日本で行われた伊勢志摩G7サミットから。(2016/08/07)


アメリカ議会のTPP批准か否決かを決める投票はいつ?  市民団体が危惧する米大統領選直後の「特別な時期」 (レイムダック)の議員たちの投票を検討するTPP賛成派
  TPP(環太平洋パートナーシップ協定、あるいは環太平洋経済連携協定)の明暗の鍵を握るのがアメリカ議会での批准の投票です。すでに協定に署名こそしているものの、議会の承認がなければ発効しえないのです。そもそもTPPを今のような巨大なものにスケールアップした推進力は米国であり、その意味では米議会での批准投票はTPPの明暗を握っていると言えます。さて、昨年10月にアメリカのアトランタで大筋合意に至ったTPPですが、以外にも共和党の大統領候補のドラルド・トランプ氏も、民主党候補のヒラリー・クリントン候補もTPPに反対の表明を掲げたことでTPPを進めてきた日本の関係者を驚かせたことは記憶に新しいところです。新しい大統領にどちらがなったとしてもTPPに反対の立場であり、TPPから米国が撤退するか、あるいは協議をやり直すか、いずれにしても新大統領が口を出してくると大きな波乱があることは間違いありません。(2016/06/14)


TAFTA(大西洋自由貿易圏)およびTTIP=(欧州版TPP)を論じるパリの市民TV局 市民の機材持ち寄りとボランティアで公共の広場に設立 今論じるべきことを情報操作なく論じる
パリの共和国広場で続いている夜の市民の討論運動Nuitdebout( (2016/06/04)


TPPは社会と経済の仕組み方、人と自然の関係を変える 大野和興
 TPPを考える場合、個々の条文の精査も大事だが、視野を広げてこの社会のありようをどう変えてしまうのか、想像力を働かせてみることも必要なのではないかと常々思っている。一応農業記者なので、農業を例にそのことを考えてみた。(2016/06/02)


前のめりは日本政府だけ、大丈夫かTPP? 山あり谷ありのTPP魑魅魍魎
 昨年10月5日の“大筋合意”を境に日本政府はググッと前のめりになり、TPP対策の大合唱を始めた。通常国会が始まると“ウソつかない、TPP断固反対の自民党”と共に、6月1日通常国会閉会までにTPP承認案と関連11法改正を通すべく選挙対策まで始めている。自民党では、党議拘束が怖くて声を潜めている、内心TPP反対の220余名の“「TPP参加の即時撤回を求める会」改め「国益を守り抜く会」”の議員まで各選挙区で農協・農家を集めて今迄の対策に色を付けただけのTPP対策を説明し、「今でないとこんな対策費は付かない」と脅迫に暇が無い。新聞報道、世論の雰囲気も“TPPは終わった”かのようだ。(近藤康男)(2016/03/13)


米大統領選とTPP ヒラリー・クリントン候補のTPP反対表明の波紋 TPP再交渉の可能性も
 紆余曲折を経て、昨年10月に大筋合意を取り付けたTPP(環太平洋経済連携協定)だが、今、三度、逆風が吹いている。日本側では担当大臣だった甘利明経済再生担当大臣がスキャンダルの責任をとって辞職したばかり。一方、舵を握る米国でも、オバマ政権の後継となる可能性を持つヒラリー・クリントン候補や、ヒラリー候補を追うバーニー・サンダース候補らがTPPに反対していることである。(2016/02/02)


≪つながれアジア! 葬れTPP! 1.30国際シンポジウム東京≫ご案内
  ニュージーランドからは先住民族マウイの活動家で、国際的に活動するアーティスト、モアナ・マニアポトさん。マレーシアからは自由貿易協定とマレ−シアへの政治、社会経済的影響を中心に報道するジャーナリストのファウワズ・アブドゥル・アズィズさん、韓国からはノ・ムヒョン元大統領の首席秘書官を務め、韓米FTAに反対して辞任、現在は社会的経済推進の活動を国際的に展開するチョン・テイン(鄭 泰仁)さんをお招きします。主催は市民団体「TPPに反対する人々の運動」です。(大野和興)(2016/01/01)


TPPはこの列島の“農業の形”を破壊する 大野和興
 TPP(環太平洋経済戦略協定)閣僚会議は、10月5日、「TPP交渉は大筋合意に達した」と発表した。日本政府はこの「大筋合意」の推進役を果たしたと日本のマスメディアは伝えている。11月5日に安倍内閣は大筋合意の概要」なる日本語訳の文書を公表した。しかし、それは膨大な交渉内容のわずかでしかなく、全容は市民に隠されたままだ。だが、政府はこれのよってTPP交渉の内容を情報公開したとしている。TPP参加12カ国は国内でこの「合意」を受け入れ、TPPが発効するのかどうか、そうだとしても最終的にどのような条約が整うのか、今後の手順がどのように運ぶのか、何もわからないのが現段階だが、日本ではすでに条約が成立したかのような空気が安倍内閣によって作られ、マスメディアも同調して、論議はTPP発効後の「対策」に移っている。TPPの既成事実化が進行しているのである。(2015/12/26)


【TPPへの視角その2】 憲法からTPPを検証する 大野和興
 TPP(環太平洋経済戦略協定)が「大筋合意」したとして、政府は説明会を各地で開催、自民党と一緒になって事後対策づくりに乗り出している。TPP参加12カ国の間で最終的にどのような条約が整うのか、今後の手順がどのように運ぶのか、TPPが発効するかどうか、何もわからないのが現段階だが、日本ではすでに条約が成立したかのような空気が安倍内閣によって作られ、マスメディアも同調して、TPPが既成事実化が進行している。11月5日に安倍内閣は大筋合意の概要」なる日本語訳の文書を公表した。政府はこれのよってTPP交渉の内容を情報公開したとしている。しかし、それは膨大な交渉内容のわずかでしかなく、全容は市民に隠されたままだ。(2015/12/06)


TPPで何が起こるか 牛がいなくなるとチョウチも消える
 TPP(環太平洋経済連携協定)の大筋合意を受け、政府は“強い農業”“攻めの農業”をつくるための大規模化を、と大合唱です。それは農と食の現場に何をもたらすか、農業生産、食の安全、環境にまで視点を広げて考えてみます。(大野和興)(2015/11/12)


医薬品特許は健康に悪い TPPが進める生物製剤データ保護期間延長は何をもたらすか
 TPP(環太平洋経済連携協定)は現在、最後の交渉過程に入っている。10月初めにまとまったとされる「大筋合意」によれば、生物製剤のデータ保護期間、つまり特許期間が、新興・途上国や「国境なき医師団」など弱者のための医療行為に携わる組織が主張していた5年から実質8年に延長されることになったとされている。このことは何を意味するか。「生命に特許はいらない!キャンペーン」ニュースレターは、米国におけるいくつかの裁判例をもとに、特許保護期間の延長は市場独占となって製薬資本に莫大な利益を保証するだけでなく、「医薬品の効能が、謳われている内容よりも低い可能性があることや、ときには有害でさえあることを示すデータを、隠そうとするインセンティブも働く」としている。医薬品特許は人びとの健康を損ねてしまうという指摘である。(大野和興)(2015/10/24)


【TPPへの視角その1】三農問題という視点 大野和興
 TPP交渉の大筋合意を受けて、政府や経済界、エコノミストと称する人たちは、「強い農業」「攻めの農業」「大規模農業」「農業は輸出で活路」「いまこの農業のビジネスチャンス」と騒がしいこと、この上ない。これまで数十年、聞かされてきたお題目で、その結果が今の農民の高齢化だったり耕作放棄だったり、といった反省はまるでない。(2015/10/12)


市民団体の抗議声明に見るTPP大筋合意の問題点
 TPP交渉の大筋合意に対し、TPP反対の運動に取り組んできたさまざまの運動グループが次々と抗議声明を出した。それらの声明は今回の大筋合意なるものに鋭い批判を行っている。そしてTPP反対の運動をより一層強く展開するとしている。以下、さまざまの論点からの「大筋合意」批判を紹介する。(大野和興)(2015/10/09)


TPP交渉大筋合意 反対運動は国会での批准阻止を狙う
 TPP(環太平洋経済連携協定)交渉を続けている12カ国の間で10月5日、大筋合意が成立した。米国・アトランタで開催されていた閣僚会合でまとまったものだ。合意を受け安倍首相は「日本のみならずアジア太平洋の未来のとって大きな成果」と手放しの喜びよう。マスメディアも「世界最大の自由貿易圏の誕生」とはやし立て、「成果」を持ち上げる報道に終始した。一方、TPPに反対してきている生活者や農民グループ、市民グループは相次いで大筋合意に対する抗議声明を発表、今後は国会における批准阻止に焦点をあさせ、運動を強めていくとしている。また、TPP交渉に参加している米国やオ―ストラリア、ニュージーランドなどでは、TPPに反対する市民運動が大きく広がっており、各国とも今後は自国の国会に対する批准阻止運動に力を入れることになる。日本の市民運動は国内での運動と同時にTPP阻止の国際的な連携を一層強めていく方針だ。(大野和興)(2015/10/07)


前のめりでTPP交渉を急ぐ日本政府 自動車原産地表示問題で劣勢に
 足踏み状態にあるTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉だが、明日26日から米アトランタで参加12か国の首席交渉官会議が開かれる。続いて30日から閣僚会議も予定されている。いくつかの懸案が解決すれば、漂流はまぬかれるという瀬戸際での交渉だ。しかし、自動車の部品調達をめぐる原産地表示問題では、アメリカ、カナダ、メキシコの北米三国が強い姿勢を示し、日本を押している。そのあたりの事情を海外情報から探った。翻訳は、TPP反対運動の市民団体の翻訳チーム。(大野和興)(2015/09/25)


TPP交渉の行方、限りなく不透明に 日米両政府に焦り、交渉枠組み改変論まで飛び出す
 TPP交渉は次の閣僚会議の日程もつまらないまま月を越して9月を迎える。TPP交渉のこれからの展開はどうなるのか。いくつかの要素を組み合わせながら考えてみた。9月中旬までに全体会合・閣僚会議が設定されれば、年内合意の可能性は消えないが、それを越すと日米両国の政治情勢も絡み、TPP交渉は漂流の可能性が濃厚になる、という見立てが有力だ。(大野和興)(2015/08/28)


TPP交渉、前のめりの日本だけが浮き上がってまるでピエロみたいだ 山下惣一
 TPP漂流の可能性が高くなってきた。しかし日本の農政はすでにTPPを前提に、TPPを奇貨として国内の農政大改革を“しっかりと”“切れ目なく”進めている。(2015/08/25)


ニュージーランドでTPP交渉阻止の大デモ 首都をはじめ全国各地で展開
 8月15日、ニュージーランドでTPP反対の民衆行動が展開された。ニュージーランド最大の都市オークランドでは1万人、首都ウェリントンでは5000人がデモ行進。そのほか全国各地で数千人から数百人の集会やデモが行われた。その模様を動画と写真で紹介する。(大野和興)(2015/08/16)


TPP報道の謎2 ジェネリック医薬品とバイオ後続薬(バイオシミラー)
  アメリカの場合で調べてみると、一般的な化学薬品の場合と、有機物で作るバイオ医薬品(ワクチンや血液製剤、体細胞を使う薬品など)の場合とで特許期間の切れた後続役に対する呼び名が違っており、一般的な化学薬品の後続の場合をジェネリック医薬品、バイオ医薬品の場合はバイオシミラー(bio similar)と呼ぶそうです。2010年に発効したアメリカの連邦法、Patient Protection and Affordable Care Act (PPAC Act)ではFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可から12年間、バイオ医薬品のデータは保護されるとされています。ウィキペディアには次のように書かれています。(2015/08/05)


TPP報道の謎
 TPP(環太平洋経済連携協定)交渉がニュージーランドがふっかけた議論のために大筋合意が見送られたと新聞で今月報道された。記事では様々な分野の交渉状況が触れられていたのだが、疑問を抱いたのは新薬データの保護期間というくだりである。朝日新聞の記事では米国は12年、日本は8年、ニュージーランド、オーストラリア、マレーシアは5年を主張していると書かれていた。これは新薬メーカーを抱える国ほど国内産業の圧力で、保護期間を長引かせたいことを意味している。ところで、この朝日新聞の記事では「米国はバイオ医薬品については12年」という風に、<バイオ医薬品については>という限定の表現をとっているのである。これはどういうことなのだろうか。(2015/08/05)


TPP閣僚会合、合意に至らず終了 このまま漂流すれば日米アジア戦略にも支障
 アメリカ・ハワイで行われていたTPP(環太平洋経済連携協定)の閣僚会合は合意に至らず、日本時間で1日午後終了した。客観的には合意に至る可能性は極めて小さかったにも関わらず、日米政府は「大筋合意」という奇妙な決着の付け方を念頭に、強引ともいえる会合運営を図ってきた。しかしその目論見は外れ、知的財産権や酪農製品の市場開放をめぐって新興国やニュージーランドの頑強な抵抗にあい、解決の糸口を見いだせないまま時間切れとなった。TPPは対中国戦略としてアジアにおける日米軍事戦略と表裏に関係にある。集団的自衛権を前提とする安保法制(戦争法案)が市民の大きな抵抗にあって安倍政権の支持率低下に歯止めがかからなくなっているなかでTPP交渉が頓挫したことは、今後の政権運営にも大きな影響を与えそうだ。(大野和興)(2015/08/01)


TPP交渉「参加国における人権保障を大幅に後退させることは許されない」 国際人権NGOヒューマンライツ・ナウが声明
 国連の人権専門家は6月2日に連名で、「TPPの人権への悪影響を懸念する」との異例の声明を発表し、TPP合意が交渉国の人びとの生命、食糧、水、衛生、健康、住居、教育、科学、労働基準、環境等の人権保障に多面的かつ深刻な悪影響をもたらしかねないことを警告した。それを受けて国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は27日、TPPが人々の人権に甚大な影響があるにもかかわらず一切の情報開示をしないまま秘密裡に行われていることに深刻な懸念を表明する声明を発表した。(大野和興)(2015/07/28)


<TPP交渉の見通し> 悪路の待ち受けるTPP 一歩狂えば“漂流”もあり
 米大統領に貿易交渉を一任する法律(TPA)が通り、まもなく首席交渉官会合(23〜27日)、閣僚会合(28〜31日)が開催され、T (2015/07/18)


TPPとジェネリック医薬品 TPPが国民皆保険の脅威となる可能性も
現在のジェネリック医薬品の日本での数量のシェアは46.9%(2013年9月現在)で、国はこれを2020年度末までに80%に高める目標を持っています。最初は2017年3月末までに60%を目標としていましたが、その目標期日を1年前倒しにした上に、さらに80%という目標数値を掲げたわけです。これを見ても国民皆保険を維持するために、厚生労働省がジェネリック医薬品の普及を死活の急務と考えていることがうかがえます。しかし、ここに来て、大きな問題が浮上しています。アメリカが動かしている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の条項の中に、ジェネリック医薬品の制度改定があるというものです。(2015/06/23)


暴露されたTPPの条項に怒る米市民 市民の健康への危惧が高まる 特に発展途上国の市民にとっては致命的な条項が…
  TPPの極秘内容が露見して、怒り始めた米市民ら。米報道番組「デモクラシー・ナウ!」で報じられているのが健康問題です。特に諸国民の健康を犠牲にして多国籍企業の目線で作られた条項に注目。たとえば特許期限の切れた薬品を後発メーカーが特許料を払う必要なく作れてきたジェネリック医薬品も、開発した製薬企業がちょっとだけ変化を加えることで特許期限を無限に引き延ばせるようになります。(2015/06/12)


欧州議会、TTIP採決を延期
欧州&米国版のTTPであるTTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)に関する欧州議会での採決が延期に。 協定にTTPでおなじみのISD条項(国家対投資家間の紛争処理条項)含まれており、この条項への懸念広がっているため。(大野和興)(2015/06/11)


「TPPは人権を破壊する」 国連人権委員会の専門家グループが懸念を表明
 国連人権委員会専門家グループは6月2日、現在グローバルに進められている二国間、多国間の貿易・投資協定は先住民、少数者、高齢者、障害を持つ人びとなど社会的弱者の権利を侵すことなるとして憂慮を表明した。同専門家グループは具体的に生命、食料、水、衛生、健康、住居、教育、科学・教育、労働条件、司法の独立、環境、強制移住をさせられない権利など人びとの生きる権利が損なわれる懸念があるとしている。(大野和興)(2015/06/06)


迷走気味のTPP交渉 漂流へあと一息
 TPP(環太平洋経済連携協定)をめぐる交渉が迷走気味だ。グァムで開かれていた交渉参加12カ国の首席交渉官会議は5月27日に12日間という長丁場の会議を終えたが、その後の日程は空白のままだ。当初のシナリオでは引き続いて閣僚会議を開き、政治的決着を図るはずだったが、開催は延期されたままだ。迷走の直接的要因は、大統領に通商の一括交渉権を与えるTPA法案の米議会での成立のめどが見通せないからだ。TPA法がない場合、米国政府が交渉で合意しても、米議会で覆される可能性があることから、交渉参加国は米国との合意には応じない姿勢を見せており、交渉は足踏み状態が続くことになる。TPP阻止の運動にとっては、あと一息で交渉を漂流させる可能性が出てきたことでもある。(大野和興)(2015/06/02)


米TPA法案を市民団体が批判 「議会の憲法上の貿易権限は奪われるだろう」
TPP(環太平洋連携協定)交渉妥結の前提となっている米国のTPA法案(大統領に貿易交渉の権限を一任する「大統領貿易促進言々法案」は、5月22日、米上院で可決され、審議は下院に移った。反対派が多い下院での審議は難航し、可決されるかどうかは不透明とされている。同時にTPP反対キャンペーンを繰り広げている米国の市民団体パブリック・シチズンの分析によると、同法案は2002年〜2007年のTPA、2014年の法案の焼き直しに過ぎず、米国議会の根強いTPA批判、現在も不透明な議会の情勢などから成立の可能性は低いと断じている。市民団体「TPPに反対する人々の運動」翻訳チームにより訳出されたTPA法案に対するパブリック・シチズンの分析を紹介する。(大野和興)(2015/05/24)


米議会で審議中のTPA法案の概略 米国のTPP戦略と利害が前面に
 現在米国議会は上下院両院で、TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉権限を大統領に一括して与えるTPP法案の審議を進めています。その概略を市民団体「TPPに反対する人々の運動」翻訳チームが翻訳しましたので紹介します。11ページに及び、法律と貿易用語と論理が満載の文章で、翻訳チームの苦労がしのばれます。一読すると、米議会のTPP交渉への透明性の要求は相当に厳しいものがあり、またTPPの目的についても米国の利害と地域の経済における覇権を前面に打ち出していることが分かります。(大野和興)(2015/05/11)


米TPA法案、上院財政委が可決、来週にも本会議へ TPP交渉、一歩前進か
 米上院財政委員会は22日、通商交渉の権限を大統領に一任する貿易促進権限(TPA)法案を20対6の賛成多数で可決した。ロイターが伝えた。(大野和興)(2015/04/23)


ルポ:NAFTA20年のメキシコの現実(3) トウモロコシとナショナリズム 大野和興
 メキシコシティから約80キロのところにあるアトラコムルコにバスで向かった。メキシコ中央部に位置するメキシコ州のトウモロコシ地帯である。ここも標高二五〇〇メートルの高地だ。畑はすべてトウモロコシで埋まっている。ちょうど収穫時期で、大きな袋を肩からさげて収穫する作業風景も見られた。(2015/04/21)


ルポ:NAFTA20年のメキシコの現実(2) 貿易加工特区マキドーラの労働者たち 大野和興
 リオ・グランデ川を挟んでアメリカのテキサス州と向き合うメキシコ国境の都市、レイノーサ。人口約50万人のここは、広大なマキドーラの特区が展開する都市としても有名だ。(2015/04/18)


ルポ:NAFTA20年のメキシコの現実(1) 出稼ぎの村で 大野和興
 メキシコが米国、カナダと締結した北米自由貿易協定(NAFTA)が発足して20年に当たる2014年11月、メキシコに出かけた。NAFTAのもとで、メキシコの労働者や農民に何が起こっているかを取材するためである。NAFTAは世界的にももっとも早く動き出した自由貿易協定であり、安倍政権が参加を切望して交渉に臨んでいる環太平洋経済連携協定TPP(環太平洋経済連携協定)の原型ともいわれている。(2015/04/15)


TPP交渉の失敗は米国のアジアへのリバランス政策に戦略的敗北をもたらす
 世界的にも有名な米国のシンクタンク、ブルッキングス研究所の研究員ミレヤ・ソリス(Mireya Solis)氏がTPPに関して発表した論文を紹介する。同氏は東アジアの比較政治学、通商政策、日本外交と対外経済政策の専門家でブルッキングス研究所の前はアメリカン大学准教授を務めていた。この論文はTPP(環太平洋経済戦略協定)推進の立場から書かれたもので、TPPは米国にとって地政学的にきわめて重要な課題であり、交渉の失敗は米国にとって新興国市場や通商政策ばかりでなく米国の指導力を含む重大な戦略的な敗北をもたらす、と警告しいている。TPPは米国のアジアへのリバランス政策の(軍事的展開の方向転換に続く)第2段階となるものだと氏は位置づけている。TPPに関する米国のひとつの見方を示すものとして興味深い。日本の市民団体「TPPに反対する人々の運動」の翻訳グループの翻訳で紹介する。(大野和興)(2015/03/31)


国内に植民地をつくる国家戦略特区 大野和興
 バラバラに解体した地域をもう一度、上から再編成しようという動きが出ています。同時に下からも、これでは生きていけないという動きが出て来ています。上からの地域の再編成、再統合の典型的な政策が、国家戦略特区として安倍成長戦略の柱という位置づけで進んでいます。(2015/03/25)


世界社会フォーラム、チュニジアで予定通り開催 「市民運動は暴力とテロリズムに反対する」
 バルド博物館でのテロが発生したチュニジアで3月26日から同30日まで2015年世界社会フォーラム(WSF)が開催され、世界中から市民、活動家が集まる。テロを受け、一部で開催を危ぶむ声も出ていたが、WSF組織委員会は18日、直ちに声明を発表し、予定通り開催することを宣言した。(大野和興)(2015/03/20)


TPP交渉 医薬品データ保護期間で対立、米国内でも強硬意見
 大詰めを迎えたかに見えるTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉だが、いくつかの難航分野がほとんど進展のないまま残されている。その一つが知的財産権の扱い。なかでも医薬品データの保護期間の問題。できるだけ短くして安い医薬品を国民に供給する体制を敷きたい開発国・途上国とできるだけ長く保護をして自国医薬品産業の利害を守りたい米国との対立は解けていない。そんな中、4人の米上院議員がオバマ大統領に宛て、米国に現在の基準である12年を断固守れと書簡を送った。市民団体「TPPに反対する人々の運動」ブログから同書簡を紹介する。この中で、TPP交渉で“12年間”を主張している米国が議会答弁では“7年間”としていることに製薬業界が怒っている様が、上院議員の書簡の中に見られる。(大野和興)(2015/03/18)


TPP交渉、知的財産権は創作活動を委縮させる 懸念を表明するプロたち
 知的財産権はTPP交渉で難航分野とされているものだが、その交渉実態はほとんど明らかにされていないなかで、国内でもさまざまな創作活動に影響を与えるという懸念が高まっている。3月13日には漫画家などでつくる市民団体が政府に「TPPは漫画や演劇の制作、上演など創作活動を委縮させる」として交渉状況の開示などを要求した。この問題に懸念を持つ専門家によって構成されている「TPPの知的財産権と協議の透明化を考えるフォーラム」は緊急声明を出して、保護期間の長期化、被害者の告訴なき起訴・処罰を可能にする非親告罪化、米国での知財訴訟の増大と賠償金および訴訟費用の高騰を招いた主因とされる「法定賠償金」の導入など多くの点に懸念を表明。「各国の利害対立の大きい知財条項を妥結案から除外して海賊版対策のような異論の少ない分野に絞り、さらに条項案を含む十分な情報公開を修正交渉が可能な段階におこなう」ことを強く求めている。以下「緊急声明」を紹介する。(大野和興)(2015/03/14)


『このまま進めていいのかTPP交渉』 〜〜TPP交渉差止・違憲訴訟の会を設立 池住義憲
 このまま進めていいのか、TPP交渉! 来年(2016年)秋、米国では大統領選があり、それに向けた動き(大統領予備選など)が今秋以降本格化します。日米両政府は、その前に、TPP交渉の妥結・大筋合意が出来るよう急いでいます。そうした状況の中で、此の度、「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」(以下『訴訟の会』)を1月24日(土)に設立することにしました。(2015/01/22)


グローバル化のなかの農と食−アジアを舞台の考える(その2) アジアを覆う自由貿易・経済連携網 大野和興
 アジアでは交渉が現在進行形のものを含め自由貿易網が網の目のように張り巡らされています。それが域内の農と食にどのような影響をもたらしているか。ASEAN(東南アジア諸国連合、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)に視座を置いて見ていきます。アジア地域のFTA(自由貿易協定)は、真ん中にASEANがあり、中国、韓国、日本の3カ国、さらにはインド、オーストラリア、ニュージーランドいった西アジアや太平洋諸国に拡大しているからです。こうした状況の中で、アジアの人びとの足元ではなにが起こっているのでしょうか。タイと韓国を例に見ていきます。(2014/10/13)


グローバル化のなかの農と食−アジアを舞台に考える(その1) 北米自由貿易協定(NAFTA)の教訓 大野和興
 いま世界は多重多層な自由貿易網で覆いつくされようとしています。世界中の国が集まり、いっせいに貿易自由化を進めるWTO(世界貿易機関)の交渉は長く休止状態にありますが、それれに替わって一定の地域内、あるいは二国間の自由貿易協定(FTA)は網の目のように広がっています。貿易といってもモノ(商品)だけではありません。お金(資本)が儲け先を求めて、世界を自由に行き来しています。この世界を覆うグローバリゼーションが農業や食べ物になにをもたらすのかを見ていきます。(2014/10/12)


【ほんまやばいでTPPその6】 経済と軍事の環としてのTPP 大野和興
 最後ですけれでも、もう一つ重要な論点にTPPと安全保障、軍事との関わりがあります。2012年、「経済と軍事の環としてのTPP」という文章を書いたことがあります。そこでは「武器輸出三原則の廃止」の目玉は、武器開発と武器輸出であること、世界の武器市場がアジアに集中してきていること。それを日本に取り込む。それが日本の経済成長のためだ。そしてそのためにはTPPが大事だと。そういう論理がまかり通っていると書きました。それがいま進んでいる安倍成長戦略アベノミクスの核心のところです。(2014/06/29)


【ほんまやばいでTPPその5】 「国益」論を超えて −排外主義とTPP反対運動− 大野和興
 先ほど国益論、国家主義の話をしました。都知事選に出た田母神俊雄元自衛隊幕僚長は核武装論で自衛隊をクビになった人ですが、彼もTPPに反対している。ユーチューブで流れたのですが、国会の前で田母神がTPP反対の演説をしている。その周りをわーっと日の丸が囲んでいる。ヘイトスピーチや朝鮮学校襲撃で悪名高い「在特会」がかなり早くからTPP反対を打ち出していました。ヘイトスピーチとTPP反対が同居しているのです。彼らの主張は「TPPは国家を壊す」というものです。「TPPで日本の国家が危ない」という論理です。「人々の生存権」とは言わない。同じTPP反内ならいいだろうというのではなく、こういうところはきちんと腑分けして考えていかなければけないと思っています。(2014/06/27)


【ほんまやばいでTPPその4】 アジアを覆うグローバル化の嵐 大野和興
 ではアジアの視点からTPPを見たら何が見えるか。いま全世界で自由貿易網が形成されていますが、アジアだけ見ましても東アジア日中韓FTA構想、日韓と日中、韓中、ASEAN10ヶ国のFTA、それに東アジアを足したASEAN+3(日中韓)、さらにその上にニュージーランド、オーストラリア、インドを加えたASEAN+6、そしてその上にAPEC21ヶ国、APECというのはアジア太平洋のほとんど全部の国を網羅していますが、それを自由貿易でつなぐRCEP。こうした重層的な自由貿易網が今、アジア全体を覆ってます。(2014/06/24)


TISA もう一つのTPP
  環太平洋貿易協定(TPP)が、アメリカに押されて、日本は日本の基幹産業(農業)や保険業界などもアメリカの言いなりになりそうである。これは、アメリカの大企業群による、世界経済支配の一環であることは、明らかである。6月19日に、ウイキリークスが、TISA協定なるものが、秘密裏に交渉されていることを暴露した(http://wikileaks.com/tisa-financial/press.html)。(落合栄一郎)(2014/06/22)


【ほんまやばいでTPPその3】 国家戦略特区とTPP 大野和興
 安倍成長戦略である国家戦略特区について補足します。去年の年末に法律ができました。それを見ますと、「世界と闘える」とか「成長の起爆剤になる」とか、「世界で一番ビジネスがしやすい環境を作る」とかが謳い文句です。つまり金儲けがしやすい地域を作りましょうということです。大阪では医療で金儲けしましょうという特区ですが、そのほかにもいろいろあります。(2014/06/20)


【ほんまやばいでTPPその2】 TPPの内部体制化と人々の生存権 大野和興
 第2点は、もうちょっと足許のところからTPPをみると、何が見えるかということです。昨年、女性会議が発行している『iおんなの新聞』に書いたことですが、憲法との関わりでTPPを見ていくと何が見えるか。憲法11条の基本的人権、12条の自由・権利の保持の責任、13条の幸福追求権に始まる人々の自由権、そして25条の有名な「健康で文化的に生きる」ことを定めた生存権、26条の教育を受ける権利、27条の働く権利、それを受けて28条の勤労者の団結権など、憲法に大概のことはあるんですね。それに9条が加わって、私たちは平和におだやかに、人びとに暴力を振るわないで生きていく権利があるということが憲法にあるわけですけれども、この全てがTPPで壊されていく。(2014/06/17)

【ほんまやばいでTPPその1】市場囲い込みと新植民地主義 大野和興
 今日はTPPについてお話しするのですが、いったいTPPは何者なのかということを改めて掘っていって、幾つかの側面から考えてみたいと思っています。。一つは、貿易協定としてのTPPというのはいったい何なんだいうことです。(2014/06/13)


TPPとは何か 北沢洋子
 TPP(環太平洋経済連携協定)交渉をめぐる動きがメディアには毎日のように報道されるが、秘密交渉をいうこともあって、肝心のところがよくわからない。また、そもそもTPPとは何か、についても全体像をつかむことが難しい。そこで、国際問題評論家の北沢洋子さんに、戦後史をさかのぼって戦後世界の形成と自由貿易の流れを踏まえ、TPPについて解説いただくいことにする。(大野和興)(2014/06/08)


地元木材利用拡大はTPP違反になる
 ついに日米首脳会議での大筋合意も見送らざるを得なくなったTPP(環太平洋経済連携協定)。メディアでは農産品と自動車だけが取り上げられ、他に問題はないかに見えるが、実にさまざまな問題で国民の目に触れないまま交渉が進んでいる.その一つに、林野庁が行うポイント制による木材の地産地消がある。輸入制限だという指摘が米国から出ている。(大野和興)(2014/04/25)


読売は安倍機関誌ではなかったのか 日米首脳会談でTPP日米協議大筋合意の大スクープに政府筋からいちゃもん相次ぐ
 24日にオバマ米大統領が来日、日米首脳会談が開かれる。20日付け読売新聞朝刊が一面トップで、「この会談でTPP(環太平洋経済連携協定)の日米協議大筋合意」という大スクープを放った。実は記者は前日の19日にベリタ紙上で「オバマ政権にいまTPP合意のつもりはない」という記事を書いたばかりで、かなり焦り、同紙をよく読んでみたが、どうも根拠がはっきりしない。読売は誰かのリークに踊らされたという印象を受けた。案の定、読売報道に政府筋からいろいろいちゃもんが付いている。安倍政権の機関紙と言われるほど安倍政権にべったりのはずの同紙は、何を狙ってこの記事を1面トップで報じたのか、よくわからない。(大野和興)(2014/04/22)


オバマ政権にいまTPP合意のつもりはない 大野和興
 TPPをめぐる日米両政府交渉は24日のオバマ来日を控え、大車輪で行われているかに見えるが、躍起なのは安倍政権だけで、徹底した自由化こそがTPPの意義という原則論をたてに一歩も譲らないオバマ政権にはいま妥結する気はないと見る方が、いまの事態について説明がつく。オバマ政権が秋の中間選挙を乗り切るためにはTPPという切り札が必要を日本でいわれていること自体が怪しくなったからだ。オバマの母体である民主党にとって、TPPは選挙で有利に働かない状況が深まっている。(2014/04/19)


台湾、行政府占拠の学生らを強制排除 青年組織が抗議声明
台湾で24日早朝5時半、行政院を占拠する学生.市民に放水車と機動隊による排除によって、多数の負傷者が出たことに対し、青年組織「黒色島國青年陣線 する抗議声明を出したので紹介する。(大野和興)(2014/03/25)


占拠中の台湾の議事堂から 「私は、台湾人です、私は、この国の民主の歩みと共に成長しました」
 学生らによる台湾・立法院(国会)占拠。1999年にシアトルで開催されていたWTO(世界貿易機関)核閣僚会議に対する市民の反乱以来の資本のグローバリゼーションに対する民衆の異議申し立てとして世界の注目を集めている。彼らの思いはどのようなものか。占拠中の議場からyoutubeで世界に発信された若い女性の声をお届けする。彼女は日本語で「皆様、こんばんわ。私は、台湾人です、私は、この国の民主の歩みと共に成長しました」と話を始める。(大野和興)(2014/03/23)


中国との貿易協定に反対し、若者が立法院の議場を占拠 「小農民・労働者・商人・中小零細業者の息の根が止められる」
中国と台湾が昨年調印した「サービス貿易協定」の承認法案に反対する学生ら数百人が18日夜、台湾の国会に当たる立法院になだれ込み、議場を占拠した。占拠は21日も続き、野党の民主進歩党は学生らへの支援を表明。21日夜には学生らを支持する市民2万人以上が集まった。この行動の意味は何か、日本のメディアにはほとんど報道されない占拠する側の主張を追った。(大野和興)(2014/03/22)


TPP交渉、鍵を握るのは日米の関税交渉 一方で国内農業政策のTPP化が進む 大野和興
 二月下旬にシンガポールで開かれたTPP交渉の閣僚会合は取り立てての成果を上げることもなく終わった。TPP交渉はこのまま話がまとまらないまま漂流するだろうという見方と、いや日米どちらかの歩み寄りで急きょまとまる可能性がある、といった見方が、希望的観測もまじえて飛び交っている。その一方で国内の農業政策は国際競争に勝ち抜けるための“強い農業”づくりをめざして次々と新しい方向を打ち出している。TPP先取りともいえるものだ。TPPをめぐる状況をこの二つの側面から考えてみる。(2014/03/11)


GATTからWTO、そしてTPPへ 第二次大戦後の経済秩序と自由貿易 大野和興
 シンガポールで22日から行われたTPP(環太平洋経済連携協定)閣僚会議は、当初めざした大筋合意に至らず、米国と新興国、日米、日豪などが市場アクセス(関税)、国営企業の扱いなど経済の仕組み、特許権など知的財産権問題などを巡って交渉が進まない状況が続いており、この状態が続けばWTO(世界貿易機関)が進めている多国間の自由貿易交渉ドーハ・ラウンドのように有名無実化して交渉が漂流しかねないというと予測が交渉を進める当事者国の間で生まれている。いったい自由貿易交渉とはいかなるものか、WTOの前身GATT(貿易と関税に関する一般協定)の最後の多国間交渉(ラウンド)となったウルグアイ.ラウンドまでさかのぼってみていく。(2014/02/27)


TPP:シンガポール閣僚会議で知的財産権分野、急速に進展か
  TPP交渉で交渉参加国の利害が対立している大きな問題の一つに知的財産権の問題がある。米国がその権利のより一層の保護強化を強力に主張、新興国側が抵抗している問題だ。特に医薬品特許に関しては、特許切れの安い薬でエイズ患者など多くの病人が救われている現実が覆されるとして「国境なき医師団」なども強く反対している。22日からシンガポールで行われているTPP閣僚会議で、ほぼ明国に置主張に沿う形でこの問題についての話し合いが急速に進んでいるという情報が広がっている。(大野和興)(2014/02/23)


TPP交渉の重要課題に農業問題が浮上 「日米協議で安倍首相は最後に譲歩する」
 今日22日から始まったシンガポールでのTPP閣僚会議で大きな焦点になるのは農業問題だ、という観測が高まっている。これは、農産物関税で日本が米国をはじめとする農産物輸出国に譲歩するかどうかに大詰めにきたTPP交渉の行方がかかっているということを意味する。農産物関税はTPPと並行して話合われている日米協議の場で決まるが、米国側は最後は4月下旬のオバマ来日の際、安倍首相が譲歩すると観測している。(大野和興)(2014/02/22)


TPPは裁判権の放棄と社会的基本権の侵害に当たる 愛知県弁護士会が意見書
 愛知県弁護士会のTPP(環太平洋経済連携協定)についての意見書が評判を呼んでいる。「秘密交渉」や「ISDS(投資家対国家紛争解決制度条項)」の反憲法性を鋭く突き,合わせて国際条約法(ウィーン条約)や国際司法裁判所の例なども挙げつつ,国際法的にも疑義があることを指摘、正面から理路整然と批判している。規制の撤廃は多くの場合、国民の生命・健康等に対する保護を弱める可能性が高いこと、ISDSについては「今日、わが国国内で事業を展開し、あるいはわが国に投資し、または投資しようとする外国投資家は、多数かつ広範囲にわたる。したがって、ISDS条項を締結することは、かつてない広範囲な第一次裁判権の放棄を承認することを意味」し、「外国投資家に対する特別な保護は、(略)社会的基本権を侵害する結果をもたらす」など、TPPは基本的人権と相反するものであることが明らかにされている。(大野和興)(2014/02/14)


TPPを警戒する米市民 弁護士ロリ・ワラック氏のコメント 〜「TPPは企業による‘トロイの木馬’作戦」 〜蔓延する秘密主義 見えない中身 上陸前夜
  米国の非営利団体「パブリック・シチズン」のロリ・ワラック氏は自由貿易協定が米国市民の労働をいかに奪ってきたかなどその実態を紹介し、批判を行ってきた弁護士である。昨年10月の「デモクラシー・ナウ!」に出演した時はTPPについて米国市民の視点で語っている。これは「企業によるトロイの木馬作戦」であるという。(2014/01/24)


米国農業団体 TPP交渉から日本の除外を要求 「日本の主張は中国、EUとの交渉に悪影響及ぼす」
 年内妥結を目指していたTPP交渉は、昨年中の妥結に至らずに越年することとなった。その原因は、米国の強硬姿勢が原因とも報じられている。昨年暮れの12月18日、米国の農業関連17団体は米国通商代表部(USTR)のフロマン代表に対して、TPP交渉で日本が農業分野での例外措置を要求するならば、日本を除外するよう求める書簡を送った。この書簡を送った17団体には、米農業連合会や米穀物協会のほか、米食肉協会、米大豆協会、米小麦協会などが含まれている。(有機農業ニュースクリップ)(2014/01/08)


米議会でもTPP反対論強まる その2
 米国議会でもTPPー環太平洋経済連携協定ー反対の動きが強まっている。12月には議会の一般演説で多くの議員が重ねて反対する演説を続けた。市民グループ「TPPに反対する人々の運動」翻訳グループが翻訳したその一部を紹介する。12月4日下院一般演説におけるTPPに関する討論。冒頭、壇上に立ったマーク・ポーカン議員(ウィスコンシン州、民主党)に続いて同じく民主党のロサ・デローロ議員 (コネチカット州)が特別演説に立った。ロサ議員はTPPは米国内の雇用喪失、賃金低下をもたらすだけでなく食の安全など生活全般にわたってマイナスをもたらすと強調した。市民グループ「TPPに反対する人々の運動」webサイトから紹介する。(翻訳:池上明・田中久雄/監修:廣内かおり)(2013/12/31)


米国の二方面作戦 〜TPP交渉の裏で、ヨーロッパ=アメリカ自由貿易協定の交渉中〜
  TPP交渉を進めている米国だが、同時に大西洋の両岸で欧州連合と自由貿易協定の交渉を進めている。このことも欧州における排外主義の興隆の一因となっている。その理由は多国籍企業が国を相手取って訴訟を起こしたり、国境を越え各国の保険・医療・農業・環境政策を回避してなしくずしにする可能性があるからだ。(2013/12/26)


中身の不透明なTPP 〜アジア諸国は十分な情報公開がなければ参加してはいけない〜 外国人コラムニストの警告
  東京に滞在して筆を振るっているBloombergのWilliam Pesek氏はTPP(Trans-Pacific `Partnership)への参加は考え直した方がよいと警告を発した。’Wikileaks reveals why Asia should skip the TPP'(ウィキリークスがアジアがTPPを拒否した方が良い理由を暴露)と題するコラムである。その根拠は音頭を取る米政府の秘密主義にあるとする。Pesek氏はジョン・ケリー国務長官がアジア諸国に、TPPに参加れば「透明度」が高まり、「政治責任」も明確になると参加を促しているが、TPPの中身は秘密主義で、「透明性」とはほど遠く、参加した場合、国民の生活にどのような影響が出るかも明らかではないと批判し、警告した。(2013/12/26)


米議会でもTPP反対論強まる その1
米国議会でもTPPー環太平洋経済連携協定ー反対の動きが強まっている。11月には160人を超える民主党議員、20数人の共和党議員が、TPP交渉に秘密性を批判し、協定締結の権限が議会にあることを強調してTPA貿易促進権限法に反対する書簡を大統領に送った。続いて12月には議会の一般演説で多くの議員が重ねて反対する演説を続けた。市民グループ「TPPに反対する人々の運動」翻訳グループが翻訳したその一部を紹介する。12月4日下院一般演説におけるTPPに関する討論。冒頭、壇上にはマーク・ポーカン議員(ウィスコンシン州、民主党)が立った。市民グループ「TPPに反対する人々の運動」webサイトから紹介する。(翻訳:池上明・田中久雄/監修:廣内かおり)(2013/12/19)


12・8 TPP反対行動 日比谷野音に2700人が集まり、集会とデモ
 12月8日午後、東京・日比谷の野外音楽堂で全国から2700人が集まり、「これでいいのか?!TPP 12.8大行動」と銘打たれたTPP(環太平洋経済連携協定)反対の集会が開かれ、集会後銀座をデモ行進した。集会には農民組織、労働組合、医療関係者、NGO、市民グループなど多様な団体・個人が参加、TPPは人々の生存権を壊すと訴えた。折から、シンガポールでは交渉参加国の閣僚が集まり、交渉中で、集会・デモはTPP年内妥結を阻止する狙いもある。集会には交渉参加国であるマレーシアの元首相が、TPPに反対するメッセージを寄せた。(大野和興)(2013/12/09)


米国自治体が「TPPフリーゾーン」宣言 ウィスコンシン州デーン郡、「この地にTPPは入るべからず」
 日本ではあまり知られていないが、米国でも自治体レベルではTPP(環太平洋経済連携協定)に対する根強い反対が存在する。過去1〜2年の間に、50州の州議会が何らかの形でのTPP反対決議を上げているともいわれている。その中でもユニークなのは、ウィスコンシン州デーン郡の「TPPフリーゾーン宣言」である。「フリーゾーン」とは無効地域とでもいう意味。デーン郡の郡委員会(郡の最高機関)は、全会一致(2名棄権)でTPPに反対する強力な決議を可決し、「デーン郡のTPPフリーゾーン(無効地域)」を決定、たとえTPPが制定されたとしても、郡は「住民、労働者及び地域ビジネスに最善の利益をもたらす政策を実行し、生命の基盤となる生態系を守ることを放棄しない」と宣言した。PPに反対する人々の運動」翻訳グループの翻訳で紹介する。(大野和興)(2013/11/28)


TPPで石破・萬歳密約説流れる JA全中、条件交渉に転換か
 農協内部で石破自民党幹事長と萬歳章JA全国農協中央会(全中)会長の間で、TPPと今後の農業政策展開で手打ちが成立したという石破・萬歳密約説が流れている。密約の中身は減反の段階的廃止と戸別所得補償制度の日本型直接支払制度への転換という政府・自民党が現在打ち出している政策変更を認めるというもの。こうした農業政策の新しい方向は、TPP(環太平洋経済連携協定)成立を見こして打ちだされているもので、全中がこれを認めることは、現実にTPPを受け入れ、条件交渉に入ったことを意味する。(大野和興)(2013/11/06)


ジョゼ・ボベ欧州議会議員がカナダ産ホルモン肥育牛の欧州への輸入に警告
   フランスの農民運動家で欧州議会議員のジョゼ・ボベ氏がカナダ産のホルモン肥育牛が欧州に入ってくることに警告を発している。パリジャン紙によると、欧州連合とカナダが自由貿易協定を結んだ結果、カナダ産のホルモン肥育牛が大量に欧州に輸入される可能性が高い。(2013/10/30)


『もうひとつの道はある』刊行  「スペインで雇用と社会福祉を創出するための提案」を提示
 2011年5月15日、金融投機と雇用破壊を成長のよりどころとした新自由主義に対する怒りを表現したインディグナードス(怒れる者たち)の運動−15Mへのエールとして、attacスペインに所属する「怒れる科学者」3人が書いた『もうひとつの道はある』がついに出版されました。紹介します。(日刊ベリタ編集部)(2013/10/21)


左右両派に共通する国益論と国家主義の罠 TPPをめぐって横行する奇妙な言説  大野和興
 「なぜTPPに反対するのか」と問われたら、「人が平和におだやかに生きていく権利を侵害するからだ」と答えることにしている、という一文で始まる短い文章を『I女のしんぶん』の6月25日号に書いた。TPPに関するわたしの考え方はこれにつきる。なぜこんな当たり前のことをこと改めて強調するのかといえば、TPP反対運動のなかで、右から左まで「TPPは国益を損なう」という言説が横行しているからだ。(2013/09/30)


TPP交渉 日本は一方的に譲歩するしかない(4) 自民党がいう「聖域」が守れない理由 自動車・健康保険・薬価・食の安全・ISD・金融サービス編 ジェーン・ケルシー
 日本のTPP交渉参加のためにアメリカが決めた前提条件として、日本はアメリカ車の一定枠の参入を促進する迅速な対応を求められ、一方、アメリカは長い期間をかけて自動車関税を変更することを約束した。TPP交渉参加についてアメリカの支持を得るために日本が支払った代価には、自動車の市場参入において非常に不平等な約束が含まれていた。日本は、輸入自 動車特別取扱制度の下で迅速な処理手続きによる輸入を受け入れ、日本における厳しい環境テストや安全検査を事実上免除し、2000台から5000台へと自動車の台数を増やすことに合意した。この変更はただちに実施される。(翻訳:池上 明・田中 久雄/監修:廣内 かおり)(2013/08/31)


TPP交渉 日本は一方的に譲歩するしかない(3) 自民党がいう「聖域」が守れない理由 農業編 ジェーン・ケルシー
 国際的に著名なTPPウォッチャーであるジェーン・ケルシー教授は述べる。「日本はTPPから除外できる農産品が1つでもあるとは考えられず、自由民主党が言うところの聖域があると信じられる根拠は皆無なのだ」。4つの理由が存在する。(翻訳:池上 明・田中 久雄/監修:廣内かおり)(2013/08/30)


TPP交渉 日本は一方的に譲歩するしかない(2) 日米協議は「TPPプラス協定」でアメリカが満足するまで続く ジェーン・ケルシー
 TPPウォッチャーとして国際的にも有名なニュージーランド・オークランド大学教授のジェーン・ケルシーさんがこのほそ発表した「TPP協定における日本・自民党の国益条件に関する問題提起」と題する論文で、同教授はTPPと並行して進められている日米協議は、TPP妥結後もアメリカが満足するまで続き、その間TPPは日本に適用されないと指摘している。日本にとってTPPは二層状態の条約になるというのだ。すなわち、アメリカと日本を除いた全参加国によるTPPと日本・アメリカ間の“TPPプラス協定”の二層である。(翻訳:池上 明・田中 久雄/監修:廣内 かおり)(2013/08/29)

タバコパッケージの喫煙被害警告画像拡大でフィリップ・モーリスとJTがタイ保健省を提訴
 タイ保健省が国内で販売されるタバコのパッケージに掲載が義務付けられている喫煙被害の警告画像・文章掲載面積を10月から現行の55パーセントから85パーセントに引き上げると通告。(岡本和之)(2013/08/28)


TPP交渉 日本は一方的に譲歩するしかない(1) 日米合意で相反する二つの文書 ジェーン・ケルシー
 TPPウォッチャーとして国際的にも有名なニュージーランド・オークランド大学教授のジェーン・ケルシーさんが「TPP協定における日本・自民党の国益条件に関する問題提起」と題する論文を発表した。自民党が参院選挙で公約したコメなど重要品目と国民皆保険制度がTPP交渉で守られなければ交渉から離脱するという方針は、TPPのこれまでの交渉経過や米国と日本の政府間交渉の内容から見て、実現することはできない、と断じている。日本のメディアや政府与党関係者は、交渉次第で米国や他国の譲歩を引き出すことが出来るしているが、同論文はそれを明確な論理で否定し、政府与党は幻想を振りまいているにすぎないことを論証している。市民団体「TPPに反対する人々の運動」が翻訳した同論文を何回かに分けて紹介する。(翻訳:池上 明・田中 久雄/監修:廣内 かおり)(2013/08/28)


TPP参加による効果費用を分析 マレーシア政府が特別閣議で新たな対応策提示
  環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉が大詰めに向かっているが、初期の段階からTPP交渉に参加しているマレーシアでも、ここにきてTPP加盟の是非をめぐる議論が高まってきている。政府は8月15日に特別閣議を開催、TPP加盟が中小企業やブミプトラ(「土地の子」の意味。転じてマレー系を中心とする先住民をさす)事業者におよぼす効果の費用分析を実施することを決めるとともに、交渉には引き続き参加していくことを確認した。(クアラルンプール=和田等)(2013/08/17)


TPP・日米との2国間協議 米国は日本に緩い排ガス基準を押し付け 山田正彦
 日米とのTPPの2国間協議、NHKの9時からのニュースウオッチナインに異議あり。非関税障壁について、自動車についての安全基準についていかにも日本が厳しい検査を強いているかのごとく報道されたが、そうではない。米国の自動車の排ガス基準と騒音基準は日本比較にならないくらい緩い。(2013/08/10)


アジアを覆うFTAの波 モノ・カネ・サービスの自由化はアジアに何をもたらすか 大野和興
 日本ではTPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加問題が国論を二分する政治問題となっている。貿易と投資、モノとカネと公共部門を含むサービスの自由化を進める協定はなにもTPPに限らない。自由貿易協定(FTA)をめぐる動きは世界中にあり、特に成長センターとして世界の経済の中心軸となった東アジア(東北アジア・東南アジア)と西アジアには、網の目のようなFTA網がかぶさっている。グローバリゼーションの大波が押し寄せるアジアにくらす生活者にとって、この現実は何をもたらすのか。(2013/08/08)


マレーシアで政府がTPP公聴会 非政府組織や業界の不安は解消せず
  サバ州コタキナバルで7月15日から25日まで太平洋経済連携協定(TPP)の第18回交渉会議が開催されたマレーシアの首都クアラルンプール市内で、同国通産省が8月1日、「TPPオープン・デー」と称する公聴会を開催、TPPに批判的な非政府組織や業界団体の代表を含め約1000人が参加した。公聴会は、TPP交渉への参加をきめたマレーシア政府の立場を説明し、参加者からの意見をきくことで今後の交渉の参考にすることを目的に開催された。(クアラルンプール=和田等)(2013/08/02)


TPPで農業の非関税障壁に関心 米下院歳入委員長が発言、狙いは農地と水か
  日本が初参加するTPP交渉がマレーシアで始まっている。しかし、交渉の本拠地は実は米国内のようで、日本との交渉の責任者でもあるUSTR(米通商代表部)のカトラー臨時副代表は米国内にとどまって議会や政府部内間の調整に余念がない。そして下院歳入委員長キャンプ議員(ミシガン州選出,共和党)は17日,日本の自動車と農業に関する非関税障壁に重大な懸念を抱いていると発言。農業の非関税障壁とは何か。狙いはこの列島の豊かな農地と水なのだ。(大野和興)(2013/07/20)


TPPは「NAFTA+韓米FTA+アルファ」 大野和興
 参議院選挙が間近に迫った。改憲と”強い日本を取り戻す”ための成長戦略を掲げて安部政権は選挙圧勝を狙っている。その具体的中身は、TPP(環太平洋経済連携協定)参加と原発再稼働・輸出、そして労働規制の緩和。相互に関連しあっているこれらは、私たちのくらしにどのような影響をもたらすのか、ここではTPPに絞って考えてみたい。(2013/07/09)


【編集長妄言】TPPと平和的生存権 
 安部政権は、10月基本合意、年内決着という米国・オバマ政権か敷いた政治日程に沿ってTPP参加に向けて前のめりで突き進んでいる。7月に予定されている参議院選挙でも改憲、原発再稼働・輸出推進と合わせてTPP参加を安倍成長戦略の柱に掲げる。いま改めて、TPPとは何か、それは私たちのくらしの場、働く場になにをもたらすのかを考えてみる。(2013/06/18)


マレーシアでもTPP参加に「NO」の声 「経済的津波に呑みこまれ、国内産業に打撃」と
  環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加に当初から名乗りをあげ、交渉に参加してきているマレーシアで、TPPへの参加、署名に異議を唱える声が出始めた。「NO」の声を上げたのはマレー人経済行動委員会(MTEM)。地元メディアによれば、4日に開いた記者会見で同委員会のニザム・マーシャー最高経営責任者(CEO)は、政府がTPPに関する詳細かつ包括的な調査を実施していないこと、利害関係者に有意義な関与と相談を求めていないこと、議会の信任を得ていないことをあげ、「国内での議論を欠いたまま、政府の独断専行で事態が進められている」と、TPP参加に反対する理由を説明。「まずは議会でじっくり議論すべきである」との考えを示した。(クアラルンプール=和田等)(2013/06/09)


全国から2000人が集結 東京で「TPP参加をとめる!5・25大集会」
 今からでも遅くはない、TPP参加を撤回しよう…5月25日、東京・港区芝公園で「TPP参加を止める!5・25大集会」が開催された。9月で終了すると伝えられる交渉に今から参加しても日本が得るものは何もないばかりか、日本の社会制度そのものが破壊されかねないこのおかしな協定に、日本政府はなぜそれほどまでに参加したがるのか…。集会では「TPPは、多国籍巨大企業の利益のために、日本を含むアジア太平洋地域の人々のいのちとくらしを壊し、主権を脅かす協定。交渉参加を撤回させよう」とのアピール文を採択、トラクターを先頭に銀座までの約3kmをデモ行進した。(上林裕子)(2013/05/26)


これぞTPP参加国の未来 ISD条項で米大手製薬資本がカナダ政府を訴え
 米国の大手製薬会社Elli Lilly's and Co.がNAFTA(北米自由貿易協定)のISD条項(投資家対国家の紛争解決制度。企業が国家を訴えることが出来る条項)を根拠に1億ドルの損害賠償を求めてカナダ政府を訴えている。最近日本でもふぇているといわれている多動性障害(ADHD)の治療薬の特許申請を、カナダ政府が「有効性の証明が不十分」として却下したため。(大野和興)(2013/05/25)


大阪で国際シンポジウム「TPPをとめる!5.31国際シンポジウム─韓米FTA・NAFTAからの警告─」 in 関西 
 TPP(環太平洋経済連携協定)参加へ前のめりの安倍政権。TPPによって出現するのはどういう世界なのか。私たちは地域で、職場で、国内で、そして世界で何をしなければならないのか。TPP交渉がいよいよ本格化する今、こうした課題を考える国際シンポジウムを開催します。迎えるゲストは、TPP交渉参加国であり、NAFTA(北米自由貿易協定)が発効して足掛け20年になるメキシコの労働運動家と、韓米FTA発効1年になる韓国で阻止運動の第一線を担ってきた運動家です。同国際シンポは、連帯ユニオン関西生コン支部の呼びかけで実行委員会をつくり、行われます。(日刊ベリタ編集部)(2013/05/24)


「TPPをとめる!5.30国際シンポジウム」のご案内
 TPP(環太平洋経済連携協定)への日本の交渉参加が決まり、安倍政権は前のめりで参加に向け動き出しています。市民グル―プ「TPPに反対する人々の運動」は「TPPを考える国民会議」と共催で、TPPがアジア太平洋地域の人びとに何をもたらすかを明らかにし、国境を越えた反対運動をつくりあげりことをめざして、5月30日、都内で韓国、メキシコ、ニュージーランドなどから市民運動家や研究者、法律家、労働組合活動家などを招き、国際シンポジウム「TPPをとめる!5.30国際シンポジウム─韓米FTA・NAFTAからの警告─」を開きます。この国際シンポは東京を皮切りに北海道、山形、新潟、大阪、鳥取、福岡、鹿児島、沖縄の各地でシンポジウムや集会を開きます。(大野和興)(2013/05/24)


TPP交渉では環境保護規制や、市民の健康や安全を守る規制、労働者の権利なども「規制の内外調和」のもとに緩和される
 7月から日本が交渉に参加することになったTPP(環太平洋経済連携協定)では、国民生活の様々な分野にわたって、重要な取り決めがなされるが、それらの交渉内容はすべて秘密交渉として表に出ていない。以下に紹介するのは「規制の内外調和」に関する交渉内容で、これを読むと環境保護や、市民の健康や安全、労働者の権利などを含めて、加盟国で一律の規制や基準を定め、それに従わなければならないことがうたわれている。例えば農薬や食品の安全基準、遺伝子組み換え食品表示など、日本では消費者運動で国際的にも高いレベルの基準をもっているか、TPP参加でこの「規制の内外調和」が適用されると、そうした基準が緩和される可能性がある。TPPはたんに貿易や投資だけの問題ではないことがわかる。翻訳は市民グループ「TPPに反対する人々の運動」翻訳グループによる。(大野和興)(2013/05/19)


【韓米FTAの旅】(2)母牛を投げ売りする韓牛農家  大野和興
 韓米FTAの影響は農業特に畜産に明瞭にあらわれている。韓国の中心部に位置する忠清北道を訪ね、何人かの農家の話を聞いた。忠清北道は韓国でも熱心な農家が多いところという。それだけに、WTO(世界貿易機関)やFTAが進める貿易自由化には強硬な反対運動を進めてきた韓国農民会の組織も強い。その中心世代は50歳代というから、60歳を超えて頑張っている日本の農民と比べ、一世代若いことになる。(2013/05/05)


【山田正彦メルマガから】アメリカ国民の78%は「NO!TPP」
 米国民は78%がTPPに反対である現実に、アメリカでの報道と国民認識は「日本の方から」参加を求めてきていると思っている。ワシントン滞在時、パブリック・シチズンのロリーワラックさんから私は今回も大変興味深かい話と資料をいただいた。米国民の自由貿易(TPP)に対する各種の世論調査は、反対が10年前には68%だったが、10年後の昨年は78%に増加したというのだ。(2013/05/04)


【韓米FTAの旅】(1) 発効一年を過ぎた韓米FTAの実情 経済成長も対米輸出も停滞  大野和興
 韓米FTAが発効して3月15日で1年がたった。この1年で韓国に何が起こったかを知るために3月末の1週間、「TPPに反対する人々の運動」グループとして韓米FTAの現場を訪ねる旅に出かけた.現地にはいるまえに韓国における韓米FTA反対運動の総本山である「韓米FTA阻止汎国民運動本部」を訪ねた。お会いしたのは韓米FTA阻止汎国民運動本部共同代表のパク・ソクウンさんと政策委員長のジュ・ゼジュンのお二人。(2013/05/02)


TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会が記者会見 「屈辱的な合意内容を、政府は隠している」
 全国のさまざまな分野の大学研究者で校正する「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」は4月26日、議員会館で記者会見し、「日本の国益を守るためにはTPP交渉参加を撤回するしかない−「日米事前協議」の結果は日本側全面屈服以外の何物でもなかった−」と題する声明を発表した。声明は、安倍政権がTPP交渉参加決定に至る間に行われた日米交渉の経過を細かく検証、「事前協議は日本側が一方的に譲歩しただけで米国側からは一切の譲歩を得ていないこと、第二に今後TPP交渉そのもので極めて不利な交渉を余儀なくされるだけでなく、米国のさらなる要求を受け入れるための日米2国間並行交渉の設置が義務づけられたこと、第三にこうした全面屈服内容とそれを受け入れた屈辱的外交の真実を日本政府が隠蔽しようとしていることです。」などを具体的に指摘している。同辞に同大学教員の会は、交渉経過が極めて不明朗で重大な事項が隠されていることを細かく指摘、国会議員に対し、そのことを明らかにするよう迫る質問状を発した。(大野和興)(2013/04/27)


【山田正彦メルマガから】TPPで緊急訪米!、カトラー代表補はコメなどの農産物にも聖域(例外)がないことを明らかにした
 今回の訪米の最大の目的は自民党・安倍総理がオバマ大統領との会談で国民皆保険、遺伝子組み換食品の表示など6項目の分野、農産物でもコメ・麦・牛肉・豚肉・砂糖などの5品目についてセンシティブ品目として例外が取れるとしてTPP交渉参加に踏み切った。本当にそうなのかどうか?米国のUSTRにその点を確認することにあった。幸い、最終日の午後4時、USTRでカトラー代表補と会談することができた。(2013/04/27)


【編集長妄言】韓国の主要メディアは「日本がTPPに入る、韓国は乗り遅れるな」と一斉に社説で書いているという  大野和興
 韓国とアメリカの自由貿易協定、韓米FTAが発効して今年3月15日で1年が経過した。いま日本で交渉参加をめぐって政治問題となっているTPP(環太平洋経済連携協定)は実質的な日米FTAであるといわれ、日本がTPPに参加した場合、なにが起こるかを知るためには韓米FTAをみるべきだといわれている。そこで、仲間の農民何人かと語らって3月終わり、韓国へ出かけた。(2013/04/14)


【山田正彦メルマガから】TPPについて米国通商代表部のリリースでは、すでに関税の問題でも日本に発言の場はない
 先のシンガポールのTPP参加国での交渉を終えて、米国通商代表部の公式なリリースの英文と翻訳を谷岡議員から頂いたが、それによると驚くべき内容が記載されている。米国通商代表部のバーバラ・ワイゼル主席交渉官は次のように述べている。私が大切だと思われるところ抜粋する。(2013/04/14)


【山田正彦メルマガから】米議会対オバマ大統領 TPP対応で大統領が窮地に
 今、米国ではTPPに日本が参加することについて、議会がオバマ大統領の弾劾に及ぶような騒動が生じています。もともと、米国は外交交渉権を議会が持っていて、WTO交渉においては一時的に大統領に法律によって委任していたものです。ところがその期限も過ぎて現在新たに法律でTPPについての委任を与えない限り、違法な交渉を大統領は続けていることになるのです。そのことが議会公聴会で問題にされて、通商代表部のマランチェスもおたおたしていました。カーク代表もやめて、まだ後任も決まっていません。(2013/04/08)


≪twitterから≫違法な形で進むチリ政府のTPP交渉との批判  印鑰智哉
 チリ政府が進める #TPP 交渉は違法な形態で進められているという批判。(2013/04/07)


【女たちのTPP】(4)農産物自由化とたたかった女たちの歴史に学ぶ  西沢江美子
 農業の女たちは、戦後六〇年、自分で自由に使えるお金を得ようと農産物の直売所をつくり、加工所をつくり、知人、友人をたよって宅配し、これまで家族のために積み上げてきた生活技術を商品化し続けてきた。(2013/04/07)


米国最大の労働団体がTPPに懸念を表明  「内外の労働者同士の対立と底辺への競争を助長」
 米国内にもTPP(環太平洋経済連携協定)には根強い反対勢力が存在する。自動車業界と労働組合だ。その労働組合のナショナルセンターで米国最大の米国労働総同盟産別会議(AFL-CIO)が、2月22日の日米首脳会談の直後にTPPに何する執行委員会見解を発表した。「働く仲間たちは新しい貿易モデルを必要としている」と題されたこの見解は、NAFTA(北米自由貿易協定)の経験を踏まえながら、韓米FTA(韓米自由貿易協定)やTPPは国内でも国際的にも労働者どうしの対立を生み、「労働者の諸権利、賃金、年金及び労働条件、そして資源の保護、食の安全及び消費者保護の面で底辺への競争(最低水準を導くような競争)が助長さいる」と強い懸念を示している。AFL-CIOはオバマ政権の最大の支援団体。市民団体「TPPに反対する人々の運動」翻訳グループの翻訳で、同見解を紹介する。(大野和興)(2013/04/04)


TPPで失う100億トンの水
 水問題に取り組んでいるアクアスフィア代表の橋本淳司氏は、 『日本の地下水が危ない』(2013年1月、幻冬舎新書)で、 日本の「減反政策は減水政策」と喝破した。橋本氏によれば、1ヘクタールの水田は、平均的に1日当たり200トンの水が地下にしみこみ地下水となるという。水田に水を張っている期間を年100日とみて、年間2万トンの地下水を涵養することになるとしている。(有機農業ニュースクリップ)(2013/04/03)


武器輸出三原則見直しとTPP―ねらいはアジアの武器市場化―
 安倍政権が武器輸出三原則の見直しに前のめりだ。3月末には航空自衛隊の次期主力戦闘機F35の日本企業による部品輸出を三原則の例外とすることを決めたばかり。憲法九条にのっとり、世界の戦争に手を染めない理念を具体化した武器輸出三原則は日本の誇りでもあった。その三原則見直しの背景にはTPPがある。対中国包囲を目指し、アジア太平洋地域を経済と軍事で囲い込むTPPは、アジアでの軍拡競争を呼び起こし、アジアを武器市場とする。そのおこぼれに預かろうという狙いが、武器輸出三原則見直しには込められている。(大野和興)(2013/04/02)


【女たちのTPP】(3)福島・三春の女たちとともに  西沢江美子
 三・一一以降、連日行われる計画停電という奇妙な東電のやり方。毎日毎日、その日の停電時間が地域別に新聞に発表され、役所の放送で「東電からのお知らせ」が流れる。まるで「原発がなくなれば、何もできないんだよ」といわんばかりのやり方。その日の行動は東電に管理されざるを得ない。あの春は冷たい春だった。すべて電化してしまっているくらしを改めて自覚させられ、ふるえながら東電(原発)にしっかりと握られてしまっている自分に腹を立てていた。(2013/04/01)


【女たちのTPP】(2)大震災と原発事故  回覧ノートが行方不明に  西沢江美子
 二〇一一年三月一一日。あの福島原発事故は、生まれたばかり、事務局もない「反TPP百姓女の会」を行方不明にさせた。事務局をまかされていた私は、まず百姓女の仲間の安否を問うことからはじめた。この時すでに五冊の回らんノートが全国をかけめぐっていたはずだ。そのうち二冊は福島に、二冊が宮城から岩手に、一冊が九州で、それぞれの地の女性たちが「くらし」を記録していた。(2013/03/29)

【女たちのTPP】(1)くらしを記録して   西沢江美子
 「TPPに反対する百姓女の会」ができて二年三ヵ月になる。この会は自然発生的だった。太平洋戦争の敗戦から農家の嫁として、新しい農村で納得して生きることを求めて様々な活動をしてきた、人生豊かな中高齢女性三一人からはじまった。平均年齢七〇歳。「書く」ことで、自己表現をしてきた人たちばかりである。メールが普通ないま、せっせと手紙を書き、FAXを送り、交換ノートに回らんノートと、自分の手からつむぎ出される文字だけが力といった女ばかりが集っている。(2013/03/26)


TPP参加に高まる「反対の声」 日米密約説も飛び交うその舞台裏 安原和雄
  安倍晋三首相がTPP交渉参加を表明して以来、参加是非論が活発になってきている。首相は「TPPはアジア太平洋の繁栄を約束する枠組みだ。日本は世界第三位の経済大国。必ずルール作りをリードできる」と高姿勢である。しかしそれほど楽観できるのか。舞台裏では実施のための日米密約説も飛び交っている。日本国のリーダーである首相が乗り気であれば、ここではむしろ反対論を追跡してみたい。その反対論もなかなか意気盛んで、賛成論よりもむしろ筋が通っている。(2013/03/25)


TPP交渉参加を表明したものの  安部政権の交渉力発揮は幻想か
 安部政権がTPPへの交渉参加を決定した直後の3月17日付け各紙は一斉に世論調査の結果を掲載した。高率を誇っていた安部内閣支持率はさらに上昇、TPP参加についても60%以上の支持が集まった。政府はわが国の外交交渉力を信じろと胸を張る。しかし米国や交渉参加国の動向をみると、日本はほとんど交渉には参加できず、結果を受け入れるだけになりそうだ。米国の市民団体でTPP反対の論陣をはっているパブリック・シチズンのローリ・ワラックは「TPP参加は日本の主権の放棄」と警告する。 (2013/03/18)


TPP:農業生産の減少は国際的な食糧価格上昇を招かないか
 3月15日の安倍首相のTPP参加宣言に関し、農産物への影響が約3兆億円の減少という政府見解が明らかにされた。公表された試算シナリオ「農林水産物への影響試算の計算方法について」は、次のようないくつかの仮定の上の試算している。(有機農業ニュースクリップ)(2013/03/17)


タイ・EUFTA交渉で、タイ市民団体が首相に書簡  「自由貿易協定の悪影響が国全体及びすべてのタイの人々に及ぶことを考慮すべき」
 タイの市民団体23団体から首相に宛てたタイ・EUのFTA交渉開始にあたっての書簡を紹介します。タイは既にTPPへの参加意向の表明をしており、今回のEUとのFTAもTPPに連なる内容を含んでいることが読みとれます。具体的な分野・条項に付いての市民社会の立ち位置を明らかにしており、私たちの反TPPの運動に対しても示唆を与えてくれます。(「TPPに反対する人々の運動」翻訳グループ:近藤康男、翻訳:田中久雄/監修:廣内かおり)(2013/03/14)


米国でも400団体・1500万人がTPP交渉に懸念  過程の非民主性と人権や環境破壊の恐れを指摘 
 TPP(環太平洋経済連携協定)交渉は今年10月の基本事項合意をめざし、アメリカ主導で急ピッチで動いている。安倍政権は2月22日に行われた日米首脳会談で、交渉参加の道は開かれたとして、3月中旬にも交渉参加を表明するとも伝えられている。また、国内の世論も安倍政権の円安株高誘導政策による景気回復の期待が高まる中で、TPP参加は経済成長に欠かせないという政府やメディアのキャンペーンが浸透、交渉参加に賛成する声が強まっている。こうしたTPPをめぐる一連の動きがる一方で、米国内では400の団体が参加、1500万人のメンバーをもつ民間団体「Citizens Trade Campaign(市民の貿易キャンペーン)」が3月4日、連邦議会に書簡を送り、TPP交渉の非公開・非民主性を警告すると同時に、人権や環境汚染、先住民族の主権の侵害、労働者の権利侵害を引き起こす恐れがあることに懸念を表明する出来事があった。米国内でも、TPPが人びとの権利や暮らしに与える影響について、さまざまな議論が出てきていることがうかがわれる。(大野和興)(2013/03/12)


TPP交渉  米・豪・ニュージーランド、日本の労働組合が強い懸念  労働者の賃金・雇用・公共サービスを壊す 
 オーストラリア、ニュージーランド、アメリカなどTPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加している国の労働組合から、TPPの内容や方向性に疑問が出されている。2012年12月にニュージ−ランドで開催されたTPP交渉に際し、ニュ−ジ−ランド、オ−ストラリア、アメリカ、日本の労働組合が声明を発し、いま進められている交渉内容では労働者の賃金や雇用、公共サービスや医療などの権利を侵害するばかりでなく、これまで国際労働運動が積み上げてきたILO(国際労働機関)の基本条約を無視し、移民労働者の権利侵害をもたらすという危惧が示されている。そして、もし交渉を進めるなら「労働者を強力に保護する労働に関する章を含めるべき」と主張している。(大野和興)(2013/02/20)


山形で「ストップ!!TPP山形県民アクション」立ち上がる
 総選挙が終わった直後の二〇一二年一二月、山形で「TPP交渉参加反対」を掲げて幅広い分野の人びとが集まる運動体が立ち上がった。「ストップ!!TPP山形県民アクション」だ。一二月二三日に寒河江市の文化センターで約二〇〇人が参加して立ち上げの集会が行われた。立ち上げ集会では田代洋一多妻女子大教授の記念講演の後、「私たちは、国民生活を守るために、地域医療、教育、食の安全と農林水産業、あらゆる労働者の賃金と労働条件を守るため、TPP参加に断固反対」し「新政権に対して反対の声をあげていく」との運動の基調を確認して幕を閉じた。(大野和興)(2013/01/12)


TPP交渉参加に舵を切り始めた安倍政権  国内の現実はすでTPP体制化にある  大野和興
 TPP(環太平洋経済連携協定)交渉参加問題は、今回の総選挙の争点の一つだった。自民党は「聖域なき関税撤廃を前提にする限り反対」という公約を掲げて選挙に臨み、農村部の票を集めた。「条件付き反対」とも「条件付き賛成」ともいえるあいまいな公約のおかげで農村部の立候補者は堂々と「TPP反対」を標榜できたからだ。安倍政権のTPPへの姿勢は、いま次第に変わりつつある。一連の人事を経て、閣僚、官邸にTPP推進派をそろえ、機会を見てオバマ米大統領に交渉参加を表明するシフトをつくりあげた。(2013/01/10)


【編集長妄言】くらしの足元からのTPP反対運動を  大野和興
 政治運動として展開されているTPP反対運動だが、そろそろ政府の動向だけでなく日常生活や市場、法制度がすでにTPP体制に入っていることに注意を払うべきだろう。米国政府の意向がどうの、野田政権はどうするか、などといった半分政局に振り回されるような運動で事態は動かないと思うからだ。生活の現場、労働の現場での生存権獲得の闘いとして運動を組み直す時期に来ている。(2012/10/15)


米政府、TPP交渉で特定国の薬価算定制度を狙い撃ち  市民のための医療制度の破壊もくろむ
 米国がTPP交渉で薬価基準について新しい提案をしているようだ。米国のメディアInside U.S. Tradeが9月7日付で報道したもので、米国は国家による薬価および同償還(医療機関等への払い戻し)に関して「透明性」の確保を義務づけ。手続きに関しても厳格な規律を求めているというものだ。ニュージランドの薬価国家管理制度を狙い撃ちしたものとみられている。ニュージーランドでは薬価国家管理庁は優遇リストに記載した医薬品の償還費(公的保険による負担分)を設定し、市民の購入価格を安くする仕組みをもっている。この仕組みを米国政府と製薬メーカーは目の敵にしている。この米国提案が通ると、日本の公的医療保険制度が採用している薬価算定制度は成り立たないことになり、国民は製薬会社のいうまま高い薬代を支払わねばならなくなる。(大野和興)(2012/09/12)


米国貿易代表部主席交渉官が語るTPP交渉の今後、「さらにさらに多くの時間を割く必要がある」  
 米国サン・ディエゴでのTPP(環太平洋経済連携協定)拡大会議終了後の7月16日に米国貿易代表部(USTR)主席交渉官のバーバラ・ワイゼル氏が利害関係者向けに行った会見内容を、日本の市民団体「TPPに反対する人々の運動・翻訳グループ」が翻訳したので紹介する。これからのTPP交渉の方向性を示唆する興味ある論点がいくつか含まれている。主席交渉官は「大幅な進展があった」といいながら続いて「さらに多くの時間を割く必要があると認識している」と述べるなど、交渉進展には多くの難問が控えていることを示唆。またオーストラリアが強く反対している「投資家対国家間紛争解決条項」(ISDS)に関して、オーストラリアを例外扱いすることに強く反対、「協定の主要項目からいずれの国も除外されるべきではないというのが基本的な立場である」という米国の立場を強調した。(大野和興)(2012/08/15)


「民主主義・三権分立を蝕むTPPには反対!」全米130名の州議会議員が表明
 米国50州の州議会議員が「50州の130人の州議会議員が「もしTPPが民主主義を蝕み、企業による国外の法廷での米国の法に対する攻撃を許すものであるのなら、我々はそれに反対するものである」との書簡を、TPP(アジア太平洋経済連携協定)の交渉を進めるUSTRのロン・カ−ク代表と主席交渉官のバ−バラ・ウィ−ゼル氏に送付した。7月5日付けで送付された書簡は、TPP交渉の目玉ともいえる投資家対国家間”紛争処理システム(ISDS条項)に焦点を当て、投資企業に国家を超える権限を与えるISDS条項は「立法・行政・司法の決定を蝕み、また合衆国憲法で定められている連邦主義の体制を蝕むことが明らかである」と表明している。書簡に署名した一人の議員は「USTRの交渉担当官が民主主義、連邦制、そして三権分立という建国の原理を蝕もうとしているとの懸念で50州及びプエルト・リコの州議会議員が一致しているのであり、今こそ政府は対応を変えるべきである」と書簡の中で述べている。同書間の内容は、日本の市民組織「TPPに反対する人々の運動」の翻訳チームで翻訳され、ホームページに掲載されている。(大野和興)http://antitpp.at.webry.info/201207/article_6.html(2012/07/21)


≪twitterから≫いま、日本に必要なのは地方経済に大きなダメージを与える過激な貿易政策なのか  鳩山由紀夫
消費税増税の次はTPPへの参加を目指すという。いま、日本に必要なのは地方経済に大きなダメージを与える過激な貿易政策なのか。(2012/07/12)


TPP交渉、投資をめぐる秘密交渉が漏えい  環境や健康などあらゆる分野で国内法を超えて投資家の権益を擁護
 米国主導で行われているTPP(環太平洋経済連携協定)に冷や水をぶっかけるような出来事があった。情報の外部漏えいを恐れ、秘密交渉を貫いているTPP交渉で、投資をめぐる重要な内部文書が流失したのだ。TPPに反対の論陣を張っている米国のNGOパブリック・シチズンがその信ぴょう性を確認、綿密な解説を加えた。それによると、政府調達や公益事業の契約、金融政策、天然資源の獲得、環境政策や食の安全基準など、国民生活にかかわるあらゆる項目で、外国からの投資家が投資国で不利益を被った場合は、外国の裁判機関に訴えることができるとなっている。日本の市民組織「TPPに反対する人々の運動」翻訳チームが全文を訳し、ウエブサイト「当たり前に生きたいムラでもマチでも」で公開している。この漏えい文書は日本の外務省もつかんでおらず、インターネットで流れた文書をおおあわてで翻訳した、という情報もある。(大野和興)(2012/07/08)


≪twitterから≫TPP新規加盟国に恐ろしい恫喝ルール
メキシコ、カナダにTPP加盟9カ国が出した条件は。(アジア太平洋資料センター)(2012/06/21)


≪twitterから≫増税の次はTPPです  孫崎 享
増税の次はTPPです。勿論国民は無視、更に党も無視。滅茶苦茶な政権になってきた。(2012/06/21)


G20でのTPP参加表明にSTOP!!  6・18:市民と国会議員の街頭リレートーク@有楽町イトシア前
 私たち「STOP TPP!!市民アクション」は、「排外主義でないTPP反対」を一致点とする市民団体・消費者団体、労働組合、NGO・NPOのネットワークとして、6月中「STOP TPP!!6月緊急アクション」を実施しています。その一環として、まさにG20直前の6月18日、TPPへの正式な参加表明を阻止するため、下記のとおり街頭アピールを開催します。当日は各党から国会議員も招き、アピールしていた (2012/06/14)


マレーシアとオーストラリアが自由貿易協定に調印  TPP交渉の遅れをみこして錯綜する自由貿易協定
 交渉参加をめぐって国内で政治問題化しているTPP(環太平洋経済連携協定)だが、交渉加盟国のうちの二カ国が一足先に自由貿易協定を締結するという動きがある。マレーシアとオーストラリアの自由貿易協定MAFTAで、5月22日に調印された。MAFTAは7年越しで交渉されていた経過はあるが、なぜいま急きょこうした動きになったのか。オーストラリア公正な貿易と投資のためのネットワーク(Australian Fair Trade and Investment Network)のパトリシア・ラナルド博士(Dr Patricia Ranald)はその論文で「今年中にTPPは締結されないかもしれない、という徴候であると推測できる」と述べている。協定文書は今後条約に関する共同常任委員会にて審議されるが、オーストラリアの市民グループは貿易協定が署名される前に文書が公開されることを求めている。日本の市民グループ「TPPに反対する人々の運動」のニュースレターとウェブサイトが伝えた。(大野和興)(2012/06/07)


チリ政府高官 「TPPがチリにとって利益のあるものでなければ、TPPに署名しないという選択肢もあり得る」
 TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加国であるチリの政府高官が、5月10日からダラスで開催されたTPP交渉のための12回会合を前に、「協定がチリにとって利益のあるものでなければ、TPPに署名しないという選択肢もあり得る」と語ったことが注目を集めている。そう語ったのはチリ国際経済関係総局)のコントレラス局長。チリの経済新聞である「ディアリオ・フィナンシエーロ」でインタビュ−に答えたものだ。日本の市民団体「TPPに反対する人々の運動」がメールニュースで伝えた。(大野和興)(2012/05/25)


TPPでインターネット上の表現の自由制限か  印鑰 智哉
 ダラスのホテルの密室でTPP の交渉が続く。(2012/05/16)


《twitterから》チリ高官、TPP交渉離脱の可能性に言及  印鑰 智哉
チリの高官が TPP から離れる可能性を初めて言及。(2012/05/11)


4・25STOP TPP市民集会  さまざまなの分野から5000人が参加、“生きる権利”を訴え集会とデモ
 野田首相訪米前の4月25日夜、「STOP TPP!!一万人キャンドル集会」と銘打たれた市民集会が東京・日比谷公園野外音楽堂で開かれ、5000人(主催者発表)が参加。多くのミュージシャンも駆けつけ、さまざまの分野・立場からの発言と音楽による集会の後、銀座を歩くキャンドルデモで、人びとの“生きる権利“を奪うTPP参加反対を訴えた。この行動は労働者、農・漁民、生協・消費者・都市生活者、医師・看護師ら医療関係者など、あらゆる領域の組織が政党や団体の垣根を超えて「4・25TPP反対市民アクション実行委員会」を作り、中心的な役割を果たした。(大野和興)(2012/05/01)


経済と軍事の環としてのTPP(4)アジアの武器市場化 大野和興
 ホノルルでのAPEC対抗民衆会議は「MOANA NUI」(モアナ ヌイ)と銘打 たれていた。先住ハワイアンの言葉で「偉大な海」とでもいう意味 だという。 民衆会議の主役は明らかに太平洋の先住の民であった。軍事との 関連でいえば、いま米軍基地の建設が進められている韓国・済州島、沖縄、ハワイ、グアムなどから、米軍基地とたたかっている住 民、活動家が報告にたった。中国シフトの第一線である済州島と沖 縄、グアム、米軍の太平洋司令部があるハワイ、そして今回米海兵 隊が常駐することになったオーストラリア二重,三重に中国を包囲 するこ軍事網は地域的にTPPとほぼ重なる。(2012/04/18)


経済と軍事の環としてのTPP(3)アジアがきな臭くなった  大野和興
 ではいまの世界の状況のなかにTTPをおいてみると、何が見えるか。アメリカから始まり、ヨーロッパ、さらには新興経済国の雄中国へと経済危機はとどまるところをしらない広がりを見せ,世界恐慌の様相を呈している。この状況のなかにTPPをおいてみると、従来の新自由主義的自由化路線とは違った顔が見えてくる。それはブロック経済化への先祖帰りである。(2012/04/17)


経済と軍事の環としてのTPP(2)新自由主義的復興とTPP  大野和興
 2011年3月11日、東日本を襲った大震災で,TPPは吹き飛んでしまったかのように見えた。しかし、現実には震災から一ヶ月後にはTPP交渉参加促進論がよみがえっていた。その予兆は震災直後からあった。ミニコミ誌『反改憲通信』2011年3月29日号に、次のように書いた(2012/04/15)


4/25ーみんなの力でTPP参加を止めよう!− STOP TPP!! 1万人キャンドル集会
 大変緊急ですが、4月25日の夜に幅広い団体が初めて一堂に会して、”STOP TPP!!”を掲げ、日比谷野外音楽堂で緊急集会とろうそくデモを開きます。野田首相が連休中訪米し、オバマ米大統領を会談し、TPP参加を表明するつもりです。そうした動きに”stop”をかけようという行動です。あまり時間がありませんので、是非、広めてください。(大野和興)(2012/04/14)


経済と軍事の環としてのTPP(1)TPPと日米同盟  大野和興
 TPP(アジア太平洋戦略的経済連携協定)はいうまでもなく経済協定である。域内でモノとカネとヒトの動きを徹底的に自由化して、誰にも邪魔されずに動きまわれるようにしようという目標を掲げて、現在九カ国で交渉が続けられている。日本政府や経済界はTPPに参加することで、これからの世界の経済を牽引するアジア太平洋地域の活力を日本経済に取り込め、その結果輸出が増え、経済が活性化、雇用も増えて人々が幸せになると宣伝している。(2012/04/11)


重なり合う米軍再編とTPP―野田首相は訪米で何をもちかえるのかー  大野和興
 連休中に野田首相は訪米して日米首脳会談に臨む。それまでこの内閣が存続しているかどうかはともかく、日米間の懸案であるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)と普天間問題が議題となるには明らかである。沖縄の世論は固く、辺野古への移設は言い出せないので、ここはTPPで大幅に米国の意向を受け入れ、米国をなだめようというのが、どうやら野田首相の訪米にかける思惑のようだ。しかし現実はそうした姑息な思惑を通り越して、TPPと沖縄を軸とする太平洋の米軍再編は相互に関連しあって進んでいる。TPPをめぐる動きをアメリカの対外戦略の中に落とし込んでみると、何が見えるか。(2012/04/07)


■ 3・13 緊急市民国際シンポ   やっぱりTPPでは生きられない!
 TPPをめぐる動きは国内でも国際的にも急ピッチで進んでいます。政府はTPP交渉参加に前のめりで、情報も明らかにせず、今春にも参加を強引に決めようとしています。いま急がなければならないのは、TPPの本質を見極め、ムラとマチ、国境を超えた人びとの連帯で、TPP包囲網をつくることです。TPPに反対する何人かの国際的な活動家と、日本で論陣の先頭に立つ東京大学の鈴木宣弘教授を招いて、TPPをめぐる状況と問題点、各国の運動状況、これからの運動のあり方を討論します。(TPPに反対する人々の運動)(2012/03/07)


グローバリゼーションと日本の再軍備化 その2  池住義憲
 日米関係のなかには、「経済」と「軍事」二つの面でグローバリゼーションが進行している。経済の面を見ると、1960年の木材輸入自由化から始まって、大豆・原綿・原毛(1961年〜)、オレンジ・果汁・高級牛肉(1979年〜)が次々と輸入自由化されてきている。(2012/02/01)


グローバリゼーションと日本の再軍備化 その1  池住義憲
 グローバリゼーションは、そのほとんどが経済の側面で捉えられてきた。しかし、「戦争」「軍事」の視点から捉えてみると、どうなるか。グローバリゼーションは、「戦争」「軍事」と密接に関係し、必然的に生成・発展してきたことが見えてくる。(2012/01/29)


≪twitterから≫TPP:日本の自動車業界は?   孫崎 享
TPP:日本の自動車業界、平然とTPP賛成といい続けるの?(2012/01/15)


80年代  新自由主義3人衆と農業グローバル化の始まり  大野和興
 ぼくは新自由主義三人衆と呼んでいる。1979年にイギリス首相になったサッチャー、81年にアメリカ大統領になったレーガン、82年に日本の首相の座に着いた中曽根康弘−の三人だ。いずれもやったことは共通している。小さな政府を掲げ、福祉や教育をはじめとして、公共のものと考えられていた暮らしのセーフティーネットを解体し、私企業に譲り渡していったことである。その背後には、市場競争こそがもっとも効率的で合理的な社会をつくるという経済思想があった。(2012/01/11)


≪twitterから≫韓国で韓米FTA見直しの動き   孫崎 享
 韓国では米韓FTAの見直しの動きが出ている。実態が解るにつれ、余りに酷い条約であることがわかる。一番問題視されているISD条項はTPPに共通。韓国も日本のTPPと同じく事前に中身は報道されず、 締結後問題点浮き彫り。日本、米韓FTAを学ぶ要あり。(2012/01/04)


《twitterから》武器輸出三原則緩和とTPP  大野和興
 TPP、TPPと騒ぐ米国が売れるものは武器、遺伝子組み換え食品、それにカネ。米国の猛烈な武器売込みがTPPに乗って始まる。(2011/12/28)


≪twitterから≫TPP::狙いは米国企業の利益確保  孫崎 享
山田議員発言:米韓FTAの問題はISD(投資家対国家)に加え、他の制度的問題を保持。ラチェット条項(条約で決めた規制緩和は元に戻せない.例えば牛肉輸入問題に適用)、無違反提訴条項(米国企業が期待した利益を得られなかった場合、韓国がFTAに違反無くても、米国政府が訴えられる。(2011/12/23)


≪太平洋の島から≫(下)太平洋諸島には異なる経済が存在する  アダム・ウォルフェンデン(翻訳:安藤丈将)
 太平洋諸国の75%以上からメンバーを出していると自称する太平洋教会会議という組織は、最近「オセアニアを再考する」という報告書を出しました。この報告書は、太平洋諸国が現在進んでいる方向性と、そこで売り出されている「開発」に対して、明確な異議申し立てをしています。しかし、私たちは、どうすれば自分が生きたい場所にたどり着けるのでしょうか。教会会議の言葉を借りて言うならば、私たちは、どうすれば企業のグローバリゼーションから脱出できるのでしょうか。(2011/12/06)


≪太平洋の島から≫(上)新自由主義の脅威は「開発」という衣装をまとって現れる アダム・ウォルフェンデン(翻訳:安藤丈将) 
 APEC首脳会議が開かれたホノルルで、首脳会議と並行して対抗民衆会議がもたれた。11月12・13日にかけて行われた民衆会議の名前は「MOANA NUI」(モアナ ヌイ)、先住ハワイアンの言葉で「Great Ocean」という意味だという。太平洋の諸島から多くの先住の民が参加、新自由主義という名の再植民地化に反対する声を上げた。その民衆会議におけるアダム・ウォルフェンデン(Pacific Network on Globalisation)の報告を紹介する。彼はその報告のタイトルを「星に導かれて航海し、自分の尊厳を大切にする:オセアニアにおける経済的な自己決定 」とした。翻訳は安藤丈将。(日刊ベリタ編集部) (2011/12/04)


経済と軍事の一体化が明瞭になったTPP  APECホノルル会議後のアジア  大野和興
 11月12,13日とホノルルで開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議が終わったとたんにアジアがきな臭くなった。APECのホスト役を終えたオバ マ米大統領はそのあとすぐにオーストラリアに飛び、ギラード豪首相と会談、オーストラリア軍の基地があるダーウィンに米海兵隊を常駐させることで一致したとスピーチ。あわせて「アフガニスタン、イラクは終わった。今後アメリカはアジアに全面的にコミットする」と強調した。APECホノルル会議を舞台に進められているTPP(環太平洋経済連携 協定)と重ね合わせてこの動きをみるとき、経済と軍事を一体化したアメリカのアジアシフトが新たな段階を迎えたことを読みとれる。(2011/11/22)


≪twitterから≫TPP日米食い違い 嘘も貫徹できない日本の首相  孫崎 享
 16日ジャパンタイムズ「野田首相は国会質疑で米側コメント(全てが対象)の修正を再度求めることをしないと言った」。はい、解決しました。”全て交渉の対象”とする米国のコメントは残ります。まあそういう人です。(2011/11/17)


”Occupy with Aloha” APECホノルルの晩さん会をoccupyしたミュージシャン  「おれたちのほうが多いぞ」
 ニューヨークでoccupyを掲げた抵抗者が警官隊によって公園から追われているその時、オバマがホスト役を務めたAPECホノルル首脳会議の晩餐会が一人のミュージシャンによってoccupyされた。歌手の名前はMANAKA、ハワイでは有名な歌手だという。彼はステージに立つとやおらジャケットの前をはだけた。現れたのは「Occupy with Aloha」 (アロハで占拠)と> 書いたTシャツ。各国首脳の前で、「We are the many」という作ったばかりの> 曲を披露した。(日刊ベリタ編集部)(2011/11/16)


TPPでは生きられない! 草の根の運動が動き出す 
 野田政権は就任以来、TPP(環太平洋経済連携協定)参加に向けしゃにむに突き進んでいる。とりあえず11月12、13日にホノルルで開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議で米国の要請に沿って現在9カ国で進んでいるTPP交渉に日本も参加することを表明する方針だ。これに対し、与党民主党内でも促進派と慎重派に分かれ、党内抗争が繰り広げられる事態が続いている。一方,TPP参加反対の運動も徐々に広がり、農業団体、医師会などの行動がメディアに現れるようになった。10月31日には、農民や市民で構成する「TPPに反対する人々の運動」が都内でTPP交渉参加反対を掲げてシンポジウムを開催、「TPP反対の大きな流れをつくりだす」との宣言を発するなど、草の根の運動も盛り上がりを見せ始めた。(大野和興)(2011/11/01)


自由貿易協定 米労働組合「2001年以来300万人の製造業の雇用が失われた」
  自由貿易協定の源・米国では2001年以来製造業界で300万人の雇用が失われたと労組AFL−CIOは批判している。だが、オバマ政権に移行後も自由貿易協定は次々と締結されている。(2011/11/01)


≪twitterから≫ 占領と今:ケナン「日本は次々ご馳走出したのです」 孫崎 享
 占領と今:日本に今日、占領時代の迎合が綿々と生きていると同様、米国にも占領気質が今日も継続。(2011/10/31)


内需重視と地域自立型経済の選択を TPP依存型の成長戦略は間違いだ 安原和雄
  野田佳彦首相は10月28日、衆参両院の本会議で就任後2度目の所信表明演説を行い、TPPの交渉参加についてこう述べた。「引き続きしっかりと議論し、できるだけ早期に結論を出す」と。いかにも官僚答弁という印象だが、首相のハラはすでに交渉参加に決まっている。TPP参加は何をもたらすか。日本の「国のかたち」を<壊す>のか、それとも<新たに築いていく>のか。望ましい選択は<新たに築いていく>路線である。これはTPP依存型の成長戦略は間違っているという認識に立って、国内需要重視、地域自立型経済、反グローバル化を選択する路線である。(2011/10/30)


《10月31日・緊急シンポジウム》 やっぱりTPPでは生きられない─震災復興に乗じたTPPにNO!  金子勝/色平哲郎/鴨桃代/山下惣一
 未曾有の地震と津波に加えての原発事故。「原発推進とTPP」を進めてきた財界の構想は破綻しました。野田政権は震災復興を最優先に掲げていました。ところが、ここに来て、野田首相は「TPP参加について早期に判断する」としています。11月のハワイでのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)に向けて、参加表明が唐突に行われるのではないかと言われています。国の食糧基地である被災地の復興とTPPは両立しません。また、TPPは農業だけの問題ではなく、多くの国民にメリットはありません。私たちは2月に続いて、再び座談会を計画しました。大いに議論し声を上げていきましょう。(TPPに反対する人々の運動)(2011/10/28)


得する人は1% 損する人は99%〜「レイバーネットTV」でTPP問題を特集
 10月20日のレイバーネットTV第21号放送では、いま話題のTPPを取り上げた。特集タイトルは「TPPってなに? 知らないうちにハゲタカの餌食」で、ジャーナリストの大野和興さんと医者の本田宏さんがゲストだった。(レイバーネット松原明)(2011/10/22)


≪twitterから≫「TPP、小沢前向きは誤りです」  小沢一郎事務所
 今日、一部紙面等で『TPPについて「小沢氏前向き」』と報じられておりますが、それは誤りです。(2011/10/21)


≪twitterから≫米倉経団連会長(住友電工会長)はTPP遺伝子組み換え表示撤廃で大儲け
 TPPについて、政府は党の会議で、幾つかの懸念材料について認めた。その内のひとつが、遺伝子組み替え作物の表示問題。(川内 博史)(2011/10/19)


現実を歪曲する大手メディアのTPP推進論 松平尚也
 TPP反対・慎重派批判のレトリックの問題をここ数日大きく感じるようになっています。その象徴ともいえるのが10月16日の朝日新聞の社説です。最近の急展開の議論の中での問題はまさにこの社説のように大局的な視点から行動して細かいこというなというものがあります。しかしその問題はTPP交渉の現実からは乖離しています。(2011/10/17)


≪twitterから≫TPPの嘘、詭弁蔓延  孫崎 享
毎日社説批判(TPP):TPPの嘘、詭弁蔓延。(2011/10/12)


TPPに前のめりの野田政権  しかし肝心のTPP交渉の行方は霧の中  大野和興 
 野田首相は11月にホノルルで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議で、TPP(環太平洋経済連携協定)参加を表明したいと前のめりだ。与党民主党の前原政調会長も張り切っている。一方で党内の慎重派は署名活動を展開して、執行部をけん制している。読売新聞や朝日新聞などマスメディアも、TPP推進のキャンペーンを張っている。だが、国内のこうした動きとは裏腹に、国際的にはTPP交渉の雲行きはなんだか怪しくなっている。TPPをめぐる国内の状況は、メディアの報道を含め、日米同盟に縛られた内向きの議論という気がしてならない。(2011/10/10)


なぜ日米政府はTPPにこだわるのか(下) 経済よりも政治選択なのだ 大野和興
  米国の参加を境に、小国どうしの連携をめざすものだった同協定は大きく性格を変えた。徹底した自由化路線を維持しながら、米国が主導する広域経済連携協定をめざす存在になったのである。さらに2010年11月に横浜で開かれたAPEC首脳会談で、APEC参加二一カ国を枠組みとするアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を実現するための土台として「ASEAN(東南アジア諸国連合)+3」、「ASEAN+6」と並んでTPPが位置づけられた。(2011/09/24)


なぜ日米政府はTPPにこだわるのか(上) オバマに「TPP、やる気あるのか」と脅された野田首相  大野和興
  22日にオバマ大統領と会談した野田首相は、「普天間で結果を出せ」「米国産若牛肉を早く買え」「TPP、やる気あるのか」を脅されてしまった。野田首相が「努力します」という意味のことを神妙に答えている姿がテレビで流れた。日米同盟は最右翼読売新聞はさっそく23日の社説で「同盟深化へ『結果』を出す時だ」と煽り、TPPについて「11月(APECホノルル首脳会議)が日本参加決断の期限」を尻を叩いた。いったいなぜ米国はこれほどTPPへの日本参加にこだわり、日本政府はそれに追従するのか、考えてみた。(2011/09/23)


≪twitterから≫ TPPと東アジア自由貿易圏
  日・中・ASEAN自由貿易は中国参加。従ってTPP構想と多分矛盾。米反対なら、どうするのか。(孫崎 享)(2011/08/14)


運動から生まれた運動のためのパンフ  『TPP−あたりまえに生きたい ムラでも、マチでも−』 編・発行 TPPに反対する人々の運動  定価100円
  3月11日の東日本大震災で息をひそめていた感のあった「TPP推進論」が息を吹き返し、経済界や大手マスコミが「早く日本も交渉に参加を」とはやし立てている。その論理は、大震災の復興には巨額に資金がいる。その資金を調達するには税収を増やさなければならない→税収を増やすためには日本経済が活性化する必要がある→日本経済活性化のためには貿易と投資の自由化が必要であり→それを徹底的に進めることを目指しているTPP参加を、いまこそ進めるべきだ、というものだ。(大野和興)(2011/08/05)


【編集長妄言】TPP参加へとまい進する「新自由主義的震災復興」のシナリオとどう対抗するか  大野和興
  案の定出てきたな、というのが率直な感想だ。日本経団連が4月18日、日本の通商戦略に関する提言を発表した、その内容についての感想だ。提言は、大震災後、論議が停滞しているTPP(環太平洋経済連携協定)について、「早期参加は依然重要な政策課題」とそたうえで、「震災後の経済復興に向けたグローバルな事業展開、円滑なサプライチェーンの構築に不可欠」と主張。参加しなければ「国内生産拠点がTPP参加国に移転してしまう」と、脅しとも見える言及をしている。(2011/05/17)


【Twitterから】TPP参加は経済社会の植民地化確定  読売社説に反論  孫崎亨
  今日の読売新聞社説は「TPP参加で復興に弾みを」。そろそろこんな論調が出てくると予想していた。早速、外交評論家の孫崎亨さんがTwitterで反論。とても鋭く説得力がある。転載する。(日刊ベリタ編集部)(2011/05/15)


ブックレット『TPP反対の大義』  気になる「内へ、内へ」の視座  大野和興
 いま本屋をのぞくと、TPP関連本が平積みになっている。本書はその先駆けとなったもので、とてもよく売れているという。あれよあれよという間に、それまで公の場での開かれた論議など一度もなかったTPP(環太平洋経済連携協定)なるものが国政の最重要政策の一つになった昨年秋、その状況にぴったりと照準を合わせるタイミングで出版された。学者、農民、消費者組織のメンバーまで26人がそれの分野でTPPの本質やそれが持つ問題点について、短いが的確な分析行った文章を寄せている。(2011/03/06)


【TPPって何なんだ】村あげて「TPP参加反対」のデモをおこなった中川村の映像
  村あげての「TPP参加反対」のデモを2月20日に行った長野県中川村の映像がyoutube(ユーチューブ)で届いた。「TPPは地域を壊し、経済も暮らしも成り立たなくなる」と農業・農民団体、商工会、労組、女性組織などなど村のあらゆる階層が立ち上がり、村長を先頭にアピールした。子どもをあぶったり、手を引いたお母さん、車いすの人、お年寄りから子どもたちまで、手を振り歩いている。(日刊ベリタ編集部)(2011/02/24)

【TPPって何なんだ】長野県中川村でTPP反対デモ   「地域経済守れ」と村長先頭に村一丸
  長野県中川村のTPP反対デモは2月20日、予定通り行われた。朝日新聞長野県版2月21日号はその模様を「JA中川支所をはじめ、農業と直接にはつながらない村商工会や村建設業協会など、立場を超えた9団体が結集。予想の倍以上の380人が、村役場からの2.4キロを約1時間かけて歩いた。「地域経済を守れ」「日本の食と緑を守れ」とシュプレヒコールするだびに鳴り物が響いた」と報告している。(日刊ベリタ編集部)(2011/02/21)


【TPPって何なんだ】「どこでも誰でも百姓で生きていける幸せを」  TPPに反対する「百姓女の会」が動き出す  西沢江美子  
  TPP(環太平洋経済連携協定)参加反対を掲げた農村女性の小さな集まりが2月18・19日に埼玉県下で開かれ、全国から農業に携わる女たちが参加しました。「どっこい生きたい百姓女の会―どこでも誰でも百姓として生きられる社会をつくろう―」と銘打たれたこの集まりは、18日はさいたま市で、19日は秩父市で持たれ、北海道から沖縄まで延約100人が参加、「どこでも誰でも物がつくれ、加工ができ、販売でき、買い物難民にならず、お医者さんにかかれ、孫たちが学校で学べ、移動の足がある社会」をつくるために「TPPに反対する」ことを申し合わせました。この申し合わせをもとにそれぞれの地元議会や首長、政府に働きかけると同時に、地域で小集会を積み重ねて社会に自分たちの思いを訴えていきます。(2011/02/20)


信州・中川村のデモと新聞報道
  明日、村を挙げて反TPPのデモを行う予定の中川村。村のホームページには先月、東京の大手町で行われたTPP協定に反対する内橋克人氏の講演を伝える記事(農業協同組合新聞)がリンクされている。興味深いのは内橋氏がTPP協定は90年代半ばにOECD(経済協力開発機構)加盟国間で構想されたMAI(多国間投資協定)の焼き直しではないか、と指摘している点である。(2011/02/19)


【TPPって何なのだ】TPPは民主的プロセスを破壊する  アメリカでは市民グループがTPP改革を打ち出す  
  アメリカでも国際協力、環境、人権などに携わる有力NGO、市民グループがTPP交渉を監視する活動を進めている。彼らは、TPPに反対するというよりも、それを通して民主的で弱者や万環境にやさしい貿易&投資をめぐるルールを新しく作り直す必要性を主張している。彼らのスローガンは「New Deal or No Deal(新しい協定を、それができないならば協定などやめてしまえ)」というものだ。(安藤丈将)(2011/02/19)

【TPPって何なんだ】TPPは村を壊す! 長野県中川村が村挙げて反対、20日に全村デモ
  農業問題だけにとどまらず国民生活に甚大な影響を及ぼすTPP(環太平洋経済連携協定)で地域の共同体そのものが破壊され、「限界集落」化に拍車がかかることは間違いないとして、長野県 中川村では、農業委員会、農協、農民組合といった農業関係者のみならず、議会、商工会、建設業協会、新婦人の会、労組も含め、男性・女性、広く右から左まで一致して、村を挙げてTPP参加に反対する行動を起こす。村長さんはメールで「黙っていれば、乱暴に一挙に事を進められかねません。チュニジア、エジプトに学び、意思表明の声を挙げるため、この日曜日、デモを行います」と呼びかけている。(日刊ベリタ編集部)(2011/02/17)


【TPPって何なんだ】オーストラリアでも反対を掲げ市民運動 食・労働・環境・医薬品・メディア・文化などすべてが侵される
  TPP(環太平洋経済連携協定)交渉の有力ないっかくを占めているオーストラリアでも市民グループや教会、労働組合などを軸にTPP参加反対の市民運動が動いている。その主張は「健康、労働、文化、環境政策を取引してはならない」というもの。30以上の市民運動のネットワークが政府への要請行動などを行っている。(安藤丈将)(2011/02/11)


TPPを考える1冊 〜 ジェーン・ケルシー著「異常な契約 TPP」(No Ordinary Deal)〜.
  21世紀の通商条約と言われ、菅政権も参加を検討しているTPPだが、その実態は日本ではまだあまり知られていない。そこで参加予定国のニュージーランドで反TPPの活動を繰り広げているオークランド大学教授ジェーン・ケルシー(Jane Kelsey)さんが編集した本を紹介する。(日刊ベリタ編集部)(2011/02/05)


【アジア論調】果たされぬ約束 比日EPA見直しを
 2006年9月に締結された比日経済連携協定(EPA)の前文によると、同協定は、物品とサービスの貿易自由化、円滑化によって「より大きく新たな市場を創設し、両国の経済効率および消費者の福祉を向上し、両国市場の魅力および活力を高め、貿易と投資の拡大をもたらす」とされた。 08年10月の上院批准前から、「一部条項は日本側に過度に有利であり不当」と指摘する声があったが、発効から約2年が経過した今、この批判的意見の正しさが立証されようとしている。(2011/01/31)


【TPPって何なんだ】ニュージーランドでも市民、学者、労働組合が反対に立ち上がり、ネットでも訴え
  政府や経済界の主張、主要メディアの報道などをみていると、TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉に参加している九カ国では、国内に何の矛盾もなく貿易と投資の完全開放を目指すTPP参加を追求しているかに見える。だが、政府がTPPに積極的といわれるニュージーランドでも、有力政党の緑の党、学者、労働組合、市民グループなどが反対に立ちあがっており、その運動をネットで結び、情報を流しあり政府に反対の手紙を送るウェブサイト「TPP WATCH」が活躍している。(大野和興)(2011/01/30)


当たり前に生きたい、ムラでもマチでも  2月26日に都内で、百姓が呼びかける「TPPでは生きられない!座談会」
  百姓の呼びかけでTPP参加阻止集会とデモが2月26日に東京で行われる。「当たり前に生きたい、ムラでもマチでも−TPPでは生きられない!座談会−」と銘打たれた小さな集まりだ。予定されている集まりは小さいが、もつ意味は大きい。(大野和興)(2011/01/17)


『世界経済を破綻させる23の嘘』(徳間書店)  自由主義経済学の価値観、問題点を徹底的に批判し、提言する  崔勝久
  『世界経済を破綻させる23の嘘』(徳間書店、原題は「23 things they do not tell you about capitalism」2010, by Ha-Joon Chang)をお薦めします。この30年間、世界を席巻してきた新自由主義政策を支えてきた自由主義経済学の価値観、問題点を徹底的に、しかも脚注をつけることなく優しく説明したいい本です。表紙にはマーティン・ウルフ、チョムスキーやスティグリッドからの賛辞があります。世界的にも注目されている新鋭の学者のようです(2010/12/17)


【TPPって何なんだ!】マレーシアでも反対運動  「農業・食の安保、環境、労働者、公共サービスなどに悪影響を与える」
  日本の新聞、テレビはこぞって、TPP(環太平洋経済連携協定)参加9ヵ国は官民あげてTPP締結に取り組んでいて、これに乗り遅れると日本経済は沈没してしまう、という報道を続けている。だが、現実には無条件関税撤廃や投資、公共サービス、労働などあらゆる面で自由化を進めようというTPPへの参加は、各国の経済や社会にインパクトを与え、社会的経済的弱者を直撃することは、日本と変わりない。マレーシアでは市民団体によるTPP反対の運動が動き出している。地元市民団体のブログから、その動きをお伝えする。(稲垣豊)(2010/12/10)


【TPPって何なんだ!】狙いは日米同盟強化 経済政策より政治選択だった 大野和興
  TPP(環太平洋経済連携協定)という聞きなれない言葉が、ある日突然メディで踊りだした。10月1日の国会での所信表明演説で菅直人首相が取り上げたのが発端なのだが、それはいかにも唐突であった。政府・与党内でも国会でもほとんど論議されないままいきなり総理の口からTPPという聞きなれない言葉が国の重要政策として飛び出したのだ。待ってましたと、経済団体がTPPに参加し、世界の自由貿易の流れに乗れという要望書を政府に突き付け、新聞、テレビには「このままTPPを見送ると日本は滅んでしまう」という論調であふれた。いったいTPPって何なのだ(2010/12/07)


APEC横浜宣言を批判する(その3) 資本のためのAPEC共同体 小倉利丸
  横浜宣言では、ASEAN共同体がことさら強調されている。そもそも「共同体」という概念が、国家間の国際関係として、どのように定義されているのか、宣言には何一つ明らかにされていない。宣言のなかでは、「我々が構想する共同体」として三つの柱が提起されているが、これは自由貿易・投資を可能にする市場統合と市場経済の成長と資本のための安全保障の枠組みであり、これをあえて「共同体」として括ることが可能なのかどうか、この点については、はっきりしない。以下では、この定義問題をとりあえず棚上げにして三つの柱に沿って問題点を指摘する。(2010/12/01)

APEC横浜宣言を批判する(その2)  ボゴール目標と自由貿易・投資は繁栄と成長をもたらしたのか? 小倉利丸
  首脳宣言では、これまでのAPECを振り返り、ボゴール目標の正しさを次のように述べた。「アジア太平洋地域は,ボゴール目標の達成に向けた個別の及び共同の取組を通じて,貿易及び投資に対する障壁を相当程度削減してきた。これらの取組は,地域における貿易と投資量の増大,持続的な経済成長及び人々の福祉の大幅な改善へとつながった。」。本当にそうなのか。検証する。(2010/11/26)

APEC横浜宣言を批判する(その1)  小倉利丸
  APEC(アジア太平洋経済協力会議)横浜の首脳会議が11月14日に終わり、「横浜ビジョン、ボゴール、そしてボゴールを越えて」と題された首脳宣言(横浜宣言)が出された。横浜宣言は、途上国市場から生み出される利益を途上国資本が独占するような途上国政府の対応を牽制して、先進国の資本に利益を配分するように要求する政治的圧力としての意味を持っている。日本も含む先進国は、自国国内市場を途上国資本にも開放するようなポーズをとり、これを囮に、自由貿易・投資の罠に追い込み、途上国の国内市場を開放させることを狙っている。(2010/11/25)


「日・ペルー経済連携協定締結交渉」完了 農林水産分野について農水省が概要を明らかに
  2009年5月に交渉を開始した「日・ペルー経済連携協定締結交渉」は、11月14日に横浜で開かれたAPEC首脳会議に合わせて行われた日・ペルー首脳会談後、両首脳により、「日・ペルー経済連携協定の交渉完了に関する共同声明」への署名が行われた。そのうち農林水産分野について、農水省のサイトは、米麦など重要品目は関税撤廃から除外するなど、概要を公表した。(日刊べりタ編集部)(2010/11/24)


霞が関にムシロ旗がはためく  「農林漁業を壊滅させるTPPは断じて認めない」と3000人がデモ行進 
横浜で11月13・14日と開かれたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で、アジア太平洋地区の自由貿易地域を作る土台の一つに、TPP(環太平洋経済連携協定)が位置づけられ、日本の参加を希望する状況となった。その前夜、霞が関の官庁街を長いデモの隊列が続く。プラカードや横断幕の中にムシロ旗がはためく。横浜市でAPEC(アジア太平洋経済協力会議)閣僚会議が始まった11月10日、東京では全国から結集した3000名の農民・漁民が日比谷の野外音楽堂でTPP(環太平洋経済連携協定)参加に断固反対する集会を開いていた。主催者を代表してあいさつに立った全国農業協同組合中央会(JA全中)の茂木守会長が「TPPに参加すれば日本の農業は壊滅する。断じて認めることはできない」と語気を強めた。危機感を強めているのは生産者だけではない、農業・漁業が衰退すれば「地域社会が崩壊する」と全国町村会や地方議会も懸念をあらわにしている。農業・漁業などの一次産業を壊滅させ、国の産業構造を根底から覆しかねないTPPへの参加が、何の議論もなく浮上し、検討され始めていることに農民・漁民は心底憤っている。(上林裕子)(2010/11/16)


練達の百姓がうめいた TPPを迎える農の現場から 大野和興
  今日からAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議が横浜市内で開幕した。会議では、域内の自由貿易を軸とする経済連携の強化を目指して話し合いが行われる。このAPEC首脳会議をめぐり,日本国内ではTPP(環太平洋連携協定)への参加を巡って「農業開国」論議が盛り上がっている。米国や豪州など世界の農業大国に日本の農業をまるごと差し出すことになりかねないこの動きの影で,いま国内農業は瀕死のうめき声を発している。農業生産現場からの報告をお届けする。(2010/11/13)


農と食は売り物じゃない! APEC横浜に向け、「TPP・貿易自由化を考える」市民フォーラム
  11月14日に横浜で開かれる「いらない!APEC横浜民衆フォーラム」では「農と食は売り物じゃない!TPP・貿易自由化を考える」分科会を開きます。最近、大きく注目を浴びている「環太平洋戦略的経済連携協定」(TPP)ですが、それらを含めて自由化と食と農のあり方を考えます。多くの方の参加をお待ちしています。(市村忠文)(2010/11/10)


世界社会フォーラム、今年は世界各地で開催  日本では1月に東京、3月に大阪でさまざまな社会運動が集まり討論
  今世紀に入り、世界の民衆運動をリードしてきた世界社会フォーラム(WSF)は2010年は各国、各地域で開かれる。日本ではさまざまの分野の社会運動、NGO、労働組合などが集まり、1月24日に東京で首都圏集会が、3月21・22日には関西で「おおさか社会フォーラム」が開催される。(大野和興)(2010/01/03)


WTO閣僚会議、2010年妥結は霧の中  勢いづく反対運動の市民グループ
  ジュネーブで11月30日から開かれた世界貿易機関(WTO)の閣僚会議12月2日(日本時間3日未明)に閉幕するが、大方の予想通り、ただ集まっただけ、という結果に終わるようだ。その一方でジュネーブには世界中からNGOや市民団体、農漁民が集まり、自由貿易に反対するデモや交互行動を繰り広げた。いくつかの動画でその模様を見てみる。(日刊ベリタ編集部)(2009/12/02)


新自由主義は失敗した、後発開発途上国は国家と市場の新しい相互関係をデザインせよ  国連貿易開発会議が提言
  国連貿易開発会議(UNCTAD)は、「LDCs(後発開発途上国)に関するレポート2009」で、後発開発途上国は現在の市場主義に代わる新しい国家と市場の関係性をつくりだし、「自分たち自身の社会制度を作り出さなくてはならない」と提言している。この提言は2009年7月16日に出された。だが、メディアはG8やG20には大騒ぎするが、国連を舞台とした重要な決定や主張はほとんど取り上げない。このUNCTADの提言もその一つだ。 Inter Press Service(IPS)は「『国家の復権』−UNCTADが宣言」として、この提言を報道した。(大倉純子)(2009/09/02)


2010年にWTO交渉妥結というが  世界貿易の利害対立と保護主義に流れはむしろ強まる
  WTO(世界貿易機関)は今年11月30日〜12月2日にジュネーブで閣僚会議を開催する。これは6月25日にパリで開かれたWTOの非公式閣僚会議で確認されていたが、ほとんど注目されていなかった。この閣僚会議の意味がクローズアップされた背景には、イタリア・ラクイラで7月8日-10日に掛けて開かれた主要8か国(G8)首脳会議(ラクイラ・サミット)で新興六カ国(ブラジル、中国、インド、メキシコ、南ア)を加えたG14において、停滞状態に陥っているWTO(世界貿易機関)の新多角的貿易交渉(ドーハラウンド)を2010年にまとめることで合意したことがある。G14はWTO交渉妥結に向け、「野心的かつ均衡の取れた結論を求め取り組む」ことで一致した。しかし、これまで交渉の進展を阻んできた途上国と先進国、先進国間、途上国と新興国、農産物輸入国と輸出国といった多極的な利害の対立構造が解消しておらず、むしろ経済危機の中で問題は深まっている。その意味では、今回の合意も、WTOが死んではいないということを見せるためのパフォーマンスという見方も成り立つ。(大野和興)(2009/07/13)


水資源の多国籍企業による私有化と、市民による奪還と直接民主主義の進化 —ボリビアの経験—
  「水の世界フォーラム」とそれが包含するものが話題になっているので、その問題と民衆がどう関わったかの一例としてボリビアでの経験を概観してみたい(これは、Jeff Conantのネット紙AlterNet2009.01.09の記事その他に基づく)。(バンクーバー=落合栄一郎)(2009/03/30)


岐路に立つ世界水フォーラム(下) 広がり深まる「水の公正」を求める運動  松平尚也・山本奈美 
  3月22日は、国連が定めた「世界水の日」である。3日に渡って開催された閣僚会議の成果として、この日に発表された閣僚宣言は、皮肉にも国連が謳う「水は人権である」という文言を除外しての宣言となった。宣言で確認されたのは、「水は基本的なニーズ(需要)である」というものであった。(2009/03/28)

岐路に立つ世界水フォーラム(上) ビジネスと人権のせめぎあい  松平尚也・山本奈美 
  2009年3月22日、イスタンブール(トルコ)で7日間に渡って開催されていた、第5回世界水フォーラムが閉幕した。世界水フォーラム(以下水フォーラム)は3年ごとに開催されてきたが、今回の大きな特徴は、「水が利潤を生み出す商品として捉える、民間企業支配下の最後の水フォーラムにするべきだ」との声が、フォーラム会場やイスタンブールから海を越えて、国際的に響き渡ったことだと言える。その争点とは何だったのか?世界中から集結した市民やNGOは何を訴えたのか?以下、緊急にまとめてみた(2009/03/27)


国連総会議長、世界水フォーラムに懸念を表明  「民間の水企業に深く影響されている」
  国連総会議長のミゲル・デコント・ブロックマン氏は世界水フォーラム送ったメッセージで、「世界水フォーラムという機構とその活動に対し懸念を表明しなければならない」と述べた。同氏はこのメッセージで、「水は公的な領域に属し、人々と自然に共通の遺産であり、基本的人権であ」り、「水が市場で売り買いできる商品であるという考えに対して意義を唱えていく必要があると考えます」と明確に語り、「水の私営化を進める人々は、水を石油のような商品としており、空気のように基本的な人権であることを否定しています」として、世界水フォーラムが利潤を追求する民間企業の影響下にあることに懸念を表明した。このメッセ^ジは3月19日、国連総会議長の水問題アドバイザーであるモード・バロー氏によって発表された。(大野和興)(2009/03/23)

”水は人権” 世界水フォーラムで水の公正(ウォーター・ジャスティス)求め、市民グループ・NGOが活動
  3月16日から22日かけ、トルコのイスタンブールで開催されている第5回ファーラムは、水の公正(ウォーター・ジャスティス)を求める世界中からやってきた市民運動家やNGO活動家の声を背景に波乱含みの展開となっている。アクティビストたちは、“水は人権”を合言葉に、「今回の水フォーラムをグローバル水企業影響下で開催される、最後の水フォーラム」としようと呼びかけるデモやシンポジウム、ワークショップなどさまざまな活動を展開しており、日本からも水問題に取り組んでいる市民グループやNGOが参加、世界の市民とともに活動している。(大野和興)(2009/03/21)


自由貿易反対と有機農業推進が大きな柱 韓国農民運動について聞く
  韓国の農民運動の強さは世界的に定評がある。特に農業のグローバリゼーション・自由貿易に反対する運動は、反グローバリゼーションの国際的な農民運動のネットワーク『ヴィア・カンペシーナ』(農民の道)の運動をリードする有力組織のひとつだ。韓国農民運動のナショナルセンターは韓国農民会総連合Lee Chang –Han政策委員長に、、その組織論や運動方針について聞いた。(堀井修)(2009/03/13)


オバマ米大統領、大規模農業生産者への補助金削減を示唆
  難航しているWTO(世界貿易機関)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の争点のひとつが、米国やEUが行っている自国の大規模農業生産者への多額の補助金。先進国農業が世界の農産物マーケットを占有する要因と途上国は反発している。オバマ米大統領は24日、大規模な農業生産者への直接支払いを削減する考えを示した。(大野和興)(2009/02/27)


タイ米自由貿易協定、交渉再開か
  市民団体やNGOによる反対運動の盛り上がりやタクシン政権をめぐるごたごたで、三年間にわたって中断したままとなっているタイと米国の間の自由貿易協定(FTA)交渉が再開される見通しが出てきた。米国で新政権が発足、さらに世界経済危機で保護貿易の動きが広がり始めているという状況が背景にある。両国間貿易にも悪影響が出はじめており、それが交渉を復活させようという動きになったものと見られている。(大野和興)(2009/02/18)


東アジア平和フォーラム(下) 国民国家を超えて、「わたしたちは東アジア人になれるか」を問う
  日・中・韓の社会運動家、研究者、ジャーナリオストらが集まって2008年11月、中国・深センで開いた「東アジア平和フォーラム」。開会報告をした韓国知識人は「ナショナリズムを乗り越え」「国家を超える普遍的な思想と実践をわたしたちはつくりあげることができるか」と問いかけた。それを彼は「わたしたちは東アジア人になれるか」と表現した。きびしい民主化のたたかいを潜り抜けた韓国知識人の深い知性と洞察力に裏打ちされた言葉であった。(大野和興)(2009/02/17)

オーストラリアで気候変動問題が政治の焦点に(下) 気候変動が弱者を襲う現実と社会運動はどう向き合うか
  オーストラリア市民グループや環境NGOによる「気候変動アクション・サミット」二日めの2月2日の午後は、「気候変動とグローバルな公正」というワークショップに参加した。前日、AFTINET(公正な貿易と投資のためのオーストラリア・ネットワーク)の活動家であるアダム・ウォルフェンデンさんhttp://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200809111230094と偶然に会って、誘われたワークショップである。この会合は急きょセッティングされたもので、当初のプログラムの中にはない。事前に準備されたワークショップ以外にも、参加者がオープン・スペースで自由にワークショップを主催できるようになっている。会合では、1999年シアトルでのWTO閣僚会議への抗議行動を端緒とするグローバル・ジャスティス運動の歴史と成果と、参加者たちによる気候変動への取組みの経験とを交差させるような議論がなされた。ほぼ同時期にブラジルのベレンで開催されていた世界社会フォーラムでの気候グループの声明を紹介しながら、地球温暖化をめぐるローカルな行動を世界の動きとつなぎ合わせるような工夫がなされた。(キャンベラ=安藤丈将)(2009/02/16)

オーストラリアで気候変動問題が政治の焦点に(上) 多様な議論と行動を繰り広げる環境運動
  オーストラリアでは長いクリスマス休暇が終わり、2月3日から始まった国会の前を環境・エコロジー運動に取り組む人々が埋め尽くした。子供づれや女子学生を含む人びとが1・6kmに及ぶ国会を包囲、気候変動は赤信号(危険なレベル)である」と訴えたのである。一年前国会を取り囲んでいたのは、各地かたらやってきたアボリジニーたちであった。2008年2月13日には、就任したばかりのラッド首相が白人社会によるアボリジニーへの侵略についての責任を認め、政府として公式に謝罪の言葉を述べた。「ソーリー・スピーチ」として知られるこの演説から1年、オーストラリア政治において、気候変動はもっとも関心の高い問題の一つとなった。(キャンベラ=安藤丈将)(2009/02/11)


東アジア平和フォーラム(上) 日韓連帯運動を基礎に人びとの東アジアを考える 
  東アジア平和フォーラムと銘打った集まりが2008年11月7・8日、中国・深セン(シンセン)で開かれた。日中韓の市民・NGO活動家や研究者、ジャーナリストらが集まっての催しである。わたしは農業問題の提起者がいないので、と言うことで参加を要請され、かねてから東アジアにおける民衆自身の共同づくりに関心があったことから、喜んで参加した。ここでの討論を軸に、東アジアという空間で国家・資本と民衆のせめぎあいがいまのような形で現れているのか、わたしたちはその先に何を展望するのか、そのための何をしなければならないのかを考えてみた。(大野和興)(2009/02/06)


WTO農業交渉のゆくえ 金融危機下、WTOドーハラウンド交渉合意遠のく  山浦康明
  WTO(世界貿易機関)が進める自由貿易をめざす多国間の多角的交渉、ドーハ・ラウンドは交渉妥結のめども立たないまま年を越した。ラウンドを主導する先進諸国は、金融危機による世界経済の縮小を防ぐにはWTO交渉の成功による自由貿易拡大しかないと躍起で途上国や経済新興国を説得してきたが、事態は動かなかった。それは、世界に貧困が広がり、経済的弱者と強者の対立がいっそう激しくなるなかで、弱者の抵抗が強まっていることを示しているともいえる。日本消費者連盟事務局長で、市民グループ「脱WTO/FTA草に根キャンペーン」の世話人である山浦康明氏にこれまでの交渉経過と争点を整理してもらった。(ベリタ編集部:大野和興)(2009/01/11)


WTO交渉決裂、交渉は長期間凍結か 歓迎する世界の社会運動
  世界貿易機関(WTO)多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の大枠合意を目指して開かれていた閣僚会合は 29日(日本時間30日未明)、決裂に終わった。今後長期にわたり交渉は凍結される可能性が高い。際限のない自由貿易は貧困と飢餓、環境破壊をもたらすと反対している世界の社会運動は、一様に歓迎の意を表明、バンコクに本部を置く国際NGO「フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス」は30日声明を発表、交渉の決裂は不公正な交易に対する世界中に人々の声がもたらしたものだと述べた。(大野和興)(2008/07/30)








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