・読者登録
・団体購読のご案内
・「編集委員会会員」を募集
橋本勝21世紀風刺絵日記
記事スタイル
・コラム
・みる・よむ・きく
・インタビュー
・解説
・こぼれ話
特集
・アジア
・農と食
・人権/反差別/司法
・国際
・イスラエル/パレスチナ
・入管
・地域
・文化
・欧州
・市民活動
・検証・メディア
・核・原子力
・環境
・難民
・中東
提携・契約メディア
・AIニュース


・司法
・マニラ新聞

・TUP速報



・じゃかるた新聞
・Agence Global
・Japan Focus

・Foreign Policy In Focus
・星日報
Time Line
・2025年04月04日
・2025年04月01日
・2025年03月31日
・2025年03月30日
・2025年03月29日
・2025年03月28日
・2025年03月27日
・2025年03月26日
・2025年03月23日
・2025年03月22日
|
|
2004年08月09日14時27分掲載
無料記事
印刷用
中東向け米放送局が続々誕生 VOAの解体と職員が反発
【東京9日=鳥居英晴】米国の対外放送アメリカの声(VOA)が揺れている。報道局長の更迭をきっかけに、放送局の将来に危機感を持つ職員が議会に対し、嘆願書を提出した。署名をしたのは職員の半数近くにあたる約500人。嘆願書は同放送の監理組織が「米国の放送の灯台を解体しつつある」と非難している。いま、米国の対外放送で何が起きているのかー。
嘆願書が提出されたのは7月6日、4年間報道局長を務めたアンドレ・デネスネラ局長の更迭を含む機構改革が発表された5日後のことであった。異動先は新設のポストである外交担当主席。デイビッド・ジャクソンVOA局長は機構改革について、「より効果的に対象地域をカバーするため、その能力を強めるのが目的」としている。しかし嘆願書を支持するアラン・ヘイル前VOA副局長は、VOAの独立性を弱めようとする政治的な動きの証拠に他ならないとする。
ヘイル氏によると、2002年に大統領に任命されたジャクソン局長(前タイム誌記者)は、イラク報道をめぐり政府の政策に沿ったニュースを流そうとしてきたが、デネスレラ氏はそれに抗してきたという。言論の自由を監視する国際新聞編集者協会(IPI、本部・ウィーン)はデネスレラ氏の更迭を非難、「報道の独立性を無視する決定ではないかと憂慮する」という声明を出した。
デネスレラ氏はモスクワやロンドンの特派員をつとめたベテランのジャーナリスト。2001年9月の同時多発テロの直後、VOAパシュト語部はタリバンの指導者オマール師との電話インタビューに成功した。国務省が放送を阻止しようと試みたが、デネスレラ局長は圧力をはね返し、放送に踏み切った。
後任はCNNの元幹部で、連合国暫定当局が運営するイラク・メディア・ネットワークの総支配人を務め、今年初めにVOAに移った。就任後、「いままで『これはニュースでない』と没にしてきたものをもう一度、見直すべきだ。ニュースを判断する際に、CNNやBBC、タイムズやポストを真似たやり方はやめるべき」とスタッフに求め、VOAが今後、地域ニュースを重視することを示唆した。
▼ラジオ・サワとアルフーラ 「誰がアメリカの声を殺しているのか」と題する嘆願書は、VOAを含む米国の対外放送を監理する連邦政府の独立機関、放送理事会(BBG)が「VOAを少しずつ解体しながら」、政治的な介入から保護されていない2つの中東向けの放送を立ち上げたと非難、議会がBBGの動きを調査するよう求めている、
2つの放送とはアラビア語放送のラジオ・サワと衛星テレビ局アルフーラである。サワは「一緒」、フーラは「自由なるもの」という意味のアラビア語。BBGは2002年3月、VOAアラビア語放送を廃止し、その代わりにラジオ・サワを開設した。VOAは報道を主体にした番組を主に短波で放送しているが、ラジオ・サワの番組は音楽を中心にしたもの。対象は35歳以下の若者。24時間放送で、モロッコからクウェートまで中波とFMでカバーしている。アルフーラも24時間放送で、今年2月、アルジャジーラやアルアラビーヤに対抗する目的で設立された。ケネス・トムリンソンBBG理事長は「センセーショナリズムと歪曲に支配されているメディア市場で灯台の役割を果たす」としている。
9人のBBGのメンバーは大統領が任命する。トムリンソン氏は、リーダーズ・ダイジェスト誌の元編集長、レーガン時代にはVOA局長を務めた。
VOAアラビア語放送の年間予算が400万ドルだったのに比べ、ラジオ・サワは3600万ドル。アルフーラの経費は年間6200万ドル。この2局だけで米国の対外放送予算の4分の1を占める。
IPIのヨハン・フリツ会長は「(これらの放送は)バランスのとれた報道を保障した1976年制定のVOA憲章に則って運営されておらず、最新の硬派ニュースよりも音楽や軟派ニュースに力を入れており、重要なニュースが起きている時に、それが放送されないという事態が起きている」と指摘する。
嘆願書はさらに、BBGが英語放送の放送時間を減らしたことや、東欧向けの10の言語による放送を廃止したことを非難している。英語放送は1日24時間から19時間に減らされ、今年中に14時間に減らされる予定。今年2月には、ラトビア語、エストニア語、ポーランド語、ブルガリア語、チェコ語、ハンガリー語、ルーマニア語、リトアニア語、スロバキア語、スロベニア語の放送が廃止された。
トムリンソン理事長はワシントン・ポスト紙に対し、「アルフーラは数ヶ月で立ち上げた。もしVOA内でやったら、何年もかかったであろう」と述べている。新しい局の編集基準はVOAと同じようなものであり、英語放送を削ったのは、ラジオでニュースを聞く人が減っているためであると弁明している。
「テロとの戦いが主要な任務であり、中東に情報提供することと、ポーランド、バルト諸国の古い聴取者に奉仕することのどちらかを選ばなければならないとすれば、残念ながら中東諸国を選ばざるを得ない」
▼民放の手法を導入 2つの放送局の設立で指導的な役割を演じ、嘆願書でも名指しされているのが、BBGの有力メンバー、ノーマン・パティズ氏。米最大のラジオ・ネットワーク、ウエストウッド・ワンの会長で、2000年に当時のクリントン大統領に任命された。パティズ氏は議会証言でラジオ・サワを始めた理由について、「(VOAの)中東での努力はまったく非効率であることがわかった。98%の人は放送を聞いたこともない状態だった」と述べた。
「なぜ米国は憎まれるのか。それは彼らが米国のことを知らないからだ。ラジオ・サワは米国とその政策を正確に紹介するための第一歩である」パティズ氏は、聴取率主義の民放の手法を対外放送に持ち込んだ。番組の主体はビートのきいた欧米のポップスとアラブの流行歌。合間に短いニュースが挿入される。
パティズ氏は、2つの放送局は成功していると誇る。同氏の調査によると、アルフーラは中東の衛星放送の受信装置を持った世帯の29%で見られており、ラジオ・サワは中東20カ国で平均38%の聴取率を得ている。しかし、ブルックリン研究所の3300人を対象にした調査では、アルフーラは170チャンネルもある中東の衛星放送の中で、「主要なニュース源」と答えた人はおらず、「二次的なニュース源」と答えたのは3.8%に過ぎなかった。
BBGはVOA以外にもラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティー(RFE/RL)、ラジオ・フリー・アジア(RFA)、キューバ向けのラジオ・マルティ/テレビ・マルティなどを監理する。
VOAは第二次大戦中の1942年に生まれ、44ヶ国語で放送している。一方、RFE/RLは冷戦の産物として、東欧とソ連向けの反共放送として1950年代に誕生した。VOAが国際的なニュースを報道しているのに対し、RFE/RLのニュースは対象地域の国内ニュース。
▼中東向け放送のラッシュ 冷戦の終結とともに、BBGは1996年、RFE/RLのアジア版としてRFAを設立、中国語、広東語、チベット語、ウイグル語、ビルマ語、ベトナム語、ラオ語、クメール語、朝鮮語による放送を始めた。
RFE/RLは重点を東欧から中東、中央アジア、コーカサスに移しつつある。対象地域の半分以上はイスラム教徒が多数を占める。昨年にスロバキア語、リトアニア語、ラトビア語、エストニア語、ルーマニア語、ブルガリア語、クロアチア語を廃止する一方、ラジオ・フリー・イラク(1998年)、ラジオ・アザディ(イラン向け、1998年)、ラジオ・フリー・アフガニスタン(2002年)と新しい放送局を次々に立ち上げていった。
イラン向けのラジオ・アザディ(自由)は2002年、RFE/RLとVOAの共同事業としてラジオ・サワと同じような番組構成で24時間のラジオ・ファーダ(明日)となった。2003年には、VOAのペルシャ語のテレビ放送を始めた。
さらにパキスタンでも今年から、ラジオ・サワのウルドー語版といえるアパ・キ・ドュニャ(あなたの世界)を1日12時間、中波とFMで始めた。
パキスタンのデイリー・タイムズ紙のワシントン駐在ハリッド・ハッサン記者は、アパ・キ・ドュニャのような軽音楽を中心にした放送が「テロとの戦い」に勝利するのに役に立つのか疑問を呈する。「冗談好きな誰かが、イスラム世界では、自爆テロリストになりそうな若者の心をつかむには、ポップスとサウンドバイトを効かせたニュースを流せばいいというばかげた考えをBBGに売りつけた」
オランダの国際放送コンサルタントのアンディ・セニット氏は「米政府は、いまだ同時テロ攻撃によるパニック状態にある。新しい名前の放送局が次々に現れ、VOAは弱体化している。米政府に一貫とした長期的な国際放送の戦略はないようだ」と冷ややかに評価している。
|
関連記事
ラジオ・サワを聴く
転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
|
|
議論の的のラジオ・サワ





|