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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2004年11月10日01時26分掲載
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ペルーの人気司会者が「自由を返して!」 親フジモリが災いか
「ラウラ・エン・アメリカ」は、ペルー国内で収録されたものを、米国大手ネットワークのNBC傘下のスペイン語放送局「テレムンド」が、全米で週5日放送している。中南米諸国を含めると数百万の視聴者がある人気番組。番組は、弱者、貧者救済をテーマにしている。
ペルーは典型的なマッチョ(男性優位)社会。ラウラさんは、無責任な父親の下で苦労させられた妻や、その子どもを呼んで、話を聞く。時には性的虐待を受けた子どもが泣きながら告白もする。その後、ていたらくな父親や、虐待をした男が現れ、激しく番組中で非難される。時には、殴り合いも演じられる。これが番組の典型的なパターンだ。
しかし、ペルー国内では、ラウラさんの逮捕後、この番組は放映されていない。ラウラさんはイタリア系ペルー人で、自らも弁護士の肩書を持つ。慈善活動も行っている。
その彼女に司直の手が伸びたのは、汚職や不正選挙で2000年11月にフジモリ政大統領が失脚した後だった。ラウラさんはフジモリ政権の熱烈な支持者だった。同政権の陰の実力者といわれた国家情報部(NIS)前特別顧問のモンテシノス被告(57)とも近く、彼から多額の金品を受領した疑惑が浮上。これが逮捕のきっかけになった。一部では、同被告とは“恋人関係”ともいわれた。
米紙ロサンゼルス・タイムズなどの報道によると、ラウラさんは、モンテシノス被告から3百万ドル(3億円)のほか、貴金属を受け取ったとされる。この資金は国庫から不正に流用されたもので、この資金引き渡しに関与した軍関係者から自殺者も出ている。
ラウラさんは、こうした事実に対し「一銭も受け取ってない」と完全否定。彼女によると、真相はトレド大統領によるラウラさんに対する「政治的復讐」という。
彼女の番組「ラウラ・エン・アメリカ」は、現在大統領になった経済学者アレハンドロ・トレド氏に隠し子の娘がいることを暴露していた。トレド氏は、当時、血液鑑定を頑強に拒否し、隠し子の事実を否定した。トレド氏が、これを親フジモリ派のラウラさんの政治的陰謀と憤ったのは理解できる。しかし、同氏は、大統領当選後には、父親であることをあっさり認めている。
ラウラさんは、隠し子の事実を番組で報じたため、トレド大統領とファースト・レディーのエリアン・カープ夫人が、これに根を持ち、自分を監獄に入れたがっていると批判している。
どちらの言い分が真相かは今のところ、藪の中だ。正式な裁判はまだ始まっていないが、ラウラさんは、有罪になれば、禁固7年、罰金450万ドル(4億5000万円)ともいわれ、社会的な名声が失墜するのは確かだ。
ラウラさんは、今でもフジモリ氏への熱い支援を送る。フジモリ氏の強権支配により「センデロ・ルミノソ」などのゲリラ組織が壊滅されたと評価、「最良の大統領だった」と語っている。
フジモリ氏は、3選を果たした後の2000年9月、モンテシノス氏が、大統領選挙に絡み、国会議員に賄賂を渡すビデオシーンがテレビで公開されたため、直ちに退陣を表明。その後外国訪問中の同年11月、日本に政治亡命した。
2000年5月にフジモリ氏が3選果たした際、対立候補として出馬、敗北していたトレド氏が再び大統領選に出馬。01年5月当選、大統領に就任した。トレド大統領は経済回復、汚職撲滅などを公約したが、実効があがらず、中南米諸国の中の大統領としては、極端に低い支持率にとどまっている。
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