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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2004年11月12日02時03分掲載
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フィリピンで相次ぐ携帯電話殺人 高価な貴重品扱いで強盗横行
【マニラ・ベリタ通信=広井孝明】経済不振による高い失業率などのため、治安の改善がなかなか進まないフィリピンで、路上で携帯電話をひったくられたり、脅し取られる犯罪が激増している。フィリピンでは、携帯電話の値段が高く,貴重品扱いだからだ。9月には二人のジャーナリストが携帯電話目当てとみられる強盗に襲われ、共に殺される事件が発生、「携帯電話殺人」の横行ぶりにフィリピンの地元メディアも「こんな理由で人が殺されるとは」と嘆いている。
フィリピンの英字紙「スター」などによると、最初の事件は9月23日にフィリピン中部パナイ島のイロイロ市で起きた。地元テレビ局「GMA7」のニュースキャスターのクリストファー・ファビエールさんが市内を車で走行中、強盗団に車を静止された。ファビエールさんは車をバックさせて逃走しようとしたが、犯人に銃で撃たれ、2日後に死亡した。犯人がファビエールさんから奪ったのは、携帯電話とわずか500ペソ(約1000円)入りの財布だった。
翌24日には、マニラ首都圏のエドサ通りを走行するバスに乗っていたフィリピンの英字紙「トゥディ」の記者ホセ・ルイス・ビリアヌエバさん(29)が、バスに乗り込んできた三人組の強盗に「携帯電話を渡せ」と迫られた。ビリアヌエバさんが抵抗したため、犯人はビリアヌエバさんの首や胸など数カ所を刺し、何も取らずにバスを降りて逃げた。ビリアヌエバさんは間もなく運ばれた先の病院で死亡した。逮捕された犯人は、中国人実業家を殺害した疑いで昨年逮捕された後、保釈中の男だった。
フィリピンでは政治的な理由でジャーナリストが殺される事件も頻発しているが、今回の事件はいずれも物盗り目的の犯行だったとみられている。携帯電話と引き換えに人の命が相次いで奪われるという衝撃的な事件に対し、「スター」紙の著名コラムニストのマックス・サリバン氏は「銃犯罪が横行するこの国においては、かくも人の命が安い」と嘆き、携帯電話殺人は「この国が直面している悲しい現実の象徴だ」と同紙のコラム指摘した。 ジャーナリスト二人が犠牲者となったことで、今回の事件は特に地元メディアの注目を集めたが、携帯電話を狙った強盗やひったくり事件はマニラ首都圏などで頻発している。 フィリピン国家電気通信委員会(NTC)によると、携帯電話の普及台数は1999年には約285万台にとどまっていたが、2003年には約8倍の2251台に達した。
フィリリピンでも、特に若者の間では「必須のアイテム」になりつつあり、友人や恋人同士が携帯メールでメッセージを送りあう姿は、貧しい一般庶民の間でも普通にみられるようになっている。
しかし、携帯電話の値段は日本と比べても決して安くなく、一台3000ペソ−1万ペソ(6000円−2万円)。一人当たりの国民所得が1050ドル(03年)と日本の30分の1以下のフィリピンでは一般的労働者の月収に相当する貴重品だ。
フィリピンの携帯電話のほとんどはプリペイドカード式。販売される際、業者は所有者の情報などを特に登録しないため、携帯電話を盗んだ側も、比較的簡単に売買し、換金ができる。また、プリペイドカードの会社を変えると電話番号も変わることから、盗まれた人が被害届けを出しても追跡が難しい。
首都圏でセラピストとして働く女性(26)は、約5000ペソで買った携帯電話で友人らと毎日10本近くのメールを交換しているが、「お金がなくなるといつもこの携帯を質屋さんに持っていく」と打ち明けた。これまでに質屋には2回預け、その都度3000ペソほどを借りることができたという。
フィリピンの一般庶民は普段の外出の際、500ペソ以上の現金を持ち歩くのはまれで、高価な貴金属を身につける人も特権的な富裕層を除けばほとんどいない。しかし、日本人の金銭感覚からすれば、20万−30万円の価値に相当する携帯電話を持ち歩くことようになったことで、庶民が強盗の標的とされるようになったようだ。
首都圏の携帯電話ショップで働くジョセリン・ベラスケスさん(21)は2年前に自分の携帯電話を初めて持ったが、「ジプニー(小型バス)から降りた直後にひったくられた」という。「携帯電話を売る店で働いているのに自分は持っていないの」と笑いながら、「携帯はほしいけど、また盗られるのが恐い」とベラスケスさんは話した。
ベラスケスさんの携帯電話ショップによると、携帯電話のひったくりや強盗の被害者は特に若い女性が多いという。
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