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2005年04月27日14時11分掲載
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「貧者のための巡航ミサイル」を開発 タイタン社、米軍に売り込み
米軍活動の機動性や迅速性を図るための改革が進んでいる中で、米カリフォルニア州サンディエゴを本社とする国防関連企業「タイタン」が、軽量かつ機動性の高い新しい巡航ミサイルの生産態勢を整えている。湾岸戦争で多く使用された巡航ミサイル「トマホーク」より、格安で生産できるという。国防総省などから注文がくれば、年間10億ドル(約1100億円)を稼ぐことが可能と、タイタン社は皮算用しているが、核を含めた兵器の拡散につながる懸念も指摘されている。(ベリタ通信=有馬洋行)
2003年3月に米軍が開始したイラク戦争では、開戦当初、フセイン大統領がいると推定された建物にトマホークなどが撃ち込まれた。米紙サンディエゴ・ユニオン・トリビューンによると、このトマホークは、一基当たり50万ドルから100万ドルの費用がかかる。費用がかさむため、米軍は、橋梁や通信塔などの通常の軍事標的には使用を避け、特別な標的に使っている。
タイタン社が、米海軍と協力して開発、試作しているのは、一基10万ドル以下の低価格の巡航ミサイル。このため「貧者のための巡航ミサイル」とも呼ばれているという。ミサイルの発射基と地上コントロール体系も含んだものだ。ミサイルの大きさは、長さ3・3メートル、直径は34センチで、実戦配備されれば、トマホークなどを補完する役割を担うと想定されている。
ラムズフェルド国防長官は、01年の就任以来、機動性などを重視した国軍改革を提唱しており、小型巡航ミサイルの開発は、この改革の一環だ。02年から開発に着手し、既に何度か実験を重ね、今年末までには、総合的な評価が終了する予定という。
巡航ミサイルとは、飛行機のようにジェットエンジンと翼を持ち、低空で飛行する。ロケットエンジンのミサイルより速度は遅いが、低空で飛行が可能で、このため戦闘機や地対空ミサイルでは、迎撃が困難とされる。核弾頭や通常弾頭のいずれも運べる。潜水艦、水上艦艇、航空機から発射でき、精密誘導で長時間の飛行が可能だ。射程は1000キロを超える。
タイタン社は現在、米海軍との間で100基の巡航ミサイルの生産契約を交渉中。サンディエゴにある工場では、月間20基の生産が可能になっているという。
軽量、機動性のある武器開発は、「手頃な武器体系」(AWS)と呼称されている。タイタン社の巡航ミサイルは、既存の技術を使い、ジェットエンジンも小型化させている。
新型ミサイルは、米海軍が、タイタン社と協力して建造を進めている沿岸海域を高速で展開できる実験艦「X−Craft」にも搭載されると予想されている。搬入も簡単で、ミサイルは、20基を入れられるコンテナーに格納され、連続的な発射も可能という。射程1300キロで、重量約90キロの弾頭を運べる。
しかし、このような高性能のミサイルが「低価格」となればなるほど、途上国の軍備拡大や核保有を促す恐れも強い。「核の闇市場」などで廉価なミサイルとして取引される可能性もある。
新型ミサイルは発射されると、衛星通信や地上局の支援を受けながら、6時間の上空旋回が可能。タイタン社のラリー・デラニー副社長は「朝、ミサイルを発射し、その後、昼過ぎにミサイルに標的情報を送ることができる」とも話している。
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