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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年05月03日11時02分掲載
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フランス人も嘆く「スト大国」の現状 労働者の当然の権利だが…
フランスでは、航空会社、鉄道、農家、教育機関など、ありとあらゆる企業や団体で、ストライキが年中、繰り返される。フランス人の人権意識、労働環境問題への敏感さ、自己主張の強い国民性などが反映していると思われる。職場に活気を取り戻し、労働条件を改善させるためにも、ストライキは労働者の当然の権利だ。とはいえ、ストの余波を受ける一般市民はたまらない。時には前触れもなしに突然ストが行なわれるような現実に、フランス人は正直、まいっているようだ。労働者の日メーデーにフランスとストを考えた。(パリ=宮下洋一)
ストの「常連」といえば、フランスの国鉄(SNCF)が筆頭だろう。今年始め、パリのリヨン駅にいた数百人の乗客は、駅構内の放送を聞き、あ然とし、やがて全員が激怒した。
「新幹線(TGV)の女性車掌がある男性から暴行を受けた。よって、これに抗議する目的から、国鉄はストを開始する」
週末の午後3時、この放送とともに国鉄全線の運行がストップした。
さらに問題なのは、このようなストがいったん始まると、それがいつまで継続されるか分からないことだ。
マルセイユまで帰郷する予定だった乗客のクリストフさんは、案内所の男性に対し、「まったく情報がないじゃないですか。もっと、しっかり乗客に対応して」と激怒。頑丈なガラス窓を右腕でドンドンと叩きつけた。
個性の強いフランス人だからこそ、このような事態が発生すると大変。「私の帰りの列車はどうなるの」「私の孫が待っているのよ」「私は昨日から寝てないのに」と叫ぶ乗客。これに対し、「私に聞かれても困る」「私の責任ではない」「私は・・・」と答える国鉄関係者。
国鉄以外にもあっと驚くストは多い。教育界では、過疎化していく国立大学が私営化されようとする中、教授陣が不満を訴え、卒業最終試験がすべて取り止めにしたことがあった。
あやふやな状況が続いたこの期間、学生たちは試験をパスしたのかどうかも分からないまま、卒業してしまった者も多かった。
スト以外の労働者や業界関係者による大胆な抗議行動もフランスならではだ。
隣国スペインからの果物や野菜のダンピング輸入が問題となった時は、農業関係者がカルフールやオシャンなどの大手スーパーに侵入。大胆にも、スペイン産のトマトやオレンジをすべて棚から放り捨てる行動に出た。抗議行動というより日本では間違いなく犯罪。「これしか有効な抗議行動はありえないのか」と首をかしげることがしばしばだ。
新聞社も負けていない。町中で無料配布される「20ミニッツ」や「メトロ」などのフリーペーパーに対抗し、高級紙として誇りを持っている「ルモンド」「フィガロ」などの有料紙記者が、「新聞が無料であってたまるものか」と声を張り上げ、記者の仕事の威厳尊重を訴えて、町中で無料新聞を踏み潰したり、ゴミ箱に捨てる抗議に出たこともある。
日本の労働者の権利意識の方が低すぎるのかもしれないが、「ストだけしていればいいのか。少しは黙々と働くことも大事ではないか」とのフランスの会社経営者の嘆きには肯くことも多い。
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ストライキで無人の南仏ペルピニャン駅
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