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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年06月04日14時56分掲載
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津波被害の子どもたちに深刻な「心の傷」 緊急治療が必要とインドネシア専門家
死者20万人を超えたスマトラ島沖大地震・津波(2004年12月26日発生)は、震源地に最も近いインドネシア北西部アチェ州に未曾有の災禍をもたらした。中でも、親を失った子どもたちの精神的ケアを今後、どのように行い、将来の成長を助けるかが大きな課題として浮上している。このほど発表された調査によると、被害を受けた子どものうち4人に1人が親を奪われたことで、深い「心の傷」を負っていることが分かったからだ。(ベリタ通信=都葉郁夫)
現地アチェ州では、地震・津波発生から約5カ月が過ぎた現在も、約50万人に上る被災民が、満足な設備も整っていないテントなどの仮設施設で、厳しい生活を余儀なくされている。インドネシア政府はこのほど、国連との間で、被災民用住宅を建設することで合意したが、快適な住宅が完成するまでにはまだ相当の時間が必要だ。
そうし中、国立インドネシア大学はアチェ州各地で、世界保健機関(WHO)の支援を受け、被災民たちがどのような精神的打撃を受けているかを調査した。
同大学が公表した調査報告によると、大地震・津波への恐怖とともに、その後の劣悪な環境下での生活もあり、被災した子どものうち「20〜25%」が心に深い傷を受け、苦しんでいることが分かった。こうした子どもたちの多くが、両親をあるいは父母のうち1人を今回の災害で失くしている。
調査の責任者、イマンシャ博士は「劣悪な環境が子どもたちだけでなく、大人たちの『心の傷』をさらに悪化させている。物的な支援以上に今求められているのが精神的なケアを急ぐことだ」と強調、インドネシア政府や国際機関、非政府組織(NGO)も含めた総合的かつ専門的な対応策の即時実施を呼び掛けている。
同博士によると、同州では被災民の約50%が何らかの形で「心の傷」を負っているほか、10〜15%は常に深刻な心的ストレス状態にあり、緊急治療の必要があるという。
こうした「心の傷」の特徴は、「被災時の恐怖がよみがえる」「災害を思い出したくない」「倦怠感」「無関心」「不眠」「集中力の欠如」などの症状として現れるという。
イマンシャ博士が中でも最も懸念するのが、子どもたちの間に不安定な精神状態が頻繁に見られること。子どもたちの中には、押し寄せる津波で両親を一挙に失ったケースも多い。それだけに、政府および関係機関が、心の支えをなくした子どもたちを今後、悲しみからいかに立ち直らせ、健全な成長を助けるかが急務という。
WHOによると、災害前のアチェ州内には約150カ所の地域保健所があったが、このうち約半数の78カ所は災害で大破し、また、残った中でも設備が使用不能な所が大半を占めているという。被害は建物だけでは済まず、保健所や病院で患者たちの世話をしてきた多くの医療従事者たちにも及んでいる。
このためイマンシャ博士とWHOは今後、精神的なケアを専門とする医師を現地に長期間派遣し、早期診療を開始するとともに、息の長い治療の必要性を強く訴えている。このほか、WHOは「精神ケアが可能な医療施設の建設」「被災者の精神面に関するより詳しい調査の実施」「被災地域が一体となった治療体制の確立」──などに取り組むよう求めている。
国際社会から巨額の救援金を受けながらも、怠慢と官僚主義などからアチェ復興を軌道に乗せられないインドネシア政府に今、被災民とりわけ親を失った子たちの「心の傷」をどう癒すかという重い課題が突きつけられている。
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