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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年06月13日21時40分掲載
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TV法律相談はヒスパニックの救い神 不法移民奨励との批判も
米国に不法滞在する中南米系(ヒスパニック)の人々にとって、米国での不法就労を続けるのが、かなり厳しい状況になっている。2001年9月の米同時テロ事件で、実行犯が移民法の盲点を突いて米国に入国していたため、かつては見逃されていたヒスパニックへの監視の目が最近一段と厳しくなったためだ。不法滞在者のち6割をメキシコ人が占めるため、多くの米国人は街で出会うメキシコ人は大半が不法移民と考えている。こうした中で、不法移民の救い神になっているのが、テレビやラジオで、スペイン語を使って移民法を分りやすく解説するヒスパニック系の弁護士たちだ。(ベリタ通信=江口惇)
不法移民の多い米カリフォルニア州では、毎日のように朝夕のスペイン語TV放送局「ウニビシオン」などが、移民問題を扱っている。ラジオも同様だ。いずれも、外国の地で息を潜めながら暮らしている不法移民たちに親身になって耳を傾け、様々なアドバイスをしている。スタジオで電話の問い合わせに回答するほか、手紙やEメールの照会も受け付けている。
米紙ロサンゼルス・タイムズによると、不法移民の味方になってくれる回答者のヒスパニック系の弁護士は、彼らにとっては“名士”でもある。ロサンゼルス郊外パサデナの弁護士エンリケ・アレバロ氏は、街角でしばしばヒスパニックたちから感謝の言葉をかけられる。時には、家族を米国に呼びたいがどうだろうか、といった質問を矢継ぎ早に浴びせられることも。
メキシコ人のフアン・アントニオ・シガラさんは、米領プエルトリコで1998年に移民法違反で逮捕された。メキシコに強制送還される予定だったが、以前にラジオでアルバロ氏が移民法を解説していることを思い出し、電話をした。
▽くるくる変わる移民法
「弁護士はほとんど信用していなかった」というシガラさんだったが、アレバロ氏の奔走で米国への政治亡命が認められた。シガラさんが同性愛者でだったが、弁護士は、シガラさんが故国に帰れば、迫害されると主張し、受け入れられた。
米国では、移民法ほど、規則がくるくる変わる法律はない。首都ワシントンでの政治的駆け引きで法律の内容が変わってしまうことが多いからだ。ブッシュ大統領が移民法改正をかなり前に打ち出した時も、放送局に不法移民たちから問い合わせが相次いだ。
こうした猫の目にように変わる移民法を、電波を通じて無料で法律相談できるのは、不法移民たちにとっては魅力だ。
毎週2回、TV局ウニビシオンの移民問題番組の回答者となる弁護士グロリア・クリエルさんも、ヒスパニックにはおなじみの顔だ。彼女の両親もメキシコからの移民だ。番組プロデューサーのロアナ・ラミレスさんは「彼女は、われわれの視聴者のライフラインになっている」と話す。
移民問題に関するトラブルは、個人個人で状況がまったく異なるので、テレビなどの弁護士のアドバイスに依存するのは危険との意見もある。またテレビなどで移民問題で手助けをすることは、逆にメキシコなどからの不法移民の流入を奨励する結果になるとの声もある。
しかし、高い弁護士料を払えず、法律的権利も与えられていない不法移民にとっては、テレビなどでの法律相談が、自分たちの身を守る手段の一つであるといえる。
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