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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年06月24日00時52分掲載
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インドネシアで豪女性に禁固20年判決、えん罪の疑いも
インドネシア・バリ島で収監されているオーストラリア人の女性被告の処遇をめぐり、両国政府および両国民が対立の火花を激しく散らしている。バリ島を訪れた際、荷物の中に大麻約4キロを隠していた疑いで逮捕されたこの女性は、このほど禁固20年の有罪判決を受けた。しかし、端正な顔を涙でぬらしながら「無罪」を訴えた姿がマスコミで大々的に報じられたこともあり、豪州国内では今、「無実の罪を負わされた」との世論が沸騰、インドネシア側に同被告の豪州送還を求める声が高まっている。国民感情が微妙に絡む問題だけに、両国政府とも対応に頭を痛めている。(ベリタ通信=志岐隆司)
この女性は、オーストラリア東岸クイーンズランド州のリゾート地ゴールドコースト出身のシャペル・コービー被告(27)。美容師養成学校に通いながらセラピストへの道を目指していたコービー被告は昨年10月、バリ島を訪れた。その際、持ち込んだサーフ用ボディボードの袋内から大麻4.1キロが見つかり、デンパサール警察に逮捕された。
インドネシアは麻薬事件には厳しい罰則を設けており、今回のケースでも最悪の場合、死刑判決を下される可能性が十分にあった。これに対し豪州が死刑制度を廃止していることもあり、豪州のマスコミは、ほぼ連日、この事件について報道。同被告は、留置場や公判の場で、涙を流して「無実」を訴え、さらに、ハワード首相に対し、本国へ戻してくれる交渉をインドネシア側と進めるよう「直訴」するなどしていた。
こうしたマスコミ報道に加え、世論の動きを大きく左右したのが、コービー被告の透き通るような青い目を特徴とする端正な顔立ちだった。テレビ画面に映し出される同被告の姿は、家庭などでニュースを見る多くの豪州国民には「悲劇のヒロイン」にも映り、その心を大きく揺り動かした。
▽国に戻し服役をの声
バリ島は多くの豪州国民が訪れる人気の観光地だが、「無実」だと信じる多くの国民の間ではいつしか、「バリ観光をボイコットしろ」などの過激なインドネシア批判が飛び出す事態にも発展した。
そして5月28日、運命の判決の日を迎えた。
デンパサール地方裁判所の裁判長がコービー被告に言い渡した一審判決は「禁固20年」だった。懸念された最悪の判決「死刑」は免れたものの、27歳の女性にとり今後の20年間を、環境・設備も整っていないインドネシアの刑務所で送る生活がいかに厳しいかは、想像に難くない。
判決後、豪州内で沸き上がったのが「コービー被告を送還させ、豪州内で服役させよう」との声だった。といっても、両国の間には犯人引き渡し協定などはないうえ、刑期が半分を過ぎなければ、仮出所も難しく、「豪州国内服役」が実現する見込みは極めて低いのが現実。
そこで浮上したのが、豪州内にいるインドネシア人既決囚とコービー被告とを交換するという苦肉の策。豪州外務省当局者が最近、ジャカルタを訪れ、その可能性を探っているが、インドネシア側は「麻薬密輸という大罪を犯した者を送還処分にすることはできない」と突っぱねている。インドネシア国民もこうし動きを「豪州の傲慢な要求」と批判を強め、6月初めにはジャカルタで「コービー被告送還」に反対するデモが行われたほど。
▽大使館に脅迫電話
これに加え、キャンベラのインドネシア大使館やバリ島の裁判所などに脅迫電話が相次いだほか、粉末などの入った不審物が送りつけられる騒ぎも起きた。さらに、コービー被告が28歳の誕生日を迎える7月8日にはシドニーなどの都市で「コービー支援」「反インドネシア」のデモまでが計画されるなど、事態は一段と加熱、深刻化する様相をみせている。
コービー被告と弁護団は、デンパサール地裁の判決を不服として、直ちに控訴した。しかし、インドネシアの法律では被告が控訴審の場で「無罪」を訴える機会は持てず、どのような判決が下されるか予断を許さない。
そうした中、ささやき始められているのが政治決着を図る可能性だ。自由貿易協定(FTA)協議などを控える両国政府にとり、これ以上の関係緊迫化は何としても回避したいところ。果たして、双方が納得できる着地点を見出せるかどうか、今後の成り行きに関心が集まっている。
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