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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年07月04日05時20分掲載
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えん罪主張の豪女性支援のバリ島ボイコットは空振り 観光熱は下がらず
インドネシア・バリ島で大麻密輸罪により有罪判決(禁固20年)を受けたオーストラリア人女性シャペル・コービー被告(27)の支援グループが今、同判決への抗議の意思を示すため、自国民に「バリ島旅行ボイコット」を呼び掛けた。これに対しインドネシアのガルーダ航空はこのほど、利用客増加を理由にシドニー・バリ島間の運航便数を増やすと発表、ボイコット呼び掛けに冷水を浴びせた。判決に違和感を持つ豪州人も、「豊かな伝統文化など異国情緒」を楽しめるバリ島観光のボイコットに簡単には応じられない、というのが本音のようだ。(ベリタ通信=志岐隆司)
豪州の全国紙オーストラリアン(電子版)によると、ジャカルタにあるガルーダ航空本社はこのほど、「シドニーとバリ島(デンパサール国際空港)間の航空便数を週4便から1便増やし5便にする」と発表した。
同航空によると、2004年にバリ島を訪れた豪州人観光客数は26万7520人と過去最高を記録したのに続き、今年1〜3月の同数も前年同期に比べ7%増を達成したという。
コービー被告が「悲劇のヒロイン」として豪州国内で大きく取り上げられるようになった今年4月に入っても、この勢いは衰えをみせず、同月の観光客数は2万690人にも上った。その結果、1〜4月の同数は前年同期に比べて8万人以上も増加した。
ガルーダ航空側は「バリ島は『心のオアシス』的存在。豪州人は平和な島で、豊かな伝統文化を楽しんでいる」と述べるとともに、観光客増加のもう1つの理由を「豪ドルが強まって1豪ドル=7300ルピア水準にあり、割安感が出ているため」と分析している。
このため同航空は、今回のバリ島人気の好機を逃さぬため、同島とシドニーを結ぶ航空機に大型旅客機エアバス(A)330型機(座席数約290)を導入、高まる需要に応じると強気の方針を決めた。
ガルーダ航空とバリ便で競合する豪州のカンタス航空も、「ボイコット呼び掛け」や「インドネシア国内のテロ情報」にもかかわらず、バリ島人気が一段と高まり、6月および7月の予約状況も好調と話している。特に、豪州の各学校が7月初めから長期の休みに入るため、バリ島観光を一家で楽しむ利用者がさらに増えると見込んでいる。
とはいえ、カンタス航空および120社に上る豪州側の旅行代理店がコービー裁判の今後の行方とその影響を楽観視しているわけではない。
▽一審判決、厳しすぎるの声
旅行代理店の関係者は「国民の多くが1審判決(禁固20年)を厳し過ぎると感じているのは事実」と前置きしながら、「今のところ、ボイコット呼び掛けの影響はないが、控訴審でもコービー被告の有罪、しかも長期刑が下されるようであれば、予約状況に悪影響が出る可能性もある」と慎重な見方を明らかにしている。
コービー被告は豪州東岸クイーンズランド州のリゾート地ゴールドコースト出身。日本人男性との結婚歴もあった同被告は、美容師養成学校に通いながらセラピストへの道を目指していた昨年10月、バリ島を訪れた際、持ち込んだサーフ用ボディボードの袋内に大麻4・1キロを隠していたとされ、デンパサール警察に逮捕された。
「無実」を訴える同被告に対し、デンパサール地裁は検察側による無期懲役の求刑を退けたものの、大麻密輸を断定して禁固20年の有罪判決を言い渡した。これに対し豪州国民の間からは「無実」「刑が重過ぎる」などの同情と批判が相次ぎ、支援グループが抗議のため「バリ島旅行ボイコット」を呼び掛ける騒ぎにまで発展。
1審判決後、弁護側と検察側の双方とも判決内容を不服として控訴したため、コービー被告をめぐる騒ぎは、豪州国民を巻き込みながら、当面続くことになる。
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