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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年07月06日06時31分掲載
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「私はだれ?」 身分証明失ったアチェ住民 地震で書類流失
インドネシア国民が最も大切にする物のひとつが、自らを「だれであるか」を示す身分証明書だ。同国語の省略語で「カー・テー・ペー(KTP)」と呼ばれるこの身分証明書には氏名、生年月日、出身地そして信仰する宗教などが記され、各種の公的書類の作成や移動時に携帯・提示を義務付けられている。ところが、昨年12月26日のスマトラ島沖大地震・津波で居住区の役所が壊滅したことなどもあり、アチェ州被災民たちはいまだに、失くしたKTPの再発行やそれに基づく所有地の再確定もできないまま、“幽霊住民”としてキャンプ生活を余儀なくされている。(ベリタ通信=都葉郁夫)
英国の朝刊紙ガーディアン(電子版)はこのほど、未曾有の災禍から半年を迎えた同州被災民たちが、復興への恩恵を受けていないどころか、自らを証明できるKTPさえも手に出来ていない厳しい状況下にあることを現地から伝えた。
強権政治を敷いたスハルト元大統領政権下では、このKTPの存在は今以上に重要視されていた。都会から地方へ、その逆に地方から都会へ移動する場合、そして警官ら公安当局者に職務質問された場合、KTPを携帯していない者は拘束され、その出自を徹底的に調べられた。
国民選挙により大統領が選ばれる現在、スハルト元政権当時の厳しさは薄れたものの、何かにつけて提示を求められるKTPの重要さには変わりはない。この状況は大津波で、KTPはじめすべてを失った約50万人のアチェ州被災民でも同様で、被災民キャンプを出て、津波前に住んでいた地区で家屋再建を目指すにはKTPの再取得が必要不可欠となる。
被災民がKTPを再び手にするには、次のような手続きが必要だ。(1)親族以外の成人2人による身分保証(2)村長ら居住区の首長との面会・審査(3)同首長から郡長への保証状の発行──を経て、郡当局によるKTP作成・発行、つまり「自らの証明」がようやく可能となる。
また、所有地確定の手続きにはKTPを携帯・提示するとともに、(1)「土地所有合意」を保証する村長らからの保証状取得(2)同状に基づく郡長からの「所有地確定図」発行(3)土地登記庁への「確定図」提出と登記簿の取得──の手続きを経る。
こうしてみると、KTP取得にしても手続き自体はさして複雑ではなさそうだが、ここで問題なのが、アチェ州の被災民たちのほとんどが大津波により、KTPどころか家屋、友人そして村長らも失い、住んでいた居住区も離れて被災民キャンプ生活を続けていること。
▽土地台帳も流されて
その上、元居住区の村役場も大津波で跡形もなく流され、さらに、土地台帳を保管していた州都バンダアチェの土地登記庁も被害に遭い、個々人の所有地確定に不可欠な台帳さえも水浸しになり、確定作業に取り掛かる状況にないのが現実だ。
それ以上に、大津波により海岸沿いにあった以前の家が居住区ごと姿を消し、今では海中に没してしまった地区さえある。特に、震源に近かった同州西海岸地区では生計を海に頼っていた者が多く、「消えた所有地」を前に絶望の色は、日一日と濃くなるばかりだ。 たとえ、こうした作業が開始されたとしても、13万戸が必要とされる住宅再建に向け、莫大な量の木材をどう調達するのか、また、木材価格の安定化をどう図るのか、さらに、伐採と環境をどう調和させるのか──などの問題が山積、容易ではない。
そうした中、米国政府の援助関係者は「アチェ復興で最も大切なのは、『復興を目指す』と地元民自らが決意することだが、被災民たちは今も茫然自失状態にある」と指摘。また、民間援助団体のメンバーは「復興を担当するインドネシア政府省庁・機関内に協調体制が見られず、復興作業は軌道に乗っていない。現状は自然災害ではなく、人災と言える」と批判している。
大地震・津波の発生と同時に、国際社会は巨額の救援金を拠出するとともに、大規模な救援活動を展開、アチェ復興と被災民救援に乗り出した。こうした世界からの善意を無にしないためにも、インドネシア政府による一段の復興努力、そして被災民自らの復興決意が望まれている。
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