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2005年07月08日16時58分掲載
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ミクロネシア連邦にも肥満という病 米国式の食生活が引き金に
西太平洋のミクロネシア連邦はエメラルドグリーンの海を背景に、マングローブ林が原生する南国の楽園だ。そのミクロネシアで、今最も頭を痛めているのは、島民の間に肥満や糖尿病が多いことだ。島民はかつてはスリムだったが、第二次大戦後の食生活の変化で島民の体型が様変わりしてしまった。現在、米ニューヨークのロックフェラー大学の調査班が、ミクロネシアの連邦の一角を占めるコスラエ島に入り、島民の体型になぜ劇的な変化が起きたか、そのミステリーの解明に取り組んでいる。(ベリタ通信=有馬洋行)
ロックフェラー大学が、コスラエ島での肥満研究を開始したのは1994年。責任者は、肥満・食欲調整物質「レプチン」の研究で知られるフリードマン博士。同博士は、ミクロネシアの急激な肥満人口の増加は、単なる食生活の変化というより、遺伝子の問題ではないかとみている。つまり太る遺伝子と太らない遺伝子を持っている人がいるということだ。
この例でいくと、ミクロネシアの人々は、潜在的に太る遺伝子を持っていると推定されている。このためフリードマン博士は、「人間は、脳の働きで、食べ過ぎを抑制している。しかし、これは必ずしも食べるという本能を抑えこめない」
同博士は、遺伝子の性格上から、やせるために食事制限を行なっても、肥満は必ずしも防げないともみている。また人は生まれつき空腹・飽食を示す一定の“基準量”を持っていると推定。将来的には、この量を薬の服用で調整する可能性を指摘している。
▽かつてはスリムだった
しかし、ミクロネシアでの肥満の増加は、遺伝ではなく、食生活の変化が何らかの要因になったとの見方も強い。
米誌テクノロジー・リビューによると、コスラエ島(人口7600人)の成人の8割以上が標準体重を超過し、また8人に1人が糖尿病という。かつてミクロネシアの人々は、大半がスリムで、魚、バナナ、ココナッツ、タロイモなどを常食していた。さらに干ばつなどの天然災害や、嵐などにもしばしば襲われ、大半の島民は、最低限の食事を確保するのが精一杯だった。
しかし、かつて日本が統治していたミクロネシアは、第二次大戦後米国の管理下に移った。この後から缶詰や加工食品が大量に船で送られるようになり、食生活に一大転機が起きた。
島には立派な舗装道路も作られ、人々は車に乗り、歩く機会も減ってしまった。豊かな食事、そして運動不足。肥満や糖尿病患者が増える要因はそろっていた。
ある病院では、糖尿病のほか、高血圧や心臓疾患を訴える患者が多数診察に訪れている。1カ月に数回は、糖尿病のため足などの切断手術が行なわれるという。
コスラエ島では、2000年に島民の肥満が問題視されて以来、島民の健康増進策を打ち出してきた。車のバンパーに張るスッティカーには「きょう1万歩、歩きましたか?」と書き、配布した。
狙いは、ともかく体重を2割落とすことだという。食生活にも改善の兆しが見え、島民は昔のように魚を食べるようになった。コスラエ島の公衆衛生計画の担当者ビタ・スキリングさんは「島民の運動は、ほとんどが歩くこと。島民は一週間に3回は歩いている。歩くのは朝。涼しいから」
5年前に一部メディアから「肥満の島」と揶揄されたコスラエ島だが、スキリングさんは、メディアの注目を集めたことで、島民が食生活や運動に関心を持つようになったと指摘、「メディアのお蔭で、われわれは助かるかもしれない」と話している。
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