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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年07月16日14時46分掲載
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敗戦60周年、「小日本主義」のすすめ──米国との心中を避けよう
敗戦から60年目の夏を迎えようとする日本は、これからどこへ向かおうとしているのか、向かうべきなのか。ジャーナリストの安原和雄氏(「コスタリカに学ぶ会」世話人)は、都内で行なわれた講演で、日本は米国との運命共同体を推進することで世界で“孤立化”しつつあると憂慮、石橋湛山元首相が提唱した「小日本主義」にこそ今後の日本の歩むべき道が示されていることを強調した。(ベリタ通信)
▼世界で孤立する戦争犯罪国・米英日
2005年4月はベトナム解放(米軍侵略からの解放)30周年にあたります。私は作家の早乙女勝元氏を団長とする「解放30周年記念ツアー」に参加し、「大虐殺」で知られるベトナム中部のソンミ村も訪ねました。
1968年3月、村人たちがまだ眠っている早朝、米軍は武装ヘリで急襲、504人を次々と虐殺、奇跡的に生き残ったのはわずか8人でした。米兵たちは村人1人を殺害する度に、「1点」、「もう1点」と叫んだといいます。まさに虐殺ゲームそのものです。ベトナム人の戦争犠牲者は死者300万人、米軍が空から撒いた枯れ葉剤の後遺症で今なお苦しんでいる人が100万人もいます。
以上は第2次世界大戦後、地球規模で繰り返されたアメリカの蛮行の一例にすぎません。過去半世紀に米軍の直接の軍事力行使あるいはアメリカ製兵器による世界の犠牲者は数千万人に上るという指摘もあります。こういう事実からホワイトハウスをはじめとするアメリカ国家権力集団こそ世界最大のテロリスト集団といわざるを得ません。言語学者として著名なノーム・チョムスキーMIT(マサチューセッツ工科大学)教授は「ホワイトハウスの行状は世界残虐大賞に相当する」と指摘しています。
一般のメディアが報道しないひとつの事実を紹介しましょう。05年3月5日東京・千代田区内で開かれた「イラク国際戦犯民衆法廷」(共同代表は大学教授ら)が判決を下しました。その内容はブッシュ米大統領、ブレア英首相は「侵略、戦争犯罪、人道に対する罪、ジェノサイド(大虐殺)」で有罪、小泉首相も「侵略の罪、戦争犯罪のほう助・支援」で有罪というものです。このようにブッシュ大統領らを戦犯として裁く民間ベースの動きがあることを知っておくことも大切ではないでしょうか。
さらに見逃せないのは日米英が世界で孤立しつつあるという事実です。イラク攻撃のための米国主導の「有志連合」から脱落国が増えています。特にドイツは最初から「ノー」と拒否しました。ドイツと日本はアメリカの最も重要な同盟国ですが、このうちドイツが離脱したことの意味を重視する必要があります。
▼ドイツは泥船「運命共同体」を脱出
「米帝国は世界規模の乞食」ともいわれます。それは3つの依存症に悩んでいるからです。たしかに軍事力は世界最強で、経済規模(GDP=国内総生産)でもアメリカが世界最大(次が日本)で、「帝国」ともいえる巨大な存在です。
しかし貿易、財政ともに大幅な赤字(特に財政赤字は巨額の軍事費が原因)であり、それを穴埋めするために金融(資金)面で大きく他の主要国(日本、中国などが米国債を購入して資金を供給)に依存せざるを得ない経済構造になっています。つまり他国のお陰でやっと「帝国」を維持し続けているにもかかわらず、「お陰様で」の感謝の一言もなく、傲慢な振る舞いを止めないようでは真の超大国とはいえないでしょう。
小泉改革は、中曽根政権時代(1982年〜87年)に始まった新保守主義的ないわゆる構造改革の継承であり、その特色は2つあります。1つは自由化・民営化促進による自由な企業利益の追求、いいかえれば自由市場原理主義の導入です。もう1つは日米軍事同盟下で日本の軍事国家化をめざしてひた走る路線です。小泉首相の靖国神社公式参拝、戦地イラクへの自衛隊派兵、憲法第9条(戦争放棄と戦力不保持)の改訂への動きなどはこの路線推進を意味しています。
9条の条文を変えさせないで、守ることも重要ですが、9条は事実上骨抜きになっています。日本の軍事力は予算ベースでは、アメリカ、英国、フランスに次ぐ世界第4位で、しかも日米安保体制によって巨大な米軍基地の存在を許し、アメリカの戦争支援基地になっており、日本はすでに世界の軍事強国の一員といえます。
なぜ憲法9条が空洞化したのか、その答えは日米安保条約にあります。第3条で「自衛力の維持発展」を定めており、憲法9条の非武装の規定と矛盾しています。この憲法9条の非武装の理念を取り戻すためにはどうしたらよいかを今こそ考えるときではないでしょうか。
日米は日米安保体制を背景に軍事、経済両面で運命共同体となっていますが、現実は日本が軍事基地と資金の提供(大量の米国債購入など)によって米国を支えています。このつっかい棒を外せば、アメリカ帝国の崩壊も早まる、いわば泥船にもたとえられる運命共同体です。
しかしアメリカ帝国の崩壊と運命を共有し、心中するほど日本はお人好しである必要はないでしょう。アメリカ帝国を支えてきた敗戦国、日独のうちドイツはすでにイラク攻撃に「ノー」の意思表示を明確にし、泥船から脱出したことを見逃してはなりません。
▼今こそ石橋湛山の非戦・平和思想に学ぼう
ジャーナリストの大先達でもある石橋湛山(元首相)が戦前から戦後にかけて主張した小日本主義論の特質は次の5つにまとめることができます。
1・植民地、領土拡大をめざす戦前の大日本主義のアンチテーゼであること 2・軍備拡張は亡国への道であること 3・平和憲法第9条は世界に先駆けた理念として高く評価すべきであること 4・平和憲法と日米安保条約は両立不可能であり、憲法理念を優先させること 5・東西冷戦時代に世界とアジアの平和のために「日中米ソ平和同盟」という一般の発想を超える構想を提唱したこと
今こそ湛山の非戦・平和の小日本主義論に学び、21世紀にどう活かすかを考えるときです。これは同時にコスタリカ・モデル(軍隊廃止、平和教育、自然環境保全?の3本柱が国是)に学びながら、平和をつくり、アメリカとの心中を避ける道につながります。21世紀版小日本主義のすすめとして次の5つの変革路線を導き出すことができます。
1・小泉流大国主義路線(新保守主義=自由市場原理主義導入と軍事国家化)への対抗軸として、質的に異なる変革路線であること 2・憲法の平和理念を強化し、経済社会の持続性を確保するために第1回地球サミット(1992年)が採択した「持続可能な発展」(Sustainable Development)という新しい理念・思想を憲法に修正条項として盛り込むこと 3・経済成長主義(大量生産・消費・廃棄→地球環境の汚染・破壊→地球生命共同体の崩壊)を捨てて、簡素な暮らし・経済(=脱「石油浪費社会」)へ構造変革を進めること 4・日米安保体制を解体し、「東アジア平和同盟」を構築すること 5・自衛隊を全面改組し、戦力なき「地球救援隊」(仮称)を創設すること
▼「地球救援隊」構想は平和への道
地球救援隊構想の説明だけにします。慶応大学で04年11月、講義の機会があり、この構想を提案したところ、ある女子学生は「私も同じことを考えていた」と感想文に書きました。男性よりも女性の方が未来志向型で、「21世紀は女性の時代」という印象もあります。
さて今なぜ非武装の地球救援隊なのでしょうか。今日の主要な脅威はいのち、自然、日常の暮らしへの脅威であり、いいかえれば地球生命共同体に対する汚染・破壊、つまり非軍事的脅威です。具体的には地球温暖化、異常気象、大災害、疾病、貧困、社会的不公正など多様で、これらの脅威は戦闘機やミサイルによっては防護できないことは指摘するまでもないでしょう。
地球救援隊は、これらの非軍事的脅威に対応するシステムで、この活動によって世界貢献と平和確保とを目標にします。システムの概要は次の諸点です。
・地球のいのち・自然を守るために平和憲法第9条の理念(戦争の放棄と戦力の不保持)を活かす構想であること ・活動範囲は地球規模であること。特に海外の場合、国連主導の国際的な人道的救助・支援の一翼を担うこと ・自衛隊の全面改組を前提とする構想であり、自衛隊の装備、予算、人員、訓練などの質の改革を進めること。例えば台風、地震、津波など大規模災害では陸路交通網が寸断されるため、空路による救助・支援が不可欠であり、装備として非武装の「人道ヘリコプター」を大量保有すること
地球救援隊の創設は、軍隊を捨てたコスタリカ・モデル応用の日本版ともいえます。非武装のこの構想が実を結ぶためにはアジア、中東における非戦モデルの構築が不可欠です。そのためには戦争システムである日米安保体制の解体(安保条約第10条によると、日米のどちらかが条約終了の意思を相手国に通告すれば、1年後に終了)と米軍基地の撤去が鍵となります。さらに平和の構築をめざす東アジア平和同盟の締結も必要です。
ともかくこの構想の具体化は、日本が世界の対立と恐怖を超えて、和解と共生を促す道しるべとなって尊敬を得るだけでなく、21世紀の平和を確保する上で先導的役割を果たすことにもなると思います。(安原和雄=ジャーナリスト)
<講演後の質疑応答>
講演終了後、出席者による安原さんへの一問一答が行われた。その要旨は次の通り。
Q1 日本がアメリカ国債(財務省証券)を買うことは、アメリカの対イラク政策に加担することになるのですか? “未来バンク”のような考え方、第三世界の事業に市民が投資することについて、どうお考えでしょうか? A アメリカの財政赤字の最大の要因はイラク攻撃の出費など軍事費の増大です。財政を税金だけではまかない切れず、国債を発行して海外から資金を調達しています。それを買うのは加担することになります。日本は総額70兆円近く買っています。“未来バンク”の詳細はわからないが、拝金主義でなく、お金をいかに有効に使うか、金の遣い道について、こちらが希望を出すという動きが最近非常に強まっています。それは、歓迎すべきことです。
Q2 日本国民の中には、アメリカとの関係を絶つと何をされるかわからないから怖いと思っている人が多い。アメリカを怒らせたらどうなりますか? A 日米間には強い経済関係があります。しかし、昨年度初めて、日中間の貿易額が日米間の貿易額を上回りました。今は日米英のチームは世界で孤立しつつあります。軍事力を振り回すアメリカと一緒に行動して、日本にとってプラスになりますか? アメリカに追随しなくてもやっていけるのです。日米関係重視の観念に縛られるのは長い間の惰性にすぎません。ベルリンの壁崩壊のように歴史は激変します。変わってみれば、なぜ、あのような悪夢にとりつかれていたのかと思いますよ。現状にとらわれるのではなく、現状をどう変えたらよいのか、想像力を逞しくして考える知的作業をする必要があります。日米関係を縛っているのは日米安全保障条約ですが、同条約10条2項に、現在はどちらかが通告すれば、1年後には相手の同意なしに廃棄できると定めていることを忘れてはいけません。
Q3 核をなくすことを現実的に考えるにはどうしたらいいですか? A 核保有大国は米ロ中仏英の5カ国です。核拡散防止条約は各締約国に「誠実に核軍縮交渉を行う義務」を課しています。また、核廃絶を支持する国が増え、非核地帯を宣言する地域も多い。むしろ核保有国が事実上包囲されている状況です。核廃絶の動きが地球規模で起こっています。
Q4 自由市場経済は破綻するのではないでしょうか。自由市場経済になれば問題が解決するような世論になっていますが、お考えは? A 経済での勝ち組、負け組を分ける弱肉強食を是認するアメリカ流の市場経済はいずれ破綻すると思います。欧州は社会福祉を重視しており、これに学ぶべきです。歴史的には今は変革期に入っています。5〜10年の間に大きく変わる可能性があります。そのためには私たちが評論家ではなく、行動者になる必要があります。「コスタリカに学ぶ会」はそのためにあります。
Q5 ドイツが米と心中しない道を選び、韓国がかつての軍政から変ったように日本も変わることができるのではないでしょうか? A 独仏の和解があって今日の欧州連合(EU)ができました。日本と同じ敗戦国のドイツでは政治リーダーが日本の靖国神社参拝のようなことをしていない。もともとアメリカを生んだのは欧州だという思いがあります。日本もアメリカ一辺倒の姿勢から卒業して日中関係を大切に考え、東アジアを基盤に平和の構築を考えていくことが必要です。
*安原和雄(やすはら・かずお) 1935年生まれ。毎日新聞論説委員などを経て、05年3月まで足利工業大学教授(経済学担当)。著書に『足るを知る経済』(毎日新聞社)など。
*本稿は、「コスタリカに学ぶ会」発行の「コスタリカ通信」(6月20日付)に掲載された同氏の講演の再録です
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