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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年08月05日14時20分掲載
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深刻な米刑務所内での性的暴行 自殺者やエイズ感染の犠牲者も
【コングレス(米アリゾナ州)4日=マクレーン末子】米国の連邦・州刑務所の性的暴行の実態が最近、米司法省によって公表された。同省の報告では、入所者が、看守や入所者から性的暴行を受けているケースが目立った。こうした実態がわかったのは初めて。しかし、被害者が暴行の事実を隠したがる傾向があるため、実際の被害状況は氷山の一角との見方もある。
各種報道を総合すると、米国の刑務所の収容者は約210万人。司法省の報告では、性的暴行の件数は8210件に達している。今年6月にはワシントンで初の公聴会が開かれ、被害者たちは生々しくレイプの実態を証言した。
報告では、42%が看守からの、37%が入所者による暴行だった。それ以外は看守・入所者からの暴行にまでは至らない性的いやがらせである。女性は入所者全体の10%以下だが、州刑務所での性的暴行の被害者の半数を占めている。
人権擁護団体SPR(刑務所内でのレイプをやめさせよう)によると、男性の性的暴行の被害者の80%は入所者から、女性の場合80%は看守から暴行を受けている。
男性の場合、標的にされるのは若い新参者。大部屋やシャワールーム、看守の目の届かない場所で、複数の入所者によってえじきとなる。度重なる暴行に耐えかね、多くは看守に助けを求めるが、無視されている。
同ウエブサイトでは、6月14日開かれた公聴会での、5人の被害者の証言を載せている。
そのうちの一人、ケイス・デイブラシオさんは、証券取引法違反で、ウェストバージニア州の刑務所で服役を受けた。150人の入所者に常勤の看守は1人。刑務所内には、10以上の死角の場所があり、そこで、性的暴行は続けられた。そしてその結果、デイブラシオさんはHIVに感染する。
現在出所したデイブラシオさんは、エイズと、精神的ストレスの両方と闘う日々である。性的虐待の日々は心に大きく傷を残している。いまだ群集の中へ入っていけないという。
被害者の中には、性的虐待に耐え切れず、命を絶ったケースもある。ロドニー・ヒューリンさんがそうである。公聴会では、母親のリンダさんが、息子の無念を晴らすため証言に立った。
SPRのサイトによると、当時16歳だったロドニーさんは、兄と近所の路地にあったごみ箱に火をつけ逮捕された。燃えたごみ箱自体の被害は500ドルだったが、ロドニーさんは8年間の有罪判決をうけた。
テキサス州の刑務所に入所後、155センチ、56キロとまだ少年の体のロドニーさんは、大きな大人たちのえじきとなった。数人の入所者による度重なる性的虐待を、ロドニーさんは家族への手紙で訴えた。
家族は刑務所当局へ訴えるが、聞き入れられなかった。ロドニーさんは性的暴行を繰り返す入所者から離れるべく、独房に入ることを考え、刑務所内での規則を犯す。そして入れられた独房で、首をつって自殺した。
リンダさんは「息子はもう帰らない。が、数知れない犠牲者が今もなおいる。息子は虐待を受けることも、性的暴行されることも、死ぬ必要もなかった。息子に起こったことが二度と起こらないことを願う」と公聴会で語った。
SPRの事務局長のララ・ステンプルさんは、「多くの米国人は刑務所内での実態に目をそむけている。というのも直接係わり合いがないと思うからだ。が、年々入所者が増え続けている。彼らの出所後を考えると、塀の中の出来事は他人事ではない」と話している。
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