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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年08月17日12時27分掲載
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ES細胞研究はナチの人体実験だ 宗教右派指導者の発言で波紋
保守化の傾向が強まっている米国政治の中で急速に発言を強めているのが、キリスト教右派。その宗教指導者が最近、アルツハイマーなど難病治療に役立つとされる胚性幹細胞(ES細胞)の研究を、ヒトラー率いるナチが行なった人体実験になぞらえて批判した。この発言に対し、米国在住のユダヤ人グループや、人権保護団体が、謝罪を要求したが、同指導者は謝罪を拒否した。(ベリタ通信=有馬洋行)
米紙デンバー・ポストによると、発言したのは、米コロラド州コロラドスプリングズに本部のある右派宗教組織「フォーカス・オン・ザ・ファミリー」の創設者ジェームズ・ドブソン氏(69)。今月3日、同組織が提供するラジオ番組の中で、ドノバン氏は、第二次大戦中にナチが、強制収容所にいたユダヤ人を使って人体実験したことと、ES細胞の研究を同列視して、ES細胞研究の支持者への批判を展開した。
「功利的なアプローチからは、結果が良ければ良いことになる。しかし、それは明らかに真実ではない」と述べ、「科学は常に倫理とモラルによって導かれる必要がある。科学から倫理とモラルがなくなれば、ナチス・ドイツで起きたことが起きることになる」
「フォーカス・オン・ザ・ファミリー」は1977年に創設され、伝統的な家族的価値観を主張する一方、ラジオ番組や雑誌などを通じて保守的な政策の浸透を図っている。
ES細胞の研究をめぐっては、保守派や宗教右派らの支持を得て再選を果たしたブッシュ大統領が従来から批判的な姿勢を示している。理由は、ES細胞が受精卵から作られるため、研究に使われれば、事実上人間の生命が奪われることになるからだ。大統領は01年に、既存の少数のES細胞の研究以外には、連邦予算を支出しないことを決めた。
しかし、難病治療への期待が高まる中で、ES細胞研究の促進を求める規制緩和法案が米議会に提出されている。ブッシュ政権を送り出した与党の共和党内でも、ES細胞をめぐっていは意見が分かれている。同党のフリスト上院院内総務は先月末、ES細胞研究の規制緩和法案に賛成する意向を表明し、ブッシュ政権に反旗を翻したと話題になった。
ドブソン発言に対し、米人権団体「反中傷連盟」は、「ショックを受けている」とし、ドブソン氏に謝罪を要求。また、サイバーキャスト・ニュース(電子版)によると、ユダヤ人グループのデイビッド・サパスタイン氏は、ホロコースト(ユダヤ人虐殺)の過程で、ナチがユダヤ人収容者に人体実験を行なっていた事実を踏まえ、ドブソン氏の発言を「嫌悪すべきもの」と述べている。
総じてドブソン批判派は、ES細胞が将来的に数百万の人の命を救うかどうかは、現状では不明だが、その研究を、ナチの拷問・人体実験と比較するのは、「挑発的かつ攻撃的だ」と指摘している。
ドブソン氏はその後、声明を出し「謝罪に関しては、受精卵を破壊する研究の擁護者こそ、人類家族の同胞に対し謝罪すべきである」と反論し、謝罪する考えのないことを明らかにしている。
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