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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年09月15日02時35分掲載
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カトリーナ大災害
現地紙は洪水を何度も警告 地元の声無視したブッシュ政権
米南部を襲った大型ハリケーン「カトリーナ」をめぐり、米ルイジアナ州ニューオリンズの地元紙タイムズ・ピカユーンは過去に少なくとも9度にわたって、速やかなハリケーン対策を講じなければ、ニューオリンズは、壊滅的な被害が起きるとの警告記事を書いていた。しかし、対イラク戦争で予算不足に陥ったブッシュ政権は、地元から強い要望のあった洪水対策費を大幅に削っていたという。(ベリタ通信=江口惇)
タイムズ・ピカユーン紙は168年の歴史を持ち、発行部数は26万部。ニューオリンズの大半が、市内を流れる運河の堤防決壊で水につかったため、31日新聞の発行を停止、ウェブサイトで記事を送った。2日から印刷を開始したが、市内が壊滅的な被害が受け、住民がヒューストンなどで脱出したため、今後経営が行き詰る可能性も指摘されている。
米紙ロサンゼルス・タイムズによると、そのピカユーン紙は3年前、5回シリーズでハリケーンの通り道であるニューオリンズが大型ハリケーンに直撃されるのは「時間の問題」と警告した。記事は「ハリケーン襲来を前にした避難は悪夢となるだろう。輸送手段を持たない住民10万人が取り残され、数千人が犠牲になる。さらに数万人が家を失い、水が引くには数カ月かかる。地域経済は灰燼と帰すだろう」と、まさに今起こっていることを予言していた。
またニューヨーク・タイムズ紙も2002年8月、ジャズ発祥の地として知られ、独特のたたずまいをみせるニューオリンズが、もし大型ハリケーンに直撃されたら、ニューオリンズは消滅してしまうだろうと警告していた。
エディター&パブリッシャー(電子版)によると、ニューオリンズは、以前から海より低地にあるため、ハリケーンによる浸水被害が指摘され、60年代から連邦、州、市当局がハリケーン対策に取り組んできた。
▽イラク戦争後、対策予算先細り
95年5月の豪雨で6人が死亡したのを契機に、防災プロジェクトが開始された。10年間かけて、堤防などの大規模な修復を目指すものだった。しかし、対イラク戦争が開始された2003年以降、連邦政府からの予算は先細りになった。
ピカユーン紙は、対イラク戦争や、大型減税、国土安全保障に予算が取られた結果、ニューオリンズの防災対策が後回しにされたと何度も批判してきた。
ニューハウス・ニュース(電子版)によると、ルイジアナ州議員団は、ことし初め、米連邦議会に対し、防災対策の予算を要求したが、ブッシュ政権の反対で、ハリケーン対策費が、要求の6分の1に大幅に削られたという。このため米上院では、来年度予算でニューオリンズの防災対策費の復活を検討していたが、既に大型ハリケーンでニューオリンズが壊滅的な被害を受けたため、結果的にこれは遅きに失したことになった。
ロサンゼルス・タイムズ紙も、ブッシュ政権は、防災工事を請け負う米陸軍工兵隊やルイジアナ議会の要請を繰り返し、拒否してきたと指摘。ブッシュ大統領が現地視察で見るのものは、自らの決断の結果であると皮肉った。
ニューオリンズの危険性について警鐘を鳴らし、新聞の社会的使命を果たしてきたピカユーン紙は、2日に印刷を開始したものの、「いつまで持つのか」と新聞存続の危機に見舞われるつつある。10月以降、スタッフの大幅削減も噂されている。同紙経営者は「今は明日のことしか考えられない。将来どうなるかはわからない」と微妙な発言をしている。
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転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
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