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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年10月04日14時01分掲載
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【IPSコラム】コモンズの再生 真の「第三の道」 公私二元論を超える新たなパラダイム マーク・ソマー
田中知事の長野県でコモンズという言葉が流行り言葉になっている。コモンズとは何か。それは、「公」と「私」という二元論としてではなく、「共」という観点から、持続可能な方法で資源の管理を考える新しいパラダイムである。国際的に配信されているA World of Possibilitiesというラジオ番組のホストであるマーク・ソマーは、コモンズという概念は、伝統的保守派にも真の進歩派にも受け入れられるものではないかと言う。(IPS・コラムニスト・サービス=ベリタ通信)
「人生で最高のものには金がかからない」ということわざがあるが、世界の大多数の人々にとって、それはますます手に届かないものになっている。飲む水、息する空気、出会い、迎え、遊ぶ場所、考える発想、一緒に創り出す作品、それにわれわれ自身の中に持つ遺伝子さえ、暴走した市場の法的および金融機構によって、権利が主張され、汚染され、商品化されている。
共産主義が崩壊し、社会主義が資本主義の実行可能な代替案として放棄されて以来、こうした傾向に危機感を感じる人々は、すべてを消費する商業部門とすべてを管理する国家のどちらかの選択しかないという誤った枠組みにどう対応すべきか、大いに当惑している。今、新しく独創的な運動が、この身勝手な言説に対抗するために生まれている。公的部門と私的部門の間の適切なバランスを再構築するために、両者が不可欠に依存する第三の部門―昔からあり、由緒あるコモンズ(commons)―の大きな重要性を再び主張している。
コモンズ運動自体は新しいものだが、その概念は国家や市場に先立つ。西洋の伝統において、コモンズの起源はローマ法から生じている。ローマ法は財産を3つのタイプに区別した。res privatae(私的財産)、res publicae(公共の建物、道路など)、res communes(自然の恵みで、全員に使われ、属するもの)である。この「共有の財産」(common wealth)は、裕福な個人会社、個人、(個人に成りすました)会社が19世紀になって独占的に使用するために、範囲を広げ、容赦なく囲い込みを始めるまで、何世紀にもわたって分かち合う資源であった。
アラスカからアマゾンまで、先住の人々にとって分割することができないと見なされた共有(common)放牧地、漁業権、その他の資源は、今日に至るまで、全住民が共有する(communal)生計手段の不可欠な源となってきた。現在、市場が天然資源を求めて、伝統文化の最深部に入り込み、こうしたコモンズも消滅の危機にある。
しかし、コモンナーたち(commoners、彼らは自分たちをそう呼ぶ)は、最後にバラバラに残された、われわれの共有の遺産を救うために、守りの戦いをすることで満足してはいない。彼らはコモンズを驚くほどの新しく、包括的な方法で規定し、これらのコモンズの普遍的な所有権を、私有財産法が企業と個人の財産を保護する(現在は特別扱いしている)のと同じように効果的に保護する「コモンズ法」の本体を作り始めた。
それでは、コモンズとは何か。コモンズの主導的な理論家であるジョナサン・ローウェは「われわれが通常、使用料や代金を支払うことなしに使う、共有の遺産という広大な領域である」と言う。「大気と大洋、言葉と文化、人類の知識と知恵の集積、共同体(community)の非公式な維持システム、われわれが欲しい平和と平穏、生命の遺伝子の基礎的要素」。具体的に言うと、コモンズは、表土から深宇宙まで、すべての天然資源の源である。芸術、科学、風習それに法律、言語からインターネットまで、コミュニケーションの手段、共同体、近隣、公園、遊び場である。
コモンズは、われわれが分かちあう自然と文化の遺産である。それは市場と国家を可能にし、われわれの生活を生きるに値するものにさせるものであり、関係をおりなすもの、広大な心、単なる生存を超えて、創造と協力に到達させる心である。
私的な利益と公的な資産はともに、健全なコモンズに不可欠に依存している。メキシコ湾から緩衝の役割をしている湿地帯コモンズが私的な開発で破壊されていなかったら、ハリケーン・カトリーナの被害はもっと少なかったであろう。世界最大の財団の共同設立者で世界で最も金持のビル・ゲイツは、巨万の富と権力を持つ個人が成功したのは、文明の共有(common)財産、つまり教育、法律、保健医療システム、科学と文化、それに、その時代とそれらの業績の元となっている知識基礎を創った前の世代の何千人という個人の努力に負うところが大きい、と主張する。ゲイツは、他の人たちが同じ機会を得るために、富める個人は社会の共有(common)資産に再投資すべきであると言う。
コモンズを再生し、活力を与える実行可能な方法のひとつは、私的団体ないし国家機関に対し、それが提供するサービスの真のコストを負担させることである。経済学者の隠語では、これを「外部性の内部化」という。例えば、汚染の除去に料金を徴収することや、放牧や公有地の採掘に適切な市場価格を請求すること、放送帯域に市場価格を請求することである。
これらの料金は、使い過ぎや投資不足で酷く荒廃した共有(common)資産を維持し、再生するために使うことも可能である。
理解していない人には、コモンズは私有財産を攻撃しているように見えるかもしれない。しかし、コモンズがそのような独創的な貢献をしているのは次のような理由による。私的部門も国家も、共有の財産(common wealth)を自由に借りながら、支払いはけちっているが、それをはぐくみ、維持しない限り、長期的にはうまくいかない。しかし、コモンズは、私的部門と国家がわれわれの集団的な幸福へ重要な貢献していることにも敬意を払っている。
政治が誤った対立でマヒしているときに、コモンズという概念は、伝統的保守派と真の進歩派の両者に受けるかもしれない。なぜなら、それは共同体主義者(communitarian)で地方分権主義者であり、横暴な政府と行過ぎた企業の両者に対する釣り合いを取る役割を果たすからである。共有の財産(common wealth)は共有(common)の家であり、愚か者だけが自分の巣を汚すのである。
www.aworldofpossibilities.com www.onthecommons.org.
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