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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年10月15日00時27分掲載
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断食月は感謝、慈悲、修行の月 イスラム国がラマダン入り
自爆犯人3人を含め、計22人の犠牲者を出したインドネシア・バリ島の同時爆弾テロ事件は、同国警察が東南アジアのイスラム系テロ組織「ジェマ・イスラミヤ」(JI)による犯行との見方を強め、実行犯の身元割り出し作業と同時に、JI幹部で、爆弾製造に精通したアザハリ容疑者(マレーシア国籍)らの行方を追っている。相次ぐ爆弾テロで、イスラム系組織に冷たい目が注がれる中、世界最大のイスラム教徒数を誇るインドネシアでは5日、また、サウジアラビア、エジプト、イラクなど中東のイスラム国では4日から、同教徒たちの義務とされる「ラマダン」(断食月)が始まった。(ベリタ通信=都葉郁夫)
イスラム教の聖典コーランには、同教徒が信仰上、守るべき5つの柱が定められている。それらは1)信仰の告白(シャハーダ)2)礼拝(サラート)3)断食(サウムまたはラマダン)4)布施(ザカート)5)巡礼(ハジ)――である。
2)では、イスラム教徒たちは1日5回、聖地メッカに向かって礼拝する。また、4)では、貧しい者たちへの施しが、5)では、生涯少なくとも1回メッカに巡礼することが義務付けられている。
そして、3)がイスラム歴の「第9月」に当たる「ラマダン」で、イスラム教徒にとっては信仰の証を示す5つの柱の中でも、自律、体力、忍耐力、自制心などを厳しく試され、要求される、いわば「修行の月」となる。
イスラム教徒はこのラマダンの期間中、日の出から日没まで公衆の前で、水・食事をとってはならず、ツバも飲み込んではならず、さらに、たばこも吸ってはならないとされる。断食をすることで食べ物と食べられることにも感謝する。こうした欲望を断つ中には、太陽が出ている間の夫婦関係も厳禁。
世界では10億人を超えるとされるイスラム教徒たちが、この「禁欲生活」を29−30日間も続けるが、幼児、高齢者、病人、妊婦はその対象外とされるほか、会社などでは勤務時間が通常より短縮され、「6時間」以下となる。
厳しい日々の修行ではあるが、太陽が西に傾き、日没を迎えると、イスラム教徒たちの心がうきうきし始めるのも確か。1日の断食が終わり、家族や友人たちと飲食を共にできる時間がやって来るからだ。
世界中のイスラム教徒の約5分の1を占めるインドネシアでは、これを「ブカ・プアサ」(1日の断食明け)と呼び、断食中に弱ったお腹にとってやさしい、甘い菓子とお茶をまず口に入れ、体力を徐々に回復させながら、その後の食事に備えることになる。 この時期、インドネシアだけでなくサウジアラビアなどでは他の月に比べて、食料の消費量が増えるといわれる。これでも分かるように、イスラム教徒にとって1日の断食を終えた後の「団らん」は、断食を守れたとの満足感と翌日の断食に向けた決意を確認する場でもあるようだ。
こうした中、中東のイスラム国に比べて、より緩やかな環境にあるインドネシアでは、“キセル断食”で済ませる教徒もたまに見られる。定期券を持つ利用客が、定期券に記載された乗車区間以外の駅から電車に乗る際、最低運賃の切符を購入、記載乗車区間内の駅で定期を使って降りるのが「キセル乗車」。
「キセル断食」ではこれと同様、ラマダン入り後の数日間は、他のイスラム教徒の手前もあって断食を行うが、その後はこれを守らずに密かに飲食(あるいは喫煙)。そして、ラマダンが終わりに近づくと、断食を再開し、教徒たちが心待ちにするレバラン(断食月明けの大祭)を一緒に祝うというもの。
とはいえ、こうした「キセル断食」教徒にしても、心から願っているのが「平和な社会」が続くこと。インドネシアや中東諸国のイスラム教徒たちは今、そうした願いを込めながら、厳しい中にも満足感の満ちた日々を、これから11月初めまでの約1カ月間にわたり送ることになる。
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