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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年10月15日00時29分掲載
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名門工科大の大物学長が辞任へ 後身に道を譲るのが目的
米マサチューセッツ工科大学(MIT)と並ぶ私立名門校カリフォルニア工科大学(カルテク・所在地パサデナ)の名物学長デイビッド・ボルティモア氏(67)が、重責を果たしたとの理由で辞任することになった。1975年に37歳でノーベル医学生理学賞を受賞した俊秀で、97年からカルテクの学長を務めていた。指導力にも優れ、業績は高かったものの、知名度が低かったカルテクの名を全米のみならず、世界にまで轟かせる原動力になった。辞任発表を受けて、研究仲間やメディアからその業績を称える声が上がっている。(ベリタ通信=エレナ吉村)
ボルティモア氏はニューヨーク出身で、米ペンシルベニア州の名門スワース・カレッジ卒業後、ニューヨークのロックフェラー大学で博士号を取得。その後MITでも教鞭をとり、ロックフェラー大学教授、同学長を歴任。この間、ウイルス研究でノーベル賞を受け、学者として順調な道を歩んでいた。
しかし、1980年代後半に公表された研究報告をめぐり、同僚の学者が、研究データを捏造した疑惑が浮上。米議会の公聴会にも呼ばれる事態になり、結果的にロックフェラー大学の学長を辞任する羽目になった。
不遇をかこつ形になったが、96年に同僚学者の疑惑が解け、97年にカルテクの第7代学長に招聘された。米紙ロサンゼルス・タイムズによると、米国の科学教育史上でも、劇的なカムバックのひとつになるケースだという。
当時カルテクは、ノーベル賞受賞者を多数輩出する名門校として、アカデミックな世界では知られていたが、対外的な知名度ではMITに一歩先を譲っていた。これに活を入れたのが、ボルティモア新学長。エイズ研究などでカルテクの存在力を幅広く宣伝し、民間企業や篤志家から、巨額の寄付金を集めるのに成功。数年前には、カルテクは、米誌USニューズ・アンド・ワールド・リポートが発表する米国のベスト大学のトップにランクされるほどになった。
ボルティモア氏が多忙な学長業務の傍ら、研究を続けており、米国の生物学の分野では、最も影響力のある学者のひとりとされる。学長就任後にも、カルテクからはこれまでに5人のノーベル賞受賞者が誕生している。
辞任は来年6月の予定。辞任後も大学にとどまり、米マイクロソフト社総帥ビル・ゲーツ氏が主宰する財団からの寄付金などを財源に、エイズ研究を続けるという。
パサデナ・スター・ニュース(電子版)は、ボルティモア氏がエイズ研究や万能細胞(幹細胞)研究などで一流の研究陣をそろえ、公衆衛生の分野でカルテクの名を世界に轟かせたと指摘している。
ボルティモア氏は「健康上や仕事上の関係で辞めるのではない。学長としての目標は達成したからだ」と話している。
ロックフェラー大学学長でノーベル賞受賞者のポール・ナース氏は、ボルティモア氏が、学長職を続けながら、多くの研究報告を行なってきたことを賞賛。「学長を続けながら研究をすることは容易ではない。しかし、彼は依然偉大な研究者になることを目指している」
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