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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年10月20日20時00分掲載
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コスト増で減り続ける米国の緊急救命室 対応できず、患者死亡も
米国で急患が搬送される病院の緊急救命室(ER)が減少している。減少の理由は、病院がコスト増に悲鳴を上げ、ERを閉鎖しているからだ。ERの閉鎖で、一番被害を受けるのは患者たちだ。数が減ったため、勢い他のERに集中することになり、救急病棟が急患でごった返す事態に。この結果、急患が長時間待たされるのが慢性化している。医学関係者は、仮に生物兵器を使ったテロなどで大量の患者が発生しても、このままでは対処できず、多くが無駄死にする事態もありうると警告している。(ベリタ通信=有馬洋行)
米誌レディーズ・ホーム・ジャーナルによると、米国では1986年に制定された法律により、病院は健康保険に未加入であっても、急患を受け入れる義務がある。このため患者が払えない治療費の一部を病院が負担する結果になり、ERの採算は悪化している。
1993年から2003年にかけて全米でERに搬送された患者は26%増えたが、逆にERはコスト負担増から14%減少している。高齢化を迎え、ERを使用するケースが増えているだけに、救急病棟の相次ぐ閉鎖は、大きな社会問題になりつつある。
ERの減少によるしわ寄せで、他の病院の救急病棟は、日常的に満員状態になっている。救急車が急患を搬送してきても、治療室が満員のため、患者が担架に乗ったまま長時間待機することも起きている。
こうした慢性的な救急病棟の混雑に加え、医療スタッフの中でも、看護婦の不足が深刻化している。このため経験のない看護婦が緊急救命室に配置され、医療事故が起きる事態にもなっている。
▽一時間半待ちで少女死亡
米カリフォルニア州で2004年3月、悲劇が起きた。生後1年10カ月の幼女が嘔吐を繰り返したため、病院に運んだ。少女は苦痛を訴えていたが、待合室で1時間半待たされた。
容体は悪化し、嘔吐に血が混じった。幾つかのテストの後、治療が始ったのは3時間後。しかし、少女は激しい脱水症状を呈し呼吸も荒くなった。看護婦が酸素吸入器を取り付けたが、着け方を間違えたため、約1時間も少女は正しく酸素を吸入できなかった。
この段階になって医師が母親に向かって「お嬢さんは病状が悪化している。ここにはこうした子どもを診る設備がない」と話したという。しかし、その後、近くにある小児病院から緊急医療チームが呼ばれ、少女の診察を行なったが、既に手遅れ。同日夜、激しい脱水症状のため死亡した。
病院側が、早期に適切な治療を施していれば、助かったケースという。その後の調べで、当直の看護婦3人が、救急小児治療のための必要な履修コースを取っていなかったことも判明している。
一方、急患の場合、事故や病気から短時間のうちに、治療を受けるかどうかで生死が分れるといわれる。米ペンシルベニア大学の2005年の調査によると、救急車を使ってもERにたどり着くまでに1時間以上かかる人が約5000万人(米人口は約2億8600万人)いるという。
救急医療は、経費がかかるため、連邦政府などからの支援が不可欠とされる。ある医学関係者は、救急病棟の減少によると影響で、仮に生物兵器を使ったテロや、自然災害、伝染病が起きた場合、急患を病院が収容できず、数十万人が治療を受けられないまま死亡する恐れがあると警告している。
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