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2005年10月24日14時58分掲載
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【IPSコラム】先進国の農業補助金 途上国の農民を貧困に追い込む メアリー・ロビンソン
貧困と取り組むことはそんなに複雑なことなのか。そうしたことを言うのは、貧しい国での極貧と豊かな国で取られる対策の間に関連をつけたくない政治家や経済学者がほとんどである。もし関連付ければ、貧しいということは、まったく単純なことである。そして解決策は明らかである。−メアリー・ロビンソン (IPSコラムニスト・サービス=ベリタ通信)
「貧困と取り組むのは複雑だ」。貧困が世界の最重要課題として再び浮上してきた時に、こうした言葉が何度も聞かれるのはどうしてなのか。
環境悪化から不安定、紛争まで、世界が今日直面している大きな問題のほとんどには貧困が根ざしている。であるから、この問題が7月にスコットランドで開かれた先進8カ国首脳会議、9月の国連ミレニアム開発目標の会議、12月に香港で開かれる世界貿易機関(WTO)の重要な会議で中心議題になるのはいいことである。われわれは結果を待っている。
しかし、問題は残る。貧困と取り組むことはそんなに複雑なことなのか。そうしたことを言うのは、貧しい国での極貧と豊かな国で取られる対策の間に関連をつけたくない政治家や経済学者がほとんどである。もし関連付ければ、貧しいということは、まったく単純なことである。そして解決策は明らかである。
昨年12月、わたしは、うだるような真昼の太陽の下、マリの綿花畑にいた。わたしの周りの女性たちは、地面にかがみながら、手で摘み取った綿花をかごに入れていた。赤ん坊は近くの溝に置かれ、小さな子供たちが面倒を見ていた。隠れる場所も、衛生設備も、きれいな水も、まともな日よけさえもなく、ただ貧しく、あらゆる困難を克服して生きのびる誇り高い家族の姿があった。
彼らの問題はそれほど複雑ではなかった。その派生的問題は非常に大きいが。貧困は、これらの女性と家族に、適切な生活水準、教育、保健という基本的な権利を奪っている。責任は極めて単純、米国の政策にある。
昔は、西アフリカ人は綿花を「白い黄金」と呼んでいた。それで食糧と薬を買い、子供たちを学校にやるのに必要な基本的な収入が得られた。しかし、1990年代中ごろ、価格が下落し始めると、綿花の価値は下がり始めた。過去10年間の低迷の大きな要素は米国の農業政策である。
米国政府は綿花生産に補助金を出すために年間30億ドル以上使う。米国の生産者上位10%が支払い額の79%を得ている。この補助金を受けた綿花が世界の市場に溢れ、価格を引き下げ、綿花に生活を頼る1000万人の西アフリカ人の収入を減らした。西アフリカの綿花生産者は世界で最もコストの低い生産者であるとともに、最も貧しい人々でもある。2002年、米国の綿花生産者は平均33万1000ドルの政府補助金を受け取ったが、マリ、ベニン、ブリキナ・ファソなどのようなところの典型的な綿花農家は年400ドルの収入を得ればいい方である。
国際食糧政策研究所の調査によると、農家レベルで綿花の価格が40%下落すると、ベニンの33万4000人が貧困に陥るという。米国の農業補助金が西アフリカの家族を貧困に追いやっている。食糧、水、衛生、健康、教育への基本的人権を幅広く奪っていることに、米国の政策は直接的な責任がある。
西アフリカの綿花畑で見た光景は、世界中の貧しい地域で違った形で繰り返されている。米国だけが責めを負っているわけではない。アフリカ、南米、アジアの砂糖農家と酪農家は欧州の納税者が支払う欧州連合の国内補助金政策によって、過酷な影響を受けている。
こうした政策によってもたらされた損害は、国際通貨基金が押し付け、世界銀行が支持する構造調整政策によって増幅されている。それにより、途上国は社会サービスを削減し、貧しい人々は子供たちを教育し、栄養を与え、保護するのがより困難になっている。知的所有権の規則によって、アフリカでは毎日、6500人が死亡しているエイズと戦うための手ごろな価格の薬を貧しい人たちにとぅて手に届かないものにさせている。
その理不尽な政策は豊かな世界で決められ、貧しい人々に押し付けられる。それはしばしば、先進8カ国の会議や9月のニューヨークの国連の会議で、改革、援助の増額、貧困への新しいアプローチについて語った国々によって決められる。一方、貧困は世界の多くのところで増加している、貧富の差は拡大しており、直接の結果として、われわれの世界はより不安定になっている。
今こそ、先進世界は見返りを受け取るだけでなく、グローバルで互いにつながった時代の責任を受け止める時である。影響を受けている人々が、違った土地の見知らぬ人々のように見えても、われわれはグローバリゼーションの影の部分と取り組むのを支援しなければならない。われわれがニュースで見る苦しんでいる人々は、他人ではない。われわれの税金は彼らの生活を損ない、われわれの会社の特許と利益は、彼らの子供の健康を犠牲にして保護されている。グローバリゼーションがさまざまな国の間のつながりを拡大させたように、われわれの義務も相互のものに拡大させた。
われわれの責任はもはや国境によって限定されたものではなくなっている。通商、文化、通信でつながった世界は、思いやりによっても結合されるべきである。グローバリゼーションの恩恵が広く分かち合われ、負担が公正に担われるならば、経済に中心をおいたプロセスではなく価値と倫理によって導かれたものに変革されるべきである。実際、わたしは、「思いやり」よりもさらに踏み込む。わたしは説明責任(accountability)について論じたい。
貿易相は、国際的な人権条約の下での責任を受け入れた政府の一員である。WTOが12月、香港で会合をもつ際、米国と欧州連合が不公正な貿易政策、補助金、関税障壁を止めるという真の公約をするように見定めよう。それらは、貧しい人々が、仕事の公正な恩恵を得る機会を奪い、貧困から抜け出す機会を奪っている。おしゃべりを減らし、もっと行動を。それが貧困と取り組む簡単な方法である。
*メアリー・ロビンソン アイルランド大統領、国連人権高等弁務官を務め、現在はRealizing Rights: The Ethical Globalization Initiative (www.eginitiative.org)代表。
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