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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年11月06日09時34分掲載
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日本は市民主導で「脱欧開亜」を 「ワンコリアフェスティバル」の鄭委員長が提言
「ハナ(一つ)」を合言葉に、大阪で先月末開催された「ワンコリアフェスティバル」は南北朝鮮の統一と東アジア共同体の創設を参加者に訴えた。この目標にむけて日本はどのような役割を果たせるのかなどを、フェスティバル実行委員長の鄭甲寿(チョン・カプス)さんに聞いた。鄭さんは、日本はこれ以上アジアで孤立しないためには、市民主導の「脱欧開亜」を積極的に進めるべきだと提言した。(森 類臣=ベリタ通信)
▽「ハナ」のイメージ発信に自信
―今年は日本の植民地支配から解放された光復60周年ですが、その節目の年のワンコリアフェスティバルへの思いはありますか。
光復40周年のときに、新しいビジョンとイメージを出そうということでワンコリアフェスティバルを始めたのだけど、その頃は本当に明確なものがあったわけではなくて、模索しながらやった。それが20年経って、僕らなりにワンコリアというイメージ、ハナ(ひとつ)というイメージも広がって、それなりに社会的な発信はできているのかなということです。そういう中で光復60周年を迎えて、僕らが目指した未来の一部が実現しつつあるし、これからさらに大きな目標に向かって、新たな出発というのが一番大きな意義であると思います。完全な南北の統一とアジア共同体の実現は100年単位の話なのですが、これに向けた新たな出発が手ごたえをもって感じられました。
―2002年9月17日の日朝平壌宣言のときに、金正日国防委員長(当時)が日本人拉致を認めましたよね。そのときに、ワンコリアフェスティバルに対する嫌がらせなどはありましたか。
いや、全然なかったですね。拍子抜けするくらい。その時ちょうど、ワンコリアの準備でポスターとかもつくっていたのです。責任者の名前や朝鮮学校の支援だとかで「朝鮮」という名前が入っているので、僕らは手ぐすねひいて待っていたんです。電話を。 フェスティバルのメインが、W杯・韓国代表のユン・チファン選手と、サッカーコーディネーターで有名なユン・チェジョさんを呼んで、朝鮮学校の子どもたちにサッカーボールをプレゼントするというセレモニーだったのです。でも抗議は全くなかったですね。まあ、やりにくいんだろうね。僕らは声高に何か言うわけでもないし、ただ楽しく歌って踊ってね。
―日本のメディアでは、朝鮮のイメージがものすごく悪く描かれていますよね。そういうイメージを転換させることも、フェスティバルを通じてできると思いますが、どうでしょうか。
ワンコリアというのは、北と南の統一だからね。北と南が同じ民族であるということをよく理解して欲しい。金正日とぺ・ヨンジュンが同じ民族なのかというようなイメージではなくて、やはり北には北の人々がいるし、政府とそこに住んでいる人は別だからね。政府は確かに問題があると思うけれど、そこに住んでいる人は選びようがない。自由に海外行けるわけでもないし、行こうと思ったら、亡命するか難民になるかの脱出しかない。そういう人たちが、だからといって、新興宗教みたいに洗脳されているかといったら、決してそんなことはない。皆したたかに考えながら、自分で判断しながら、口に出そうが出すまいが暮らしているんですね。
だから普通の人が2000万人いるということを、日本人は理解しなければいけないのですが、それには日朝国交の樹立が大きな転換点になると思います。やはり直に行き来できなければならないのですよ。韓国とも自由に行き来できない時代があったでしょ。国交が結ばれれば、かなり風通しがよくなりますよ。今度は韓流ではなく、「朝流」も不可能ではないですよ。
問題は、それに向けた戦略をきちんと立てて、専門家を自分たちのブレーンとして国籍にこだわらず迎えることだね。例えば、金剛山歌劇団。これは在日コリアンだけれど、北を代弁するイメージがあるでしょ。もっと世界的にアピールしようと思ったら、例えば蜷川幸雄を演出家に迎えるとかね。そうすればイメージは変わりますよ。そんなに難しいことではない。やろうと思ったらできますよ。柔軟な発想と実行力があればできることをやってないのは残念だね。
僕も平壌に行ったけど、この子ならすぐにアイドルでいけるなとかモデルで売れるだろうなとか、俳優でデビューできるだろうなとか、そういう子がたくさんいるのですよ。サッカーなどのスポーツで外貨を稼いでもいいけれど、そういう子たちを、日本や韓国に送ったほうがいいと思う。安室奈美恵のように何十億稼げると思いますよ。
▽日本の右傾化は自信喪失の現れ
―最近、韓流などの民間交流が進む一方で、歴史認識が問題になっている。現在の日本の右傾化はすさまじいものがあります。それについてはどう思いますか。
日本の右傾化は一言で言って、日本の弱さの現われだと思っています。バブル崩壊などで自信がなくなっちゃったんだね。これだけ自信を失くして、中国が台頭し、朝鮮・韓国も南北統一したら大変なことになると誤解しているのかもしれません。我々は、アジアの仲間として協力していけるのにね。
ところが、日本はアジアで孤立する分、ますますアメリカにくっつく方向に来ている。特に中国と対抗しようなんてとんでもない話だよ。アジアの中に中国を取り込まないといけない。それをやっているのはどこかというと、東南アジアとか韓国でしょ。本当は日本がやらなければいけないのですよ。ところが、日本はビジョンがないからリーダーシップがとりようがない。なぜビジョンがないかといえば、理念がないのです。そして、理念がないのは哲学がないから。ないない尽くしです。これを10年、20年で一気に解決はできません。だから、残念ながら、21世紀の日本はかなり厳しい状況になって、アジアでも孤立する可能性がある。
こういうことを少しでも失くす方法は、国に頼るのではなくて、韓流に頼るのではなくて、やはり市民の交流ですよ。日本の一般の市民は、まだまだ常識があります。こういう一般の市民がもっと事実を知る仕組みが必要ですね。その仕組みが少ない。そしてその交流の場が少ない。だから、今回こういう日韓NGOの交流をするのもそのためだし、今韓国の人たちが「チャンチ(宴)」で来ているのも、被害者・加害者越えて、共に歩んで行こうという韓国側のメッセージなのですね。そういうメッセージを受け止めてほしい。
もちろん、被害者・加害者を越えると言っても、問題を失くすということではない。だけど、被害者・加害者がとにかく集まらないとだめ。被害者側が随分大人になってきて、今なら十分コミュニケーションできるようになってきた。昔だったら、ものすごく被害者意識が高くて、加害者を見ると、つい攻撃的になったり糾弾調になったりしてきたのです。でも今の韓国は全然そうではない。
独裁政権時代は、国民統合のために反日を政治的に利用していた。民主主義がないものだから、独裁を正当化するために、あるいは独裁に危機があるたびに反日を煽った面がある。だけど、今の民主化された韓国政府は、原則はきちっと言うけれど、けれど形式的に言っているわけでもないし、かなり度量を持っていろいろなメッセージを発している。だけど、日本政府は聞く耳を持っていない。
政府に言っても仕方がありません。市民ひとりひとりが結局は政府をつくるわけですから、その一人一人が変われば、政府も変わるわけです。だから政府を変えるよりも先に市民が変わるべきだと思う。変わるためには歴史をよく知らなければいけない。隣人を良く知らなければいけない。今回のような機会がたくさんなければいけない。だから、僕らも努力するし、日本の人も作る努力をする。で、お互いに歩み寄る。韓国にどんどん行ってもらって、韓国のNGOとどんどん交流する。
市民は市民で、観光する。とにかくたくさん行くことが大事です。まあ、はじめは観光だけでもいいんだけれども、そろそろ日本のNGO・市民団体がアジアに対するビジョンを持って付き合うようなスタンスを持たないといけない。日本を救えるのは市民だけですよ。だから市民の皆さんがもう少し交流して、アジアの人の話を聞いて、日本の話をして語り合いましょう。そしてアジアの未来を一緒に作って行きましょう。こういうスタンスでなければいけません。
▽市民が新しいメディアを創ろう
―歴史認識に絡むのですが、小泉首相が最近、靖国参拝に行きましたよね。メディアでも、「中国・韓国から言われているから今はいけないんだ」という論になっています。つまりそれがなければ行ってもいいのかと。そういう論を支持している市民もいるのですが、それについてはどう思いますか。
やはり、日本のメディアが情報源だから、仕方のない面はありますね。だから、違うメディアを作らないといけない。違うメディアというは、市民がつくるメディア。オーマイニュースみたいなものがあればいいのだけれど、残念ながらそういうメディアは日本にないので、地道にやるしかないのですが。でも希望はあると思います。
中国や韓国がいろいろ言うから靖国参拝をできないのだというのだけれど、これはとんでもない話で、中国や韓国が言わなければ好き放題やっていますよ。これは反対です。中国と韓国が言うからまだあれくらいで止まっているんです。そうじゃなければ、8月15日に堂々と毎年行っていたでしょう。なぜあんな姑息なやり方をしているのか。日にちを変えたり、正月にやったり。今回も壇上に上がらすに下でやったりしてね。小手先です。これは世界から見たらものすごく恥ずかしい。中国と韓国がなんと言おうが、信念があるなら信念どおりやったらいいじゃないですか。信念がないものだから、フラフラしているだけですよ。中国・韓国を出すまでもない。日本の問題です。
―個人的な思いが入るのですが、私は、韓国・朝鮮の統一・平和に貢献したいという気持ちがものすごくあるのです。日本人がどのように貢献できるかということは日本人自身が考えるべき問題だとは思いますが、あえて、鄭さんが日本人にこうして欲しいということを伺ってもいいでしょうか。
いつもよく言っているのですが、明治以来の「脱亜入欧」を乗り越えて、「脱欧開亜」すべきだと思いますね。もっとも脱欧の「脱」は不要ですがね。日本は入欧したつもりになっていますが、相手はそうは思っていませんね。子分とは思っているでしょう。アメリカやヨーロッパは日本を友達とは思っていない。そしてアジアも友達と思っていない。だとしたらどこに友達がいるのか。いないから、ますますアメリカにしがみつかなければならなくなる。それはちょっと惨めでしょう。
やはり日本は日本なりの、アジアとの関係との再構築が必要です。アジアと縁を切ってしまったわけだから、もう一回結ばなければならない。縁を切ってから、アジアに対してやったことはあまりにもひどいので、そのひどいことに対しては、真摯な反省と補償が必要でしょ。それをずっと拒んでいたのではね。東南アジアも今は余り言わないですよね、日本から援助されているから。でも、東南アジアが経済的にもっと発展したら、何百年経っても同じことを言うよ。歴史ってそういうもの。民主主義や人権という概念が浸透したこの時代では、モンゴルの侵略とはわけが違うのです。そういう人権意識のある民主主義の時代にそういうことをやったら、一生忘れないのです。清算するまで認めない。
日本は明治以降、「脱亜入欧」「富国強兵」でやってきて、第二次世界大戦で敗れても、結局根本的に反省しなかった。そこが今の問題です。そこをもう一度、ボタンをかけ直さないとだめだと思います。そこはきちんとやりましょうよ。そこを踏まえた上で、アジア共同体という未来を、誰がリーダーとか覇権とかいう問題ではなく、お互い対等な立場で、新しいアジアをつくりましょう、ヨーロッパ・アメリカとも対等なアジアにしましょう、というようにしてくれたらいいと思います。
日本は、一応は民主主義があるわけだから、選挙を通して政府を変えることもできるし、政府の考えを変えることもできるんだけど、官僚のコントロールが非常にうまかったから、日本の人はまだお上意識があるんだね。一番大事なことは、普遍的な市民意識をもっと養わなければなりません。市民意識が成熟しないと、民主主義も人権も、言葉だけになってしまう。自分たちが主人公だということを、思うだけではなくて、行使できる行動パターンを持たなければならないと思う。
▽統一への長い過程が始まった
―近年の韓国・朝鮮の歩みよりを見ると、統一も近いのではと思うのですが、どう思いますか。
統一は始まったと見ていいと思う。ただ、長い過程が始まった。一気に完全な統一には行かないと思う。また行っても不幸なだけ。僕の考えでは、これは十年単位の話。なぜならば、やはり北と南は、考え方も体制も相当開きがあるからね。例えば、脱北した人が、韓国に行って大変なしんどい生活になっているのです。
ということで、僕はまず、往来することから統一は始まっていると思う。今はそれのウォーミングアップ中です。今は、一方通行で韓国が行っているけれど、朝日・朝米の国交正常化が果たされないと、自由往来はなかなか難しいと思う。
韓国とは、冷戦は事実上、南北首脳会談以降なくなっているわけで、北も韓国のことは信頼するようになってきた。残るはアメリカと日本。これさえできれば、完全に冷戦が終わる。冷戦が終われば、北にとって改革開放に行くことにリスクがなくなっていく。そして、統一が進めば良いと思う。改革開放の前に統一が来ても、ドイツを見ても分かるように、東ドイツの人が、屈辱的に感じるくらい差があるわけです。そういう思いを北の人がすべきではないと思う。このまま統一しても、二流市民扱いされてしまう。だから、改革開放して、経済的に自立して、少なくともロシア・中国の援助は必要ない状況にならないと、これは自立したとは言えないよね。
そうなって初めて、韓国と対等な立場で、平和的に完全な統一ができると思う。だから、完全な統一は、もう少し時間をかけて良いのではないかな。そんなに焦ることはない。もう統一は始まっているのだから。
―今回のワンコリアフェスティバルと今までと違って大規模だということですが、何が最も違うのでしょうか。
今回何よりも違うのは、コリアNGOセンターというバックボーンができたということです。今までは、フェスティバルは単独でやってきたわけです。実行委員会単独でね。ところが、今年は、初めて組織的にやっているフェスティバルなのです。今までは例えて言えば、個人商店主がやっていたようなものです。それがやっとNGOという組織が一緒にやっているのです。そこが決定的に違うのです。これからは後進・後輩を育てて、バトンタッチしていく。そういう体制ができた出発点の年です。
―フェスティバルをこれから受け継いでいく若い世代に伝えたいことはありますか。
一言で言えば、日本や韓国や朝鮮ということを、もちろん主体性をちゃんと持った上で、乗り越えて発想してほしいね。アジアや世界に目を向けて、アジアの中の日本、アジアの中のコリア。そしてコリアンとして、アジアのために、世界のために何ができるか。志を持つものは、そういう発想でやってほしいと思います。
*鄭甲寿さんの略歴 1954年に大阪市生野区猪飼野に生まれた在日コリアンの3世。立命館大学卒業後、プラスチック加工業を自営するかたわら、朝鮮半島南北統一や韓国民主化、人権擁護などの運動を進めてきた。85年、「解放」40周年を機に、新しい「統一」ビジョンの創造を目指す「8・15<40>民族・未来・創造フェスティバル」を創設。以後、毎年開催し(90年に「ワンコリアフェスティバル」と改称)、現在はイベントを超えた横断的な市民ネットワークに発展している。2004年には特定非営利活動法人「コリアNGOセンター」を設立、代表理事に就任した。
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鄭甲寿(チョン・カプス)さん(撮影:森類臣)





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