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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2005年12月30日14時59分掲載
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メキシコが「恥ずべき法案」と激怒 米PR会社使い反撃へ
メキシコが、最近の米国の一方的な“移民排斥”ともいえる動きに激怒している。米連邦下院議会が16日に採択した法案は、米国に滞在する不法移民はすべて重犯罪者とみなすなど、かつてない排他的な内容。不法移民の大半を占めるメキシコ人を標的にしたのは明らかなだけに、フォックス大統領は「恥ずべきものだ」と怒っている。同大統領は早速、米テキサス州のPRコンサルタント会社と契約を結び、反メキシコ移民に傾きつつある米国世論を修正させる反撃キャンペーンを実施する予定だ。(ベリタ通信=苅田保)
テロ戦争の真っ只中にある米国では、メキシコから不法移民に混じってテロリストが入り込んでくるとの理由で、近年反移民感情が急速に盛り上がっている。
しかし、それでも世界有数の富裕国である米国には、磁石にひきよせられるように世界中から移民が押しかけてきている。統計では、過去5年間に800万人が移民として米国に入り、そのうち半数は不法移民とされる。
米国には現在1100万人の不法移民がいる。このうち700万人が働いている。不法移民とは、文字通りメキシコなどから国境を超えて不法入国した人や、入国後査証(ビザ)が切れても不法滞在している人なども含む。
米国は、移民が建国した国だが、そうした歴史は忘れたように、米市民の間では不法移民への反発は高まっている。2006年に議会選挙を迎える議員たちにとっては、再選や当選を確実にするためには、確かに世論感情は無視できない弱みがある。しかし、それにしても16日に採択された下院の法案は、ほとんどメキシコを蔑視した内容に近い。
移民対策をめぐっては、共和党出身のブッシュ大統領が、メキシコ人不法移民の救済を念頭に置いて、当局に名乗り出た不法滞在者に最長6年間の労働許可を与える、温情的な「ゲスト労働者」案を公表している。しかし、下院の法案は、共和党が多数を占めるのにも関わらず、この「ゲスト労働者」案を完全に無視し、メキシコ政府を怒らせた。
法案は例えば、不法移民は強盗などと同じように重犯罪者である。また教会や社会福祉関係者が、道端で倒れている不法移民を介護しても、助けた者も処罰される。不法移民を雇用した者は、最高2万5000ドルの罰金が科される。さらにカリフォルニアとアリゾナ州などの国境に計5つの分離フェンス(約1100キロ)を建設し、無人偵察機も使い、最新機器で監視する。
メキシコのデルベス外相は法案を「愚かで陰険」とこき下ろしている。メキシコのメディアも大反発している。
米国内にいるメキシコ人など不法移民は、多くが経済移民である。米国人が仕事に就きたがらない、汚く辛い仕事を低賃金で引き受けている。ホテルやレストランの皿洗い、道路・庭整備などが主な仕事だ。米紙ニューヨーク・タイムズによると、ある経営者はニューヨークから不法移民がすべて姿を消したら「ニューヨークは死んでしまう」と話している。
不法移民の「負」の部分だけを問題にした今回の下院の法案は、メキシコ側にすれば「人種差別」にも映り、怒りが倍加している。米国では、上院がより穏健な移民改正案を06年2月に審議するため、下院法案がそのまま成立するかは不明だが、フォックス大統領は、米PR会社などを使い、米国世論への働き掛けを強める。
また中南米諸国にも協力を求める考えで、ベネズエラのチャベス大統領から、フォックス大統領に対し早速支援の声が寄せられている。
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