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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2006年01月09日13時43分掲載
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パナマの最高裁判事の入国拒否 汚職疑惑で米政府が異例の対応
中米パナマの最高裁判事が、米国への観光ビザを取り消された。ビザがなくなれば、当然米国への入国はできない。法曹界のトップに立つ現職の判事が、入国を拒否されること自体、前例がない。入国拒否は、判事の賄賂疑惑への関与が理由とされる。判事はパナマ外務省を通じて、米国大使館に抗議するよう要請したが、一度拒否されたビザが、復活する可能性は低い。判事のビザが取り消されたのは、汚職がはびこっているといわれる中南米諸国に、米国が警告を与えたとの見方が有力だ。(ベリタ通信=有馬洋行)
米紙ロサンゼルス・タイムズなどによると、この判事は、ウインストン・スパダロファ氏(64)。モスコソ前大統領の下で内相を務めた。在任中、麻薬密売業者や開発業者に便宜を図り、私腹を肥やしたともいわれる。
また市民団体は05年11月、スパダロファ氏は、法の正義を無視し、コロンビアの密輸業者や銃器の密売人から賄賂を受け取り、無罪放免にしたと告発。議会に対して同氏らの疑惑調査を請願したが、議会は同月末これを拒否した。
パナマの米国大使館がスパダロファ氏の観光ビザを取り消したのは、この拒否の直後。大使館の発表では、同氏の米国入国は、米国の国益にとって有害になるとしている。
米国は近年、民主主義や政治の透明性を損なう行動をしたものには、ビザを発給しない方針を取っている。過去に、米国はパナマの司法制度が汚職にまみれていると批判したことがある。
米大使館は、スパダロファ氏の疑惑に関し、独自の資料を入手していると述べ、パナマ政府から要請があれば、資料を開示すると話している。
しかし、パナマ内務省は、米国に資料の開示を要請する考えも、スパダロファ氏に関する賄賂疑惑について調査を行なうつもりはないと言明している。またビザの取り消しは、スパダロファ氏と米国政府との「個人的な問題」としている。
スパダロファ氏の弁護士ロヘリオ・クルス氏は、判事はなんら違法な行為を犯しておらず、判事は、米国大使館から弁明の機会を得られないまま、ビザを失ったと反論している。
高位者がビザを取り消けされた最近の例をみると、中米ニカラグアのアレマン元大統領、グアテマラのポルティジョ元大統領、パナマのバジャダレス元大統領の3人が、いずれも賄賂問題で、米国へのビザを失った。
3人ともビザが取り消されたのは、大統領の任期が終了した後で、政治的な影響はあまりなかった。しかし、スパダロファ氏の場合のように、高位の人物で、かつ現職の判事のビザが取り消されるというのは、パナマにとっても大きな政治的衝撃である。
いったん失ったビザを回復するのは大変だ。1999年にビザを失ったバジャダレス元大統領は、ビザ再発行のためにワシントンの法律事務所を使った。費用は100万ドル(約1億1600万円)かかったが、依然ビザは取得できていない。
パナマでは、汚職の追放などを公約にしたトリホス大統領が04年9月に政権に就いたが、スパダロファ氏の観光ビザ取り消しは、同大統領に対し、米国が汚職対策に本腰を入れるようトリホス政権に圧力をかけるのが狙いといえそうだ。
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