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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2006年01月11日13時22分掲載
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幼時体験からなる「ピエロ恐怖症」 焼きついた恐怖心でパニックに
顔を白く塗り、おどけた仕草で観客の笑いを誘うサーカスのピエロ(道化)。昔から戯作などにも数多く登場してきた人気者だが、ピエロを恐れる人たちもいる。多くの人が子どものころにピエロに出会ったときの恐怖心を引きずっている。こうしたピエロを恐れる心理状態は「ピエロ恐怖症」と呼ばれる。高所恐怖症などと同じようにピエロに出会うと、体に異変が起き、パニック状態にもなったりするという。(ベリタ通信=苅田保)
米コロンビア・ニュースが、典型的なピエロ恐怖症の人たちを紹介している。カリフォルニア州サンフランシスコに住む教師のベス・ウオレスさん(32)は、6歳とのとき、サーカスに出かけ、初めてピエロを見た。
ピエロは、彼女の前に立った。厚化粧の下の無精ひげが見えた。ピエロから漂う臭いは、彼女を不快にした。ピエロの目も不気味に動いていた。それから25年以上が経過したが、今でもその時の恐怖は、頭の中に焼きついている。
過日、車を運転していたウオレスさんは、赤信号のため交差点で停車した。隣りのレーンにトラックが来て平行に並んだ。コーヒーをすすっていたウオレスさんは、何気なくトラックの運転台に目をやった。その時、相手の運転手もウオレスさんに同時に顔を向けた。
運転手の顔は、ゴーストのような白い顔に赤いだんご鼻をつけていた。ピエロだとすぐにわかった。パニック状態になった。悲鳴をあげたウオレスさんは、あわてて車のドアをロックした。この間、熱いコーヒーが体に飛び散ったが、ほとんど気がつかなかった。
ニューヨークに住むデレック・リーさんもピエロ嫌い。ピエロは、観客に水をかけたり、人からかつらを取って笑い者にする、と話している。
▽7人に1人が恐怖症か
ピエロ恐怖症の人がどの程度いるのか、正確な統計はない。しかし、ある専門家の話では、7人中1人が、ピエロに何らかの恐怖を感じている可能性があるという。一般に恐怖症の症状は、息切れ、動悸の高まり、発汗、吐き気、不安感などとされる。
昨年10月、フロリダ州サラソタで、市当局が、街頭の数十の個所に、ファイバーグラス製の等身大のピエロを街角に立てようとしたところ、電話や電子メールで抗議が殺到したことがある。
サラソタは、有名なサーカス団などが本拠地としている場所だけに、波紋を呼んだ。サーカス関係者は、ピエロは、市民から愛され、尊敬されていると思っていただけに、市民の抗議にショックを受けた。地元紙には、「ピエロにはぞっとする」との投書が載った。
なぜピエロが恐れられるのか。ピエロは作家や戯曲家によって、しばしば「悪の使者」として描かれることが多いという。ピエロが殺人を犯す内容が小説にもなっている。こうした見方が、潜在的な恐怖心を生みつけているとの見方もある。
サラソタで、ピエロとして20年以上の経験を持つあるサーカス団員は、人を笑わせるはずのピエロが、人を狼狽させているのだろうか、と困惑している。
一方、ピエロあるいは道化の歴史は、紀元前1800年のエジプト、中国の時代にまで遡る。当時の王家や宮廷では、道化だけが、時の権力者の王を茶化したりするのを許されたという。
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