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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2006年01月25日01時28分掲載
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【IPSコラム】「創造的責務」が新時代把握のカギ クラウス・シュワブ
企業だけでなく、世界全体にとっても、われわれは今、新しい時代に入りつつある。新しい時代は、「創造的責務(creative imperative)」が家庭、職場、レジャーでのわれわれの生活を支配するようになる。そこでは、企業や政府、市民社会の指導者が過去10年間、物事を決める際に使ってきた前提や手段、枠組みがもはや通用しなくなっている。(IPSコラムニスト・サービス=ベリタ通信)
グローバルな経済、経済的不均衡、新しい発想、人口変動、それにインドと中国の台頭によって引き起こされている力は、地球環境を急激に変えている幾つかの要因に過ぎない。
いま起きつつある「創造的経済」は、ある意味でグローバリゼーションの過程の論理的な延長である。グローバリゼーションは半世紀にわたり世界を席巻しており、過去10年間、急激に勢いを増している。
しかし、この新しく起きている環境に適応しなくてはならないのは企業だけではない。政府、多国籍機関、市民社会組織も、有効で信頼の置けるものであり続けようとするなら、新しい政策設計、革新的なアプローチを採用しなければならない。
さらに、世界が最も切迫している問題の多くは、ひとつの政府、会社、あるいは多国籍機関が単独で働くだけでは、解決しないということがますます、はっきりしてきている。指導者やその組織は、問題に対処するためには、協力的アプローチを採らなければならない。また、そのような利害関係者が多数関わるアプローチが、根本的な創造性を持つことになる。
地球環境におけるこの基本的変化は、世界が弱い指導制、不安な人々、制度的脆弱性に直面している時に起きている。企業においては、技術と情報がグローバル化し、商品化しており、この知識の商品化で、中心的に優位な立場にあるものが輸出されている。それは製造業ばかりでなく、高度のサービス業においてもますますそうなっている。
しかし、この新しい時代において、圧力は旧世界だけに及ぼしているわけではない。単に物事を早くしかも安く行うだけでは、もはや十分ではない。創造性と設計がますます重要な牽引力と差別化要因になっている。
しかし、この新しい創造的時代は、単に企業が留意しなければならないものではない。設計戦略は、組織を顧客や供給者とつなげる(あるいは再びつなげる)。政府、非政府組織の場合には、革新的アプローチによって、指導者がより関係性を持つようになり、苦境と取り組むことによって、正当性を得る(あるいは回復する)。創造性は地球規模の問題に対処するためになくてはならないものになっている。世界の問題と取り組むには、昔の一つの問題だけに焦点を当てたやり方や単一の組織による方法は、もはや通用しないであろう。
2005年9月、ニューヨークで開かれた国連のミレニアム開発目標サミットにおいて、エイズ、天災、その他のものであろうと、世界の問題は、ひとつの指導者や組織のグループ(それが政治家であろうとNGOであろうと)に任せてはおけないという認識がやっとできたのではないか。
例えば、企業は技術革新、規模の優位性、そして資源という財産を提供できる。それらは、いわゆる市民社会ももはや無視できなくなっている。
ハリケーン・カトリーナのケースを見てみよう。地元組織と自治体は自分たちで解決策を見出すことができなかった。多くの企業グループが、重要な分野で専門知識を提供している。これが創造的同盟であり、現代の問題を解決する策をどんどん提供していくであろう。異なった問題に対処するために、やや緩い同盟が作られ、解散し、適応していくであろう。
このように、この創造的時代には、人々が働く場所を提供するマトリックス型の組織がますます必要になる。新しいグローバルな組織は、特定の問題に取り組むために、創造的で合議制の解決策が出てくるような場となるであろう。
世界経済には基本的な変化が起きている。グローバル化した社会と政治形態には同時変化が起きている。指導者、指導される者が、これらの変化についていくのが難しくなっているのは驚くことではない。しかし、指導者の中には、やり方を変えなくてはならない、また、新しい状況に対応するために、勇敢で大胆、とりわけ創造的な政策を採らなくてはならない、と認識し始めた人もいる。
これらの指導者は、次のことが分かっている。数年前には当然とされていた現存の枠組みや前提には頼ることができない。不確実という環境に立ち向かっていかなければならない。そこでは創造的解決策だけが機能する。
われわれは新しいパラダイムに入りつつあり、その形は十分につかめていない。この新しい世界においては、市民、企業人、政治家が成功するには、創造的責務を理解しなければならない。
*クラウス・シュワブ 世界経済フォーラム(通称ダボス会議)の創設者で理事長
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クラウス・シュワブ
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