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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2006年02月22日16時22分掲載
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インド人男性が38年ぶりに自由に 未決のまま長期拘束
インド北部ウッタルプラデシュ州で、38年間も判決を受けることもなく刑務所に拘束されていた男性がいる。信じられない話だが、これだけ拘束が長期化したのは、警察の不手際。男性は殺人の疑いで逮捕されたものの、警察が事件立件に必要な証拠記録を紛失したため、宙ぶらりんの状態で放置されたからだ。しかし、インドの現地紙が昨年7月、この男性の存在を報道。その結果、最高裁がようやく”大岡裁き“で保釈の決定を下し、出獄を許された。(ベリタ通信=江口惇)
この男性はジャグジバン・ラム・ヤダフさん(70)。1968年隣に住む女性を殺害した容疑で逮捕された。その後審理の過程で、ヤダフさんは情緒不安定になり、バラナシ市にある精神病棟に移され、治療を受けた。
この移転治療の中で、なんらかの理由で事件の記録がなくなった。警察は、容疑者が病気の治療中の場合、治療の進展などをフォローする必要があったが、この原則も無視された。このため、ヤダフさんは、警察の公式記録から完全に消える格好になった。
英BBCによると、ヤダフさんには妻がいたが、夫が当局に逮捕された後、姿を消してしまったため、死んだものとあきらめていたという。「何の情報も得られなかった」と妻は語っている。二人の間にできた息子は父親はいないと教えられ、育てられた。
2005年7月、ヤダフさんは精神病棟から刑務所に戻った。刑務所当局は、ヤダフさんを収容しようとしたが、ヤダフさんが何の罪にも問われていないのが判明した。これでは刑務所も身柄を引き受けられない。
一方、裁判所も、38年間も判決を受けず、放置される形になっていたヤダフさんの処遇に頭を抱えた。下級裁判所は、ヤダフさんを保釈にするかどうかの検討をしたが、本人の事件記録がない以上、保釈すべきかの判断ができないと指摘。また殺人罪についても記録がなく、無罪にできないと結論付けた。
このため最高裁が解決策を模索し、保釈額は追って決める形で、とりあえず、出獄を許可した。またヤダフさんが長期間、訴追もされず、裁判も受けなかったことに疑問を呈し、ウッタルプラデシュ州当局や地方裁判所に対し、事実調査を行うよう求めた。
ヤダフさんが釈放されたのは今月14日。刑務所のゲート前には、記者団が待機していたが、カメラのフラッシュにも笑顔の一つもみせなかった。息子や親類の人たちが出所を歓迎した。
妻はヤダフさんの消息が現地紙を通じて報道された後、涙を流しながら「夫を救ってください」と訴えていた。「30年以上に及ぶ過去のことは、自分にとっては地獄だった」と述べるとともに、「彼が戻って来るのはうれしい。残された年月を一緒に過ごしたい」と語った。妻と共に、村に戻り、新しい生活を送ることを考えている。
インドは司法制度があまり整備されていないという。特にヤダフさんのように貧困層や権力基盤のない人々は、司法制度の恩恵を受ける機会が制限されている。裁判の記録取りも、旧式の機材を使うことが多いという。
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