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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2006年03月19日10時25分掲載
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日中・広報文化交流最前線
長安と西安:日本人留学生の今昔 井出敬二(在中国日本大使館広報文化センター長)
▽遣唐使も訪れた唐の宮殿「大明宮」の跡で
長安はかっての唐の都であり、「大明宮」と呼ばれる皇帝の宮殿があった。この宮殿は662年に建設された。「永安宮」、「蓬莱宮」、「含元宮」との名でも呼ばれた。8〜9世紀の遣唐使(粟田真人、藤原清河、阿倍仲麻呂、藤原葛野麻呂)が同宮殿を訪問したという。大明宮の建物、土台は残っていなかったが、中国側の努力と、日本政府がユネスコに拠出した日本基金により土台再建が行われた(日本政府より235万米ドル拠出)。日本政府は追加的に文化無償支援(2億8千万円)を行い、同土台の後部に煉瓦作りのかまど跡の保存と、大明宮資料館を建設した。 筆者は2005年秋、ユネスコ事業の竣工式に参加し、堂々たる遺構を前に当時に想像をはせた。
長安に留学した阿倍仲麻呂は、詩人李白らと交友を深め、阿倍仲麻呂が乗った船が遭難したと伝えられた時に李白は親友を悼む有名な詩を作った。 2004年秋、唐に留学していた井真成という日本の留学生の墓誌が発見された。彼は717年、19歳で唐に渡り、36歳で亡くなったという。その死を悼んだ玄宗皇帝から官位を授けられている。碑文から、当時の日本人留学生が長安で大切にされたことが伺えた。 唐の時代、長安は、日本の若者が大切にされ、日中の若者が友情を育んだ土地であった。
大明宮の前の場所に、200mx700mの壮大な道路を整備・再現する計画もある。2006年に着工し、約2年間で完成する由である。大明宮跡は、観光ガイド本でもまだ紹介されておらず、観光客にとってもなじみがないが、将来、日本人観光客の間で人気の場所となるだろう。
▽中国で学ぶ日本人留学生〜現在の西安にて〜
現在、2万人近くの日本人留学生が中国で学んでいる。韓国人留学生に次いで、国別では二番目に多い数である。北京、上海等の大都市以外に、地方でも日本人留学生は多数いる。
長安は今は西安と呼ばれる。2003年10月、西安市内の西北大学にて、いわゆる寸劇事件が発生した。筆者はこの事件が起きた約2年後の2005年秋に、西安市内の別のある大学を訪問し、同大学の幹部、日本語教師(日本人数名、中国人十数名)、日本人留学生十数名達と懇談した。西安は教育熱心な市であり、数十もの大学が存在するが、筆者が訪れたこの大学も、中国国内でも有数の外国語教育が盛んな大学であり、日本語専攻学生も多数いる。 その大学で聞いた話:寸劇事件の後、西安市内でデモが発生し、デモ隊がこの大学にも押し寄せた。校門が押し倒されそうになった時、内側から門を支えて、大学構内にいた日本人を守ってくれたのは、他ならぬ、この大学の中国人教職員や学生達であった。大学関係者曰く、「外国語教育を通じて、外国事情を知っている学生達は、日本人を排撃するデモが意味の無いことを分かっている」「後の調査によれば、自分達の大学から反日デモに参加した学生は皆無だった」「この大学にいる日本人教師、日本人留学生達は、大切な友人。友人を守るのは当然」。この大学では、今でも日本人の友人を大切にしていることは確かである。
▽中国の大学生に、日本と世界への理解を深めてもらうために
2005年はこの大学の日本語学部創設30周年であり、その記念に、日本紹介の様々な行事が行われ、日本大使館も協力した(日本の最新音楽動向の紹介、華道デモンストレーション、日本の文化・社会・経済協力を説明する講演会等)。 西安には多くの日本人観光客が訪れるが、西安のような内陸部においては、地元の大学生が日本人と付き合ったり、日本文化に触れる機会は意外に少ない。そのような機会の増加を大学側も強く希望している。
中国内陸部における人材養成は、今の中国で最重要課題の一つである。この大学が、日本語の授業をはじめ世界のことを中国人の若者に教育するための新しい校舎を建設するにあたっては、日本政府が国際協力銀行(JBIC)を通じて実施している円借款も利用されている。 この大学の幹部曰く、「今こそ、中国人学生が外国事情を理解することが本当に重要かつ必要である。しかしそのための日本関連の図書なども大学には絶対的に不足している。日本の関係者からの協力を得たい。日本の友人の来訪はいつでも大歓迎である」 (つづく)
*井出敬二(いで・けいじ):1980年外務省入省。OECD日本政府代表部一等書記官、在ロシア日本大使館広報文化センター所長・参事官(報道担当)、外務省アジア大洋州局地域政策課長、経済局開発途上地域課長を経て、2004年2月より在中国日本大使館公使・広報文化センター所長(報道担当)。昨年12月に出版した『中国のマスコミとの付き合い方』(日本僑報社)は注目を集めている。
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土台が再建された唐のかっての宮殿の大明宮(現西安市)跡で挨拶する筆者。





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