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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2006年04月21日14時38分掲載
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【IPSコラム】正念場迎えるWTO交渉 パスカル・ラミー
今年末は、世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の交渉期限を迎える。この期限は適当に決められたものではない。その日は米国の貿易促進権限法が期限切れになる日である。この法律は、米国大統領に貿易協定を結ぶファスト・トラック(追い越し車線)権限を与えるもので、議会は協定を修正なしに、承認するか承認しないかのみを決めなければならない。この期限を逃すと、ドーハ・ラウンドで想定された規模の貿易自由化を近い将来、達成するのは不可能になる。(IPSコラムニスト・サービス=ベリタ通信)
ドーハ・ラウンドが失敗すれば、主要な負け組は開発途上国になる。ドーハ・ラウンドの主な目的は「開発」。言い換えると、多国間貿易関係に存在する不均衡を是正することである。
経済的に最も小さく、弱い国が最も打撃を受ける。それらの国々にとって、多国間協議のプロセスは、二国間の貿易協定で強者が行使する圧力に対し、「保険」の役割を果たす。
しかし、もう一方の負け組は間違いなく、WTO自身である。WTOの体制は、150の異なった加盟国の集団的利益のためのもので、変化する現実に適合し、加盟国の間の合意をもとに、貿易開放を確実にするものである。
昨年12月に香港で開かれたWTO閣僚会議では、いくつかの点で前進があった。今年の作業の下準備をするためのいくつかの重要な期限を設定した。香港はささやかな成功であった。実際、香港では、ささやかな成功か、重大な失敗の二つの結末しか可能でなかった。
ドーハ・ラウンドの中心は農業である。農業部門が工業製品に比べ、数ラウンド遅れていることから、これは当然である。農業合意は1995年になって成立した。農業部門は、工業製品での50年にわたる貿易自由化のプロセスから恩恵を受けてこなかった。
農業について香港の会議では、輸出補助金、国内補助金、関税の3つの交渉の柱がすべて含まれる合意に達した。輸出補助金を2013年までに撤廃し、2010年までにかなりの部分を廃止することで合意した。欧州は、この分野での途上国の一致した要求にこたえた。香港において、加盟国は貿易を損なう国内補助金を「実効的に削減」することで合意した。
また、最大の補助金支出国は補助金を最も削減することで合意し、欧州連合(EU)、米国、日本は最大の削減をすることになる。
関税に関しては、限られた前進しかなかった。関税引き下げ幅については解決していない。
それでは農業で未解決で残っている問題は何なのか。
ひとつは、欧州と米国の農業補助金の削減の規模である。(言うまでもなく、日本など他の国も削減する必要がある)
二つ目は、農産物の関税引き下げの規模と、途上国の重要品目・特別品目物の取り扱いである。
世界の貿易取引の80%を占める工業製品では、南北間、南南間の貿易が増加する可能性は非常に大きい。加盟国は先進国に残るタリフ・ピーク(一定水準以上の高関税)と加工度が高くなるにつれ税率が高くなる傾斜関税を引き下げるようなやり方で関税を引き下げることで合意した。途上国もまた必要と利益にかなうようなやり方で関税を引き下げることで合意した。
香港の会議では、最貧国のうち32カ国が長年、要求していたことにも対応することになった。先進国は、最貧国の全産品の97%について、持続的方法で無税・無枠を供与することを合意し、最終的には全産品について、この取り扱いを適用することで合意した。
サービスについては、香港の会議は複数国交渉に道を開いた。特に重要なサービス部門では、共同で要請を提出するよう促した。
香港では、サービス貿易での市場開放と自国での規制を維持する権利との間で慎重なバランスを保つことができたと思う。
われわれは難しい局面に直面している。香港での閣僚会議の宣言は、農業・工業製品の交渉のためのモダリティ(市場開放の大枠)を4月30日までに完了するよう求めている。サービス分野では、宣言は修正提案を7月31日までに提出するよう求めている。これらの期限に間に合うようにするためには、すべての関係者は前進しなくてはならない。
農業は前面に出ているが、ドーハ・ラウンドは「一括受諾」で、すべての分野で前進がなくてはならない。農業での障害を除くためには、米国は国内補助金で前進する必要がある、EUは市場アクセス、インド、ブラジル、その他の主要な発展途上国は、工業製品でより大きな柔軟性を示す必要がある。サービス交渉は前進しなければならない。
概略を短く説明したが、ひとつの文章に要約できる。無駄にできる時間はない。交渉がまとまる可能性、4年前に始まった交渉が成功するか失敗するかどうかは、この2、3週間で決まるであろう。
*パスカル・ラミー WTO事務局長
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パスカル・ラミーWTO事務局長
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