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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2006年07月08日14時37分掲載
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「期待以上の反応に驚き」 東南アジアで劇団公演をした平田オリザさん
劇作家・演出家の平田オリザさんが主宰する劇団「青年団」(1983年結成)演じる「東京ノート」の東南アジア巡回公演を6月下旬から7月にかけて行っている。公演地はバンコク、クアラルンプール、ジャカルタの3か所。クアラルンプール公演に訪れた平田さんにインタビューし、東南アジア公演の感想などをきいた。(クアラルンプール=和田等)
―バンコク、クアラルンプールでの公演の反応はどうでしたか。 「バンコクではタイの名門校チュラロンコン大学で公演を行ないましたが、無料での公演だったということもあって会場には入りきれないだけの人が来てくれた。これに対してクアラルンプールの公演は有料(入場料が30リンギット(約1000円)だったので、マレーシア在住日本人のほか、地元の観客には演劇関係者が多かったようです。ただ、バンコクもクアラルンプールも基本的にお客さんの笑うところは一緒。劇自体の受けとめ方に変わりはないようにみえましたが。
―観客の反応は公演前の予想通りでしたか。
「公演前はどれだけ東南アジアの人たちに受け入れてもらえるだろうかと心配の方が大きかったのですが、期待以上の反応があり、ホッとする同時に驚きも感じた。また、日本では青年団の演劇様式について『役者がときには聞き取れないような声でしゃべる』『複数の会話が同時に進行する』などゆえ、わかりにくいとの評もありますが、今回の公演(日本語)では、字幕をつけた(マレーシアの場合、英語とマレー語)ので、日本で公演した時よりもかえって意味がよく伝わったのではないかと思っています。これも新しい発見でした」
▼3国それぞれ違う
―タイ、マレーシア、インドネシアの観客や演劇人の個性、違いなどのようなものを感じられましたか。
「3年前に国際交流基金の招聘により前記3カ国でワークショップを実施しましたが、それによって3カ国の違いや共通点が体験でき、いい経験になった。日本では、東南アジアをひとくくりにしてしまう傾向があるけれど、それぞれに違う顔を持っているのだということを実感できたからです」 「たとえば、ワークショップの際にタイの人たちは私の話をよく聞いてくれた。しかし、実際に演技をやらせてみると、あまりうまくいかない。マレーシアの人たちは話を聞くよりも、まず演技をしたいという意欲がありあり。そこで話を終えて演技をやらせてみると、やはりあまり話を聞いていないことがわかるという結果になった。インドネシアの人たちは最初から話を聞いていないのがはっきりしています。しかし、演技をやらせてみると、身体能力が高いので、こちらが求めている演技に近い演技ができてしまう。演劇を通じてそれぞれの国民性にこれだけ違いがあるんだな、と実感できました」
―平田さんは韓国で公演をしたり、韓国との演劇人との交流も積極的に行なっていますが、最近の日本とアジア、とくに韓国や中国との関係がぎくしゃくしていることをついてどうみていますか。
「ここまで日本と中国や韓国との関係がこじれてしまった一因には、靖国神社の参拝にこだわった小泉首相の特異なキャラクターというものもあるのでしょうが、ひとつの問題をめぐってここまで関係を悪化させたのですから、日本はやはり外交がヘタであるという現実が露呈したといえるのでは。ただ、政治がギクシャクしているときには、文化の果たす役割が重要ということで、私のところにも日韓交流に関する仕事がよく回ってくるようになっています。小泉外交の『尻拭い』をしていると言ってもいいのかもしれませんね(笑)」
▼退職移住者テーマの劇もやりたい
―今後、東南アジアとどのような関係を構築していきたいとお考えですか。
「私は今年3月まで桜美林大学で教鞭をとってきましたが、4月からは大阪大学に移りました。その大阪大学が来年、大阪外大と統合されることになっていて、それを機に外国の大学との関係をさらに強化していくことになると思います。その一環として東南アジアの大学との連携を深めていきたいと考えています。特にマレーシアは東南アジアでは演劇施設のレベルが高く、演劇にかかわるスタッフの質も非常に高いので、連携を深めるのにはもってこいの相手といえる。さらにマレーシアが有利なのは、劇作家・脚本家が世界的なメジャーな言語である英語や中国語で作品が書けるので、世界の多くの人にアピールできること。世界に出ていくうえで常に言語の壁に悩まされる日本人の作家からみれば、実にうらやましい環境があるわけです。ですから、マレーシアの演劇界から新しい才能を発掘して世界に紹介していくお手伝いができるかもしれません」
「また私個人としては、マレーシアやタイを舞台にした演劇をつくってみたい。特に今話題の退職者による海外移住に興味を持っています。マレーシアやタイにセカンド・ホームを、という方も多いようですから。これによって日本の高齢化社会の持つ側面というものを描き出してみたいと考えています」
■平田オリザさんプロフィール
1962年、東京生まれ。国際基督大学卒業。12歳のときに自転車による世界一周旅行を思い立ち、16歳の時に高校を休学し、自転車による世界一周旅行を敢行。1年半をかけ、26ヵ国、約2万キロを走破する。1995年に「東京ノート」で「演劇界の芥川賞」とも称される第39回岸田國士戯曲賞を受賞。その後も読売演劇大賞や朝日舞台芸術賞グランプリ、「芸術立国論」(集英社刊)で国際批評家協会の批評家賞など数々の賞を受賞。2003年3月、 国際交流基金の招聘により、マレーシア、タイ、インドネシアの3か国で演劇ワークショップを開催。現在、大阪大学コミュニケーション・デザイン研究センター教授。
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転載について
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平田オリザさん。
「東京ノート」のワンシーン。
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