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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2006年07月14日12時55分掲載
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映画に魅せられ無謀運転、トンガ王子が巻き添えで死亡
米カリフォルニア州のロサンゼルスや東京で撮影され、激しい路上レースが売り物になっている米映画「The Fast and the Furious: Tokyo Drift」(ユニバーサル映画)に魅せられた18歳の少女が、路上レース中に南太平洋のトンガ王国の王室関係者ら3人を事故に巻き込んで死亡させる事故を起こした。少女は警察に逮捕され、涙を流して改悛の情をみせたが、後の祭り。裁判所は保釈金を300万ドル(約3億4000万円)と決め、交通事故絡みの額としては異例の高さとなった。(ベリタ通信=有馬洋行)
各種報道によると、事故が起きたのは、7月5日午後9時ごろ。同州サンフランシスコ郊外の高速道路で、時速160キロ近くを出して黒のキャデラックと路上レースをしていた、エディス・デルガド容疑者(18)運転の1988年製の黒のムスタングが、追い抜こうとした。
この際、ムスタングの右側を走行していたフォードのSUV(エクスプローラー)の左側面に接触。この衝撃でSUVはバランスが崩れ、数回回転しながら、天井を下にした逆さまの状態で道路右肩の側面に止まった。
この事故で、SUVに乗っていたトンガ王国のトゥイペレハケ王子(56)とカイマナ妃(45)夫妻、それに運転手(36)が死亡した。3人はいずれもシートベルトを着用していたが、事故の衝撃は大きく、助けにはならなかった。デルガド容疑者は奇跡的に無傷だった。
同容疑者は、6月から米国で公開されている「The Fast and the Furious: Tokyo Drift」のファンだという。坂道のカーブをタイヤをきしませながら走行する姿に魅了されていた。路上レースをしていたのは、映画の雰囲気を再現しようとしていたためとの見方もある。
警察は、殺人、スピード違反の容疑で逮捕し、留置場に収容した。保釈金は一時30万ドルに設定されたが、デルガド容疑者は7日に開かれた審問で、罪状を否認。このためか、裁判所は保釈金を30万ドルから、一気に10倍の300万ドルに引き上げた。容疑者の母親は、涙ながらに法廷を後にした。
▼王子夫妻は改革派の中心
通常、保釈金を高くするのは、留置場などから釈放された容疑者が「高飛び」などをすることを防ぐためという。今回異例の高額になったことについて、司法関係者は、無関係の人間を巻き込み、3人も死亡させた罪状の重さが影響しているとみている。裁判で有罪になれば、最高で禁固8年の刑になる。
デルガド容疑者は地元の高校を卒業し、銀行の窓口で働いていた。犯罪歴はなく、事故当時、飲酒はしておらず、麻薬の使用もなかった。しかし、運転免許証は2月に取ったばかりだった。
トゥイペレハケ王子夫妻は、米国在住のトンガ出身者との会合に出席するため米国を訪問していた。トンガでは、民主化改革が政治の焦点になっているが、死亡したトゥイペレハケ王子は、改革の中心的な役割を果たしていたという。
今回の会合は、トンガの将来について、海外在住の出身者の意見を集約するのが目的だった。それだけに王子夫妻の突然の死に、関係者たちは一様に衝撃を受けている。ある関係者は「二人とも素晴らしい人だった。大変悲しい」と話している。
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