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2006年07月16日10時56分掲載
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日中・広報文化交流最前線
「偏見」について中国人ジャーナリストと議論 井出敬二(在中国日本大使館広報文化センター長)
●「国際関係と中国偏見」
北京では様々なシンポジウム・会議が開催され、筆者にも声がかかる。出席して、本当に率直な議論がなされて面白いシンポジウムが毎回あるという訳では必ずしもない。残念ながら、以前に聞いたような議論の繰り返しであるシンポジウムもある。しかし、最近あるシンポジウムに出席して、非常に興味深い議論を聞くことができたので、紹介したい。 これは、米国のある民間機関が主催した「国際関係と中国偏見」というタイトルのシンポジウムである。中国の約60名の若手ジャーナリストを招き、様々な人たちから講演し、意見交換するというものである。 主催者側によれば、タイトルの「中国偏見」の意味は、「中国人が外国(人)に対して持っている偏見」と「外国人が中国に対して持っている偏見」の両方を指すということである。
若い中国人ジャーナリスト達へのメッセージとして、様々な人たちが語った発言の中で、筆者が参考になった意見としては、以下のようなものがある。 (1)フランス人有識者の指摘:中国、フランス共、グローバライゼーションの中で、また冷戦終了後「国力」の意味が変質した中で、新しい課題に直面している。歴史的には、中国、フランス共、様々な発明をしたが、現在はどうか?日本人はかって外国旅行ブームを経験したが、そのことは日本社会の良い方向への変化に影響があった。中国人も海外旅行をして、海外の制度の良い面への理解を深めて欲しい。 (2)米国人元ジャーナリストの指摘:ジャーナリストの仕事には様々な困難が伴う。一番重要なのは、情報に対する「アクセス」を得ること。(西側における「アクセス」のあり方を説明。) (3)香港の有力雑誌編集長の指摘:ジャーナリストにとっては真実を報道する勇気が必要。真実を発表するためにブログも活用すべきだ。中国大陸のジャーナリスト達にとっては、香港、台湾のジャーナリズムに見習うべき点がある。メディアの理論ももっと勉強して欲しい。中国大陸では、記者が取材先からお金を貰うことがあるが、これは反省すべきだ。中国は豊かになってきているが、21世紀に中華文化は世界に対してどのような貢献をできるのか、皆で考えて欲しい。 (4) 中国人某教授(国際関係論)の指摘:中国大陸の若い記者には準備・勉強が不足している人が結構いる。米国の共和党・民主党という二大政党も知らないで、自分(某教授)のところに米国政治についてインタビューに来た若い記者がいた。インタビュー結果の原稿を見てあまりにひどいので、自分が添削してあげた程である。多くの中国人ジャーナリスト達が、自分のインタビュー結果を正確に伝えず、他の人の発言とまぜこぜにして記事を作ったりする。総じて言えば、外国人記者が真面目なのに対して、中国人記者は不真面目である。自分は最近は中国人記者からのインタビューには答えないことにしている程である。中国における日本についての報道もある特定の問題ばかりを取り上げており、中国人の日本社会総体への理解深化を助けていない。日本、米国、台湾については批判するが、それ以外については批判しないというのが、中国のメディアの流儀になっているようだ。
●日中関係の報道にも情報の偏り
筆者からも発言させてもらい、以下を指摘した。 ──情報の偏りが、偏見を産むことに繋がる場合がある。中国国内でも、日中関係の重要な事項が報道されていない例がある(実例を挙げて説明)。 ──中国の新聞の一つの特徴として気になっているのは、死体の写真が一流新聞でも掲載されることがある。これは日本、欧米の新聞(少なくとも一流のメディア)には無い特徴である。記者の皆さんからこの点についての意見を聞きたい。 ──(筆者が以前働いていたソ連とロシアにおけるマスコミの変化、課題を説明した上で、)変革期に中国メディアも様々な課題に直面しているが、それを乗り切るためにも、外国のメディア事情への理解を深めて頂き、参考にして頂きたい。
上記の発言を、中国の若手ジャーナリスト達は注意深く聞いていたようであった。質問も多く出され、その中には、彼らの問題意識、悩みもうかがえた。中国のジャーナリストの名誉のために言えば、上記の中国の学者が指摘するような不勉強なジャーナリストがいる一方、非常に真面目に勉強しているジャーナリストも少数だがいる。このようなジャーナリストを励ましていき、彼らと率直な議論ができる場がもっと多く作られることを期待したい。日本の各種組織にも、このような率直な意見交換の場を沢山作って頂ければと思う(つづく)
(本稿中の意見は、筆者の個人的意見であり、筆者の所属する組織の意見を代表するものではない。)
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外国のマスコミ事情に詳しい講師と意見交換する中国人若手ジャーナリスト(2006年7月)





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