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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2006年07月29日13時58分掲載
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【IPSコラム】二国間イニシアチブ グローバリゼーションの新しい権化 ヴァンダナ・シヴァ
【IPSコラムニスト・サービス=ベリタ通信】新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)がジュネーブでの閣僚会議で7月23日、またしても決裂した。ドーハ・ラウンドは死んだのか、それとも集中治療室にいるのかと問われて、インドのカマル・ナート商工相は、病院の集中治療室と火葬場の中間にあると答えた。ペーター・マンデルソン欧州委員(通商担当)は、世界貿易機関(WTO)の交渉が中断した後の記者会見で、「高速道路の最後の出口を見失った」と語った。
交渉が決裂したのは、農業補助金の削減を拒否した米国にすべて責任であるとされている。米国と米企業は、第三世界の最も貧しい人々に最も大きな影響を与えたウルグアイ・ラウンドのふたつの協定の原動力であった。貿易関連知的所有権協定(TRIPS)は、独占を促進することで種子と医薬品の価格を上げた。
モンサントとそのインドの提携会社が売る、価格が高く、当てにならない(遺伝子組み換え)Bt綿に依存したことによる借金で、数千人のインドの農民が自殺した。農業協定は、数百万人の農民の農業の生計と世界の貧しい人々の食糧の安全保障を破壊 した。
米国が、市場アクセスを拡大する代わりに、農業補助金を削減することに非柔軟的な姿勢を見せ、ドーハ・ラウンドの交渉を行き詰まらせたのは、農業市場へのアクセスがもはや米国の関心ではなくなったからではない。米国は多国間では何も放棄する必要がない。なぜなら、米国は「農業における米・インド知識構想(イニシアチブ)」のような「非協定」でしばしば、二国間で市場アクセスを果たしているからである。
この構想は、遺伝子組み換え作物、農産物の輸入、ウォルマートのインドの小売業への参入を促進している。モンサント、ウォルマート、ADMはこの構想のメンバーである。
米国国際開発庁はインドの政策に直接干渉しており、遺伝子組み換えナスの商業化を促進するために資金を出している。この遺伝子組み換えナスは、インドで大規模商業栽培実験と種子生産が初めて認められるものになる。インドの生物安全性評価の枠組みは、(米国で遺伝子組み換え食物の特異な生物学的な影響を調査することを回避するために推進されている原則である)非科学的な「実質的同等性」については触れていない。
しかし、「実質的同等性」はモンサントーMahyco(訳注:インドの種子会社)が、遺伝子組み換え作物を認可する機関の遺伝子操作承認委員会に提出した遺伝子組み換えナスに関するデータの基礎になっている。生物安全性の規制緩和のウィルスはこのように、巧妙にインドに入ってきている。米国と欧州の間の遺伝子組み換え作物に関する紛争で、米国は欧州をWTOに訴えているが、遺伝子組み換え食物はWTOの関与がないまま、二国間で広がっている。
米国のバイオテクノロジーの計略もインドの農業政策の中に内在化されている。インドの最高の計画機関である計画委員会は、農業で遺伝子組み換え作物を推進し、農業分野でモンサントのような世界企業の役割を増すための委員会の長として、米国在住でオハイオ州の遺伝子・バイオテクノロジーの教授であるDeshpal Vermaを指名しようとしている。二国間の協定が、「自主的自由化」といわれる一方的な政策に骨抜きにされている。
カーギルやAMDのような米国のアグリビジネスは、インドの市場を獲得するために、もはやWTOの市場アクセス・ルールを必要としていない。ブッシュ大統領とシン首相の合意の一部として、インドで生産された小麦が十分あるのにかかわらず、インドは小麦を買うようにされている。国内市場もカーギル、コナグラ、リーバー、ITCなど多国籍企業に占められたしまった。
インドの食糧安全保障は組織的に解体されている。食糧価格は急騰し、それとともに餓えと栄養不良が増えた。経済大国、グローバリゼーションの申し子として示されているが、インドは世界の栄養不足の子供の3分の1を占めている。農民が土地を離れ、食糧価格が上がり、餓えの問題は広がるであろう。
一方、ウォルマートのような企業は、2億人以上を雇用する小規模なインフォーマル・セクターからなるインドの小売市場を握ろうとしている。ウォルマートはこの大きな市場を握ろうとしており、小売業で外国直接投資を進めるのに成功している。インドの784の町に新しいスーパーストアーと1600の農業供給拠点を立て、40機の航空貨物機で産物を輸送する計画を立てているリライアンス・インダストリーと提携しようとしている。
リライアンス・グループはインドで最大の土地取得者になった。政府を使って、数十万エイカーの肥沃な農地を市場価格の千分の1の価格で無理やり取得した。これらが、提携を通じてウォルマートが求めている補助金である。ウォルマートはインドの小売サービスを取得するのにGATS(サービスの貿易に関する一般協定)を必要としない。二国間と一方的な政策がインドの市場をウォルマートのために開放している。
WTOは生命維持装置の上にいるかもしれないが、「自由貿易」は生きており、活気に満ちあふれている。
二国間と一方的な構想(イニシアチブ)は、グローバリゼーションと自由貿易の新しい権化である。それは、WTOが集中治療室と火葬場の中間にいるいま、企業のルールを阻止するために、われわれがたち立ち向かわなければならない権化である。
*ヴァンダナ・シヴァ 女性問題、環境問題についての国際的活動家
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ヴァンダナ・シヴァ
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