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2006年08月12日10時13分掲載
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08年サミットは広島・長崎で 「核廃絶」を世界に宣言する時 安原和雄 (仏教経済塾)
2006年8月6日の広島平和宣言、同月9日の長崎平和宣言のキーワードは「核廃絶」の一語に尽きる。これは広島・長崎の「原爆の日」の平和記念式典でうたい上げられた悲願である。今こそ、「核廃絶」への道筋を具体的に構想するときではないか。 私(安原)は、2年後の2008年夏に日本で開かれる予定の主要国サミット(首脳会議)を広島・長崎で開催し、「核廃絶」宣言を世界に向けて発信するまたとない機会にすべきだと考える。
▽「広島平和宣言」― 核兵器の奴隷となるか、それとも「核廃絶」をめざすか
まず秋葉忠利・広島市長が06年8月6日の平和記念式典でうたい上げた「広島平和宣言」を紹介しよう。そのポイントは以下の通り。
*悪魔に魅入られた核兵器の奴隷と化した国の数はいや増し、人類は今、すべての国が奴隷となるか、すべての国が自由となるかの岐路に立たされています。
*10年前、国際司法裁判所は、「核兵器の使用・威嚇は一般的に国際法に反する」との判断を下した上で、「すべての国家には、すべての局面において核軍縮につながる交渉を、誠実に行い完了させる義務がある」と述べています。
*核兵器は都市を壊滅させることを目的とした非人道的かつ非合法な兵器です。私たちの目的は、「核抑止論」そして「核の傘」の虚妄を暴き、人道的・合法的な立場から市民の生存権を守ることにあります。 迷える羊たちを核兵器による呪(のろい)から解き放ち、世界に核兵器からの自由をもたらす責任は今や、私たち世界の市民と都市にあります。私たちが目覚め起(た)つ時が来たのです。
*日本国政府には、核保有国に対して「核兵器廃絶に向けた誠実な交渉義務を果せ」と迫る、世界的運動を展開するよう要請します。そのためにも世界に誇るべき平和憲法を遵守し、さらに高齢化した被爆者の実態に即した人間本位の温かい援護策を充実するよう求めます。
以上のように秋葉広島市長は「核兵器廃絶をめざして私たちが目覚め起つ時が来た」と宣言した。広島平和宣言のキーワードはまぎれもなく「核兵器廃絶」である。
▽広島のこども代表「平和への誓い」― 命を大切にし、精一杯生きる
一方、こども代表として新谷望君(広島市立南観音小学校6年)と日米両国籍をもつスミス・アンジェリアさん(広島市立楽々園小学校6年)が「平和への誓い」を読み上げた。その骨子は次の通り。
*私たちは事件(注)を通して一つの命の重みを知りました。 この時奪われた命も、原子爆弾や戦争で奪われた多くの命も同じ命です。 一つの命について考えることは、多くの命について考えることにつながります。命は自分のものだけでなく、家族のものであり、その人を必要としている人のものでもあるのです。 (注)2005年11月、広島市で小学1年の少女(当時7歳)が下校途中に殺害された事件のこと。
*「平和」とは一体何でしょうか。 争いや戦争がないこと。いじめや暴力、犯罪、貧困、飢餓がないこと。 安心して学校へ行くこと、勉強すること、遊ぶこと、食べること。 私たちが当たり前のように過ごしているこうした日常も「平和」なのです。
*「平和」であるために、今必要なことは、自分の考えを伝えること、相手の考えを受け入れること、つまりお互いの心を開くことです。 心を開けば対話も生まれ、対話があれば争いも起きないはずです。
*自分だけでなく他の人のことを思いやること、みんなと仲良くすることも「平和」のためにできることです。 私たちは、命を大切にし、精一杯生きることを誓います。 私たちヒロシマのこどもは世界中の国々や人々との間の架け橋となり、「平和」の扉を開くために一歩一歩、歩み続けていくことを誓います。
以上の「平和の誓い」は命の大切さを中心軸にした日常生活そのものの多様な平和の姿を描いている。こうして「平和=非戦」、すなわち平和を戦争がない状態に限定する従来の狭い平和観をあっという間に乗り越えている。 大人たちの多くが狭い平和観にこだわっている間に、柔らかい思考のできるこどもたちが日常生活を素直に見つめて、その中から「平和=非戦、命、生活」という広い平和観を披露したところが素晴らしい。
▽「長崎平和宣言」 ― 核兵器全廃に向けて核軍縮と核不拡散に取り組むとき
伊藤一長・長崎市長が8月9日の平和記念式典で述べた「長崎平和宣言」の骨子は次の通り。
*核保有国は、核軍縮に真摯に取り組もうとせず、なかでも米国はインドの核兵器開発を黙認して、原子力技術の協力体制を築きつつあります。 一方で、核兵器保有を宣言した北朝鮮は、我が国をはじめ世界の平和と安全を脅かしています。すでに保有しているパキスタン、イスラエルや、そしてイランの核開発疑惑など、世界の核不拡散体制は崩壊の危機に直面しています。
*核兵器の威力に頼ろうとする国々は、今こそ被爆者をはじめ、平和を願う人々の声に謙虚に耳を傾け、核兵器の全廃に向けて、核軍縮と核不拡散に誠実に取り組むべきです。 核兵器は科学者の協力なしには開発できません。科学者は、自分の国のためだけではなく、人類全体の運命と自らの責任を自覚して、核兵器の開発を拒むべきです。
*繰り返して日本政府に訴えます。 被爆国の政府として、憲法の平和理念を守り、非核三原則の法制化と北東アジアの非核兵器地帯化に取り組んでください。
以上の長崎平和宣言でも広島平和宣言と同様に「核廃絶」が強調されている。
▽小泉首相あいさつ ― しらじらしい「平和憲法順守」、「核廃絶」発言
広島・長崎の平和宣言と子ども代表の「平和の誓い」に対し、双方の平和記念式典に参列した小泉純一郎首相はどういう平和観で対応しただろうか。首相あいさつの中で次のように述べた。
「犠牲者の御霊と市民の皆様の前で、今後とも、憲法の平和条項を順守し、非核三原則を堅持し、核兵器の廃絶と恒久平和の実現に向けて、国際社会の先頭に立ち続けることをお誓い申し上げます」と。
その言やよし、である。しかし残念ながらその内容は真実から遠く離れている。 まず「憲法の平和条項の順守」とは誠実な答えではない。自民党は新憲法草案で、平和憲法の理念について次の2点を改悪することを公表している。 *前文に盛り込まれている平和生存権を削除する。 *9条2項(軍備及び交戦権の否認)を削除し、自衛軍の保持を明記する。
この改悪によって平和条項がどのように順守できるというのだろうか。 米国に代表される戦争勢力の唱える「平和」とは、しばしば「平和を守るため」を口実に軍事力を行使することを意味するが、そういう戦争のための平和が念頭にあるのか。 それとも改悪案は自民党案であり、政府案ではないといいたいのか。小泉首相は同時に自民党総裁でもあることをお忘れではあるまい。
次に「核廃絶に向けて先頭に立ち続ける」とは具体的に何を意味するのか。 日米安保=軍事同盟下で米国のいわゆる核抑止力に依存しているのが、わが国防衛政策の基本原則である。いいかえれば、口先では核廃絶を唱えながら、米国の「核の傘」を容認する立場を崩さず、憲法の平和条項も、非核三原則(核兵器をつくらず、持たず、持ち込ませず―の三原則)も事実上ないがしろにしているのが現実である。 これでは内容空疎にしてしらじらしい「平和憲法順守」、「核廃絶」発言という以外に適切な表現を知らない。
▽大手6紙の社説(見出し)で核廃絶をうたったのは毎日新聞のみ
「広島・原爆の日」の平和記念式典と広島平和宣言について翌日(8月7日付)の大手6紙はどのように伝えたかをみよう。いずれも一面で次のような見出しで報道した。 朝日新聞=核廃絶 市民起つ時 被爆61年広島市長平和宣言 毎日新聞=核廃絶 目覚め起つ時 広島平和宣言 原爆から61年 読売新聞=核廃絶 祈る広島 61回目原爆忌 日経新聞=核兵器廃絶訴え 35カ国の代表参列 広島61回目原爆の日 産経新聞=「世界との懸け橋に」 広島原爆忌 米国籍少女が「平和への誓い」 東京新聞=核保有国に軍縮交渉訴え 広島被爆61年 平和記念式典
産経を除いて各紙の報道は「核廃絶」あるいは「核軍縮」を基調に据えている。広島平和宣言を素直に読めば、このような報道になるのは当然のことである。ところが各紙の社説・主張となると、様相は一変する。
大手6紙の社説の見出しは以下の通りである。 朝日新聞=二重被爆が示すむごさ 広島と長崎(06年8月6日付) 毎日新聞=原爆の日 核兵器廃絶へ新たな一歩を(同日付) 読売新聞=原爆忌 『北』の核の脅威を見ない平和宣言(同日付) 日経新聞=日本は核拡散防止へ主導的役割果たせ(同日付) 東京新聞=原爆忌に考える 伝えたいものがある(同日付) 産経新聞=広島平和宣言 「北の核」への警告がない(8月7日付)
「核兵器廃絶」を見出しで明確にうたったのは、毎日新聞だけである。 一方、読売、産経に至っては「北の核の脅威」、つまり北朝鮮の核兵器開発や長距離(弾道弾)ミサイルの発射実験による「脅威」を強調し、広島平和宣言がそれに言及していないのは不可解であり、北朝鮮を戒めるべきだ、と主張している。 いうまでもなく北朝鮮の核兵器開発や長距離ミサイルの発射実験を容認することはできない。しかし今ここで再確認し、強調すべきことは、世界からすべての核兵器を一掃する「核廃絶」という目標をゆるがせにしてはならないという一点である。平和をたしかなものにつくっていくためにはこれこそが原点である。
▽核廃絶めざして広島・長崎で主要国サミットの開催を
核廃絶は、その道程は険しく困難であるだろうが、決して不可能ではない。核廃絶を実現するためには何が必要だろうか。 小泉首相が広島・長崎の平和式典で折角「核廃絶に向けて先頭に立ち続ける」と所信を表明したのだから、首相後継者にはその心情を活かしてもらいたい。 具体策として私は、08年に日本が議長国として主宰する主要国サミット(首脳会議)を原爆の被災地、広島・長崎で開催し、「核廃絶」宣言を世界に向かって発信することを提案したい。そこから核廃絶への大きな一歩を踏み出すことができれば、これこそ日本の巨大な国際貢献として歴史に遺る評価を受けるだろう。
ただ核廃絶実現のためには、主要国サミットの正式メンバーに核保有国、中国を新たに加えることが必要ではないか。 06年7月ロシアが議長国となったサンクトペテルブルグ・サミットの正式参加国はロシア、日、米、英、独、仏、イタリア、カナダの8カ国である。経済大国へとのし上がりつつある中国は招待国としてこのサミットに参加したが、日本サミットで核廃絶を議題にするからには核保有国、中国を正式メンバーにする必要がある。
▽核不拡散よりも核大国の核軍縮を優先すること
核廃絶に向けて歩み出すためには少なくとも以下の3つの条件が必要である。 1)核不拡散よりも核軍縮を最優先にすること ロシアでのサミットで採択された「核不拡散に関する声明」が「大量破壊兵器拡散は国際テロとともに国際平和と安全への著しい脅威となっている」と指摘していることからも分かるように、サミットの中心テーマは核拡散の防止にあった。
しかし核5大国(米、ロシア、英、仏、中国)の核軍縮こそ優先すべきである。自国の大量核保有による身勝手な「核覇権主義」に固執したまま、核大国以外への核拡散を非難するのは公平とはいえない。 核不拡散条約(NPT)は、その名称から誤解されやすいが、核不拡散だけでなく、核保有国の核軍縮の重要性もうたっていることを忘れてはならない。
2)米国のいわゆる二重基準を是正すること 最大の核保有国、米国は北朝鮮、イランの核問題には「悪の枢軸」として、敵視する一方、イスラエル、インドの核には寛容に対処するという、いわゆる二重基準を止めることが不可欠である。この二重基準に米国が執着する限り、核不拡散も核廃絶も実現へ向かう可能性はないだろう。
3)日米安保=軍事同盟を解体し、非核地帯の拡大に努力すること 核抑止力に依存する日米安保=軍事同盟が存在する限り、アジアにおける核廃絶は困難であろう。 日米安保=軍事同盟のお陰で平和が保たれていると考えるのは錯覚である。例えば米軍によるイラク攻撃のための有力な出撃基地として機能しているのが、実は日米安保=軍事同盟下での在日米軍基地である。いいかえれば日米安保=軍事同盟はアジアに限らず中東までも含む広大な地域の平和への脅威となっている。そういう日米安保=軍事同盟は長期展望として解体するほかない。
一方、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟の10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)は、すでに1997年に東南アジア非核兵器地帯条約に調印している。 日本が核廃絶に本気で取り組むためには、この非核地帯条約に日本も加わり、非核地帯を拡大していくことが求められる。 これは長崎平和宣言がうたっている「北東アジアの非核兵器地帯化」構想に答える道でもある。
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