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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2006年08月14日07時49分掲載
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【体験記】時事番組の収録にゲストとして参加 アルジャジーラの目玉番組
【ロンドン14日=小林恭子】中東カタールの衛星放送局アルジャジーラの英語放送(アルジャジーラ・インターナショナル)が、9月中旬に放送を開始する。英語放送は、アラビア語放送の本部でもあるカタールの首都ドーハのスタジオと、ワシントン、ロンドン、クアラルンプールの4極体制で運営される。このうち、目玉の一つになっているのが、ロンドン支局で収録される、デビッド・フロスト氏がメインとなる「フロスト・オーバー・ザ・ワールド」(仮題)だ。最近、この試験収録にゲスト出演者として招かれた。
フロスト氏は、長年英BBCのキャスターを務めた。昨年、アルジャジーラ・インターナショナルのキャスターとなる契約を交わす直前には、毎週日曜日の朝放映されている、BBCの「フロストとともに朝食を」という番組のキャスターを勤めていた。これまでのテレビ界での功績を認められ、1993年には、「サー」という称号を授けられている。
「フロストと朝食をともに」では、毎週、大物政治家の単独インタビューがあり、その後はゲスト数人が時事問題に関して意見を交わすコーナーが売り物だった。
アルジャジーラ・インターナショナルの「フロスト・オーバー・ザ・ワールド」は、これとやや構成が似ており、やはり毎週一度放映されるという。
フロスト氏がその時々話題になった人々、特に政治家などをインタビューするコーナーのほかに、「議論」というコーナーがあり、過去1週間に起きた時事トピックに関して、内外の専門家、ジャーナリストなどをスタジオに呼び、あるいは各国のスタジオとリンクして、出演者同士が議論をする、という流れになる。
最近、この時事番組の準備に一環として、在英ジャーナリスト数人が、本番さながらに議論を行なうという試験放送のゲスト出演者として招かれた。
世界の様々な視点を提供をすることがこのコーナーの目的であるため、制作側は、「英国人ジャーナリストは違った視点から時事問題に関してコメントができる外国人ジャーナリスト」を探しているという。
ある程度地理的バランスも考えながら人選をするために在英のメディア団体などにコンタクトを取ったところ、数人リストアップされた中に、私の名前も挙がったということを後で知った。
▽北朝鮮を担当
出演が決まると、早速番組の制作担当者から連絡があり、どのトピックを選択するべきか、電話で打ち合わせをすることになった。日本で今大きなトピックになっているのは何か。北朝鮮のミサイル問題か9月の総裁選か。番組側は、ミサイル危機の後で、日本が防衛費あるいは防衛力を拡大していくのかどうかを視聴者は知りたがっていると指摘し、主に北朝鮮問題を話すことに決まった。
ロンドン支局は、ロンドンでも一等地となるナイツブリッジにある建物の中にある。
入り口に出迎えに来た番組担当者の後をついて中に入ってゆくと、全てが新築の内装で、大きなガラス張りの部屋が次々と並んでいる。真新しいベージュのカーペットが敷かれ、コンピューター機材も多い。働いている人は若者の姿が目立つように思えた。
私が関わった「議論」のコーナーでは、ジンバブエ出身の女性がジンバブエの政局、エネルギー情報会社の記者の男性がロシアのエネルギー政策、カナダの放送局の女性が児童ポルノに関して、イランのテレビ局の女性がイランの政局に関して話すことになった。
他にカナダ・ラジオのロンドン支局長アン・マクミランさんやイランのテレビ局に勤める、ナザニーン・アンサリさんがいた。彼女はよくBBCの「デイトライン」にも出演している。収録前、イスラム教徒だというアンサリさんは、自国イランには「戻りたくても戻れない状態。女性に対する抑圧が強すぎる。帰ったら、命が危ないかもしれない」と話していた。
局に着いてから30分ほどが過ぎた頃、番組のプロデユーサーのサラ・オコネルさんがやってきて、輪に加わった。
どんな流れで番組が進むのか、と聞いて見ると、「フロスト氏が質問をするので、それに答えていればいいのよ」とオコネルさん。
アルジャジーラ英語放送は世界中から人々を雇用しているようだ。オコネルさんは、アイルランド出身で、元々BBCでドキュメンタリーを作っていたという。著名ドキュメンタリー番組「パノラマ」の一員だった。「パノラマ」は、かつて、故ダイアナ妃が不倫を認めた際の独占インタビューを行ったことでも知られる。
「パノラマ」は、現在はかつての45分から30分に短縮されている。「30分のパノラマはもうパノラマじゃない」とオコネルさん。
制作スタッフの一人のカイダー・シャイルさんはレバノン人。「レバノンから戻ってきたばかり」だという。レバノン生まれだが米国、英国で勉学をしたという。
レバノンには休暇で戻っていたが、7月中旬、イスラエル軍がレバノンにいるヒズボラに対して攻撃を開始した後、レバノンにいられなくなったため、英海軍の船で救出された英国出身者のグループとともに、出国したという。
イスラエルとレバノンのヒズボラの紛争は、米英のメディアの見方とはまた違う風に、シャイルさんからは見えるのではないか、と聞いて見ると、「それはそうだが、どの国際ニュースも当事者から見るとまた違う視点があるのは当然だと思う」と答えた。
「なんといっても、レバノン人の間でのヒズボラに対する支持は変わらないし、今回の紛争でも、最終的にはヒズボラ支持は続くと思う」
▽スタジオへ
歩いて数分のスタジオの中には、応接室のようなセットができており、フロスト氏が座っていた。その横のソファーにはジンバブエ出身の女性と情報サービス会社の男性が座り、カナダ・ラジオのマクミランさんはとなりのスタジオに入り、私とイランのアンサリさんはスタジオの後方に座ることになった。
私とアンサリさんはスタジオの後方にある、隣同士の椅子に腰掛けた。私のいる位置からすると、やや離れた真向かいにフロスト氏と2人のゲストが座っていることになった。
アンサリ氏さんと私は、お互いに小さなマイクを洋服につけられた。アンサリさんは顔から数十センチ離れたカメラを、私は、フロスト氏が読みあげる台本の文句が表示されるモニターを見ているように、といわれた。
▽収録スタート
音楽が鳴り、フロスト氏がしゃべりだした。ジンバブエの女性、ロシアのエネルギー状況を話した男性の話、別スタジオのマクミランさんが児童ポルノの話をし終わると、「今度は小林に聞いてみよう」というフロスト氏の声が聞こえてきた。
北朝鮮のミサイル危機と日本への影響、反応などを話す。一度質問があり、さらに続けて話す。この間、1、2分ぐらいだろうか。
イランのアンサリさんに話が移り、ほっとしていると、フロスト氏がアンサリさんの言葉をさえぎり、「日本ではイランの核の脅威と北朝鮮のミサイルの脅威とでは、どっちが大きいのか。小林に聞いてみましょう」と話が振られ、一生懸命答えるが、途中で、フロスト氏が、「金総書記は秘書と結婚しましたね」と質問してきた。
この後、イランの話が戻り、「北朝鮮対する懸念の方が大きいと言っていいでしょう」と言うと、これが最後のコメントになった。フロスト氏が締めの文句を言って、収録が終わった。フロスト氏は立ち上がって、出演者全員に握手を求めた。
英語放送は、当初6月放送開始という予定だったが、9月にずれこんだ。これはドーハ、ワシントン、ロンドン、クアラルンプールの4極をスムーズにつなぐシステムが十分に機能していないため、といわれている
放送開始の時期をロンドン支局で改めて聞くと、どの人も「9月中旬」と答えたが、オコネルさんは、「でも、11月という説もあるのよ。年内には必ず開始できると思うけどね...」と話した。
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