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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2006年09月05日15時30分掲載
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“ガラス天井”を打破せよ スペインで進む男女平等化
会社や組織などで女性がトップに上り詰めるのは、並大抵のことではないといわれる。こうした女性の昇進を食い止めようとする、見えざる障壁のことを、英語では、「ガラスシーリング(ガラス天井)」と呼んでいる。これを打破しようと積極的に問題化解決に取り組んでいるのがスペイン。スペインは家庭内暴力も多発するなど、女性の権利が脅かされる文化的体質を持っており、政府が音頭を取って、悪しき弊害の除去を目指している。(ベリタ通信=苅田保)
2004年4月に発足した穏健左派の社会労働党政権(サパテロ首相)は、16人の閣僚中、8人の女性を抜擢し、“フェミニスト(女権拡張論者)”首相として、世界中に名を馳せた。
スペインは、1939年から75年まで36年間にわたり、反共独裁政権のフランコ将軍の下で女性の地位が大きく低下した。当時、夫が妻を殴る、いわゆる「家庭内暴力」は違法ではなく、こうした文化がその後のスペイン文化に悪影響を残す形になった。
男性の「マッチョ」(男性優位)をからかったジョークも多く作られているほどだ。この中で描かれるスペイン人男性は、女性に対して鈍感で傲慢、かつ攻撃的とされている。この結果、女性に対する家庭内暴力がいまでも大きな社会問題になっている。
米紙シカゴ・トリビューンなどによると、サパテロ首相は就任直後、スペインの家庭内暴力の歴史を「最悪の恥辱」とか「許容できない悪」と呼んだほどだ。
サパテロ政権は、家庭内暴力には不寛容政策をとり、警察が、被害者から家庭内暴力の届け出があった場合には、速やかに対処するように法律を整備した。また妻に暴力を振るった男性は処罰されることになった。
現在、同政権は推進しようとしているのは、ガラスシーリングの打破だ。法律案では、政治の場では、政党候補者が男性ばかりにならないように、ほぼ男女を拮抗させる考えだ。また企業の分野では、政府と契約を結んでいる企業に対し、企業幹部陣の40%を女性が占めるよう求めている。
企業は政府の方針には反対している。重役陣に加わる女性の比率を、割当制にしたら、企業の競争力に問題が生じるとの意見だ。企業の考えは、女性だから重役に加えるのは好ましくなく、最初に考えるべきことは、能力、次に経験。そしてその次が「ジェンダー(性差)」だという。
これに対し、労働省の担当者ソレダ・ムリリョさんは、政府は割当制を導入しようとしているのではなく、女性に機会を与えることを考えているだけだと指摘している。
ムリリョさんは、スペインは民主主義の歴史が浅く、男女平等とする企業文化も定着していないとし、政府が音頭を取って“トップダウン方式”で実施していくのが早道だと述べている。
米国は女性の企業トップへの躍進が進んでいる。欧州は全般に遅れ気味だが、ノルウェーは、大企業の重役陣のうち40%が女性が占めるとの法律を、欧州で初めて施行している。これには罰則があり、2年間で是正しなければ、企業解散の恐れもあるという。
スペインは、ノルウェーの政策を踏襲した格好だが、是正期間は8年で、実現できなかった場合は、政府契約の解除など、緩やかなものになっている。
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