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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2006年09月19日19時23分掲載
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米検察の不手際で意外な展開に 多額の損害賠償支払いは確実?
米カリフォルニア州サンディエゴ近郊の海岸通りで10年前、車に乗った25歳の大学生が、歩道を歩いている若い女性に声をかけた。「車で送ろうか」。この声かけが彼の人生をその後大きく変えた。女性には連れの男性が少し離れたところにいた。二人の男性は殴り合いの喧嘩になった。大学生はナイフで相手を刺した。相手の男性は死亡し、大学生は獄につながれた。しかし、この事件はその後意外な展開をみせる―。(ベリタ通信=江口惇)
米紙サンディエゴ・ユニオン・トリビューンなどによると、事件が起きたのは1996年4月18日午前2時半過ぎ。オーシャンサイドと呼ばれる地域は、若者が多数集まることで知られ、深夜までの飲酒も珍しくない。
会社員のダスティン・ハーレスさん(当時26歳)と婚約者の女性がバーから外に出た。女性のほうが先に道を渡った。そこにサンディエゴ州立大学の学生デイビッド・ゲンズラーさんが車で通りかかり、車で送ろうかと声をかけた。
これに怒ったハーレスさんと大学生が殴り合いの喧嘩になった。ハーレスさんは大学生のナイフで刺され、その後死亡した。現場から立ち去っていたゲンズラーさんはその後テレビのニュースで、相手の死亡を知り、翌19日に警察に出頭した。
裁判では、殺人罪に問われたゲンズラーさんは相手から先に殴られた上、組み伏せられて身の危険を感じたための犯行とし、正当防衛を主張した。しかし、一審ではジキルとハイド型の冷血な殺人者と認定され、禁固20年以上を宣告された。
▼婚約者に圧力
しかし、その後検察が重要な証拠を隠していたことが発覚し、裁判は大きな変化を遂げる。それは検察が、ゲンズラーさんを殺人罪で有罪に持ち込むために重要証人に対し、被告に有利な証言をしないように圧力をかけていたことだった。
そのうちのひとつが、ハーレスさんの婚約者への圧力だった。婚約者は事件当日、ハーレスさんは、高校時代はレスリングの選手で喧嘩ぱっやい性格で、これまでも何度か街中で喧嘩をしていると捜査官に語っていた。しかし、検察官はこの事実を明らかにしないように圧力をかけたという。二審段階になって初めて、この事実を婚約者の女性が打ち明け、裁判が劇的に変化した。
2審の高裁は2001年、罪状を過失致死罪に変更し、一審判決を破棄した上で、禁固6年を宣告した。ゲンズラーさんは既に未決拘置日数が刑期分に及んでいたため、同年3月に釈放された。
話はこれで終わらない。ゲンズラーさんはその数カ月後、検察官やその上司らに対し、裁判で不正な行為があったとして550万ドル(約6億3000万円)の損害賠償を求める訴えを起こしたのだ。
この損害賠償請求訴訟は継続中だ。しかし検察側の旗色が悪く、被害者の婚約者に直接圧力をかけたとされる検察官は最近、ゲンズラーさんと金銭合意したといわれている。
サンディエゴ・ユニオン・トリビューン紙は、現在35歳のゲンズラーさんが勝訴する可能性が高いと伝え、人生の大半を獄中で送るはずだった男性が、大金持ちになる日が間もなく到来するだろうとコメントしている。
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