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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2006年10月21日17時32分掲載
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日中・広報文化交流最前線
各国が中国人留学生誘致合戦 井出敬二(在中国日本大使館広報文化センター長)
●国際教育フェアは史上最大の盛況
10月14,15日の二日間、北京市内のホール(中国国際貿易中心展覧ホール)で、国際教育フェアが開催され、日本から独立行政法人日本学生支援機構(以下JASSOと略記)、諸大学が参加し、また日本大使館広報文化センターも協力・参加した。JASSOは、国内の留学生支援事業や、海外からの留学生誘致のための事業を行っているが、この国際教育フェアでは、日本の大学との連携、留学情報の提供などを積極的に行って頂いた。 この国際教育フェアは、毎年秋に中国で開催されるものであるが、今年は史上最大の規模(30以上の国から450以上の大学等が参加)であり、3万人の来場が見込まれ、アジア最大の国際教育フェアということである。 北京の後、ハルビン、上海、成都、南京、深センでも開催される。
日中関係で留学生交流が占める役割は非常に大きい。日本には8万592人の中国人留学生(大学、大学院)がおり(2005年5月1日時点)、その他1万986人が日本語学校で勉強している(05年4月1日時点)。9万人を超える中国の若者が日本でスムーズに生活・勉強できるよう、日本側関係機関も引き続き配慮していく必要がある。
国際教育フェアでは、各国の政府・政府系組織と大学が、中国人学生の誘致を目的としてブースを出していた。各国ごとにまとまっているが、一番大きなスペースを取っていたのは英国であり、ブリティッシュ・カウンシルが独自で大きなブースを出し、60もの英国の大学が参加し、更に英国はブースのみならず、独自の説明会場を二つも設置し、英国留学を説明していた。(なお、ブリテッシュ・カウンシルは、現時点では、中国では英国大使館の一部として活動している。)
主要国による、海外からの留学生受け入れ状況を多い順に見ると、?米国56.5万人、?英国34.4万人、?フランス25.5万人、?ドイツ24.6万人、?豪州22.8万人である(いずれも2004年時点のデータ)。その後に、ニュージーランド、日本、中国、スペイン、ロシア、カナダが続く。更にシンガポールも中国人、近隣諸国からの留学生受け入れに熱心である。 高等教育機関在籍者数に占める留学生の割合では、日本は主要国中最も低いとされる。(英国24.8%、豪州24.1%、ドイツ13.7%、フランス11.2%、米国6.3%、日本3.3%。04年のデータ) 世界における留学生受け入れ総数は200万人前後と推計されているが、かなりの割合を占めているのがアジアからの留学生である。
英国のブレア政権は外国人留学生を積極的に誘致する政策を掲げており、ブリティッシュ・カウンシルは、2010年までに50万人以上の留学生を受け入れることを目標としている。このブリティッシュ・カウンシルは、世界109カ国に6千名以上のスタッフを擁しているが、中国国内でも200名ものスタッフを擁しているそうである。英国が文化教育方面で中国との交流を非常に重視している証左であろう。英国にとって、中国は、インド、日本などと共に重点8カ国の一つになっている。
●留学生受け入れの効果
留学生受け入れは、教育を通じた交流と相互理解促進、そして大学経営のみならずその国の経済にもプラスの効果がある。 米国は60万人近い留学生を受け入れているが、年間130億ドル、10万人の雇用創出効果があるとの試算もある。 日本に留学した中国人達が、日本にとどまるにせよ、中国に帰国するにせよ、日中関係で果たす役割は非常に大きい。中国人全体の対日理解増進にとり、留学生の役割は大変重要である。
優秀な中国人学生を、各国の大学が取り合っている状況がある。 中国での国際教育フェアへの日本からの参加大学数は、2004年18校、05年24校から、06年は28校に増えている。このような日本の大学の積極的姿勢を評価したい。 中国から優秀な学生を日本にスムーズに呼び寄せるためには、極力学生にとり負担の少ないやり方を採ることが望ましい。現状では、中国人学生は、日本の大学に入学するために少なくとも一回は日本に行き試験を受ける必要がある。 JASSOは、外国人のために「日本留学試験」を2002年に開始している。この試験はいわば留学生にとって、日本の大学入学のための共通試験の役割を果たすことを目指しており、基礎学力(数学、理科、総合科目)の評価を行う統一試験である。日本国内で年二回実施している同試験に受験する中国人は、最近は毎回で1万人弱〜2万人弱の間である。これらの中国人は、まずは日本国内の日本語学校で日本語を勉強し、その後、この試験を受けてから、日本の大学に入学するのである。JASSOの「日本留学試験」を利用して、渡日前に入学許可をしている日本の大学は75校程度と必ずしも多くはない。中国国内での試験実施はまだ認められていない。
最近の中国の新聞で、米国のACT(American College Test)という米国の大学共通入学試験(1959年から開始、試験科目は英語、数学、読解、理科、3千以上の米国の大学がこのACT試験結果を利用しているという)が、来年から中国でも受験できるとの報道がなされた。この点について中国教育部に問い合わせたところ、右は誤報であるとの説明であった。 いずれにしても、スムーズな留学実現のためには、中国政府関係者も含めて関係者で協議を更に続けていく必要がある。(つづく)
(本稿執筆にあたっては、日本政府関係部局とJASSOの関係者並びに中国教育部関係者から種々御教示頂いた。JASSO留学生事業部西岡淳部長の論文からも多くの御教示を頂いた。ここに厚く御礼申し上げる。本稿中の意見は、筆者の個人的意見であり、筆者の所属する組織並びに日中関連組織の意見を代表するものではない。)
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中国国際教育フェアでの英国(ブリテッシュ・カウンシル)のブース(2006年10月)
中国国際教育フェアでの日本の関係機関のブース(2006年10月)





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