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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2007年01月01日14時08分掲載
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“安倍丸”の針路が気懸かり 「教育」も「イラク」も視界不良 池田龍夫(ジャーナリスト)
安倍晋三首相誕生から3カ月、新年を迎えた「安倍丸」は何処へ針路を定めるのだろうか。小泉純一郎・前首相とは違ってソフトムードを装っているものの、「教育基本法改正」を急いだ政治姿勢などを見せつけられて、“右ウイング”を心配する声が高まっている。
「2006年11月に太平洋の両岸でおそらく歴史に残るであろう二つの事件が起こった。米国ではいわゆる『中間選挙』での共和党の大敗、日本国では衆院での与党による『教育基本法』改訂案の強行採決。前者は米国の有権者のイラク戦争政策批判を、後者は政府与党の改憲へ向けての重要な一歩を意味する。ブッシュ政権の政策は(大統領の任期はまだ2年ある)少なくともかなりの程度まで変わらざるを得ないだろう。日本の安倍政権がどういう政策をとるかはまだ分からないが、教育基本法を改め、さらに憲法を改めようとする路線は変わらないだろう。
……教育基本法は憲法と密接である。その前文に『この(憲法の)理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである』といい、『日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示』するという。憲法を根本的に改めれば教基法を改めるのは当然で、教基法を改めるには『憲法の精神』を改めることが含意される。改憲について何らかの正当な合意がない今日、教基法改訂案を強行採決するのは暴挙である。
……(日米ともに難題を背負ったが)右に傾いた米国の舟は左側に戻る。米国に追随して右に傾いた日本の政治には、そのような復元力がない。右へ傾いたままどこまでも行くか、あるいはさらなる米国追随に徹底して方向を修正するか、ということになろう」。
加藤周一氏が朝日新聞(06・11・27夕刊)に寄稿した一文は時代状況を的確に捉えた指摘で、その一部を紹介させてもらった。
「郵政選挙」造反組の自民復党騒動は、「永田町政治の終焉」「政治改革」が看板倒れだったことを実証し、国民の失望感を高めている。「ご都合主義党」「いい加減政党」と批判されても、参院選挙対策こそ政府与党当面の最重要課題なのだろう。内外に難問が山積しているのに、“先延ばし”の政治姿勢が目立ち、「内閣支持率急落」が国民のイライラを裏書している。
▽目に余る、教育行政の荒廃
教育現場の混乱、教育行政の不手際が、噴き出している最中に、教育基本法改正案が強行採決された。自らの失政を棚上げして、「教基法に欠陥あり」と改正を煽ったばかりか、とんでもない欺瞞工作まで行なっていたことが次々に明るみに出た。「学校でいじめナシ」の虚偽報告、中・高校での必修課目未履修多発など“教育スキャンダル”は目を覆うばかりだが、中でも「教育改革タウンミーティング・やらせ質問」は極めて悪質だ。
2006年9月、青森県八戸市で開かれた政府主催「教育改革タウンミーティング(TM)」で、政府・自治体側が参加者を動員、やらせ質問させていたことが発覚。TMは小泉政権下の01年から「国民の声を広く聞く」との趣旨で始まり、174回も開かれたという。「教育改革」をテーマにしたTMは合計8回行なわれ、内閣府の調査によると、八戸市のほか岐阜市、米沢市、松山市、和歌山市、別府市でも作為的に“動員”していた。このほか静岡市と松江市でもTMを開催しているが、“動員”の有無は未確認という。
自民党御用達の大手広告代理店が「TM開催」を手がけ、一回1000万円前後が支払われていたといわれる。さらに発言者への礼金として一律5000円を支出したというから呆れた無駄遣いだ。国会で事実を暴露した保坂展人・衆院議員(社民党)は「塩崎官房長官も65人に5000円を支払ったことを認めた。教基法改正案は強行採決されたが、いろいろ聞いてみると国会でも支持する声は少ない。ますますなんなんだという気持ちだ」と怒りを露わにしている。
内閣府の公表によると、8回の「教育TM」だけで約8000万円が使われている。全てのTM経費は総額19億円にも達するといわれており、ましてや「やらせTM」に税金を勝手に使うとは、とんでもない政治の荒廃ではないか。
▽イラク戦争とブッシュ政権、日本の責任
アメリカ中間選挙での共和党大敗は、イラク戦争泥沼化を招いたブッシュ政権に対する米国民の鉄槌である。タカ派の急先鋒、ラムズフェルド国防長官は解任されて穏健派のゲーツ氏が後任に指名され、ボルトン国連大使も辞任した。この動きと機を一にして、米超党派組織「イラク研究グループ」は12月6日ブッシュ大統領にイラク政策見直しを求める報告書を提出。「イラク駐留米軍の任務をイラク軍・警察の訓練などの支援に移行。2008年3月までに米軍戦闘部隊を撤去させる。イラク安定化のためにイラン、シリアとの直接対話呼びかけ」を骨子としたもので、ブッシュ政権に決断を迫っている。無政府状態…破局的混乱の現状から見て、米軍早期撤退が簡単に進むとは思えないが、混迷打開のための一里塚だ。
ブッシュ政権のイラク戦略失敗を否定できない現状に直面して、日本政府も早急に“対米追随外交”を検証し直し、政策変更すべき時期に来たといえる。ところが、政府は一度決めたレールを愚直に走るだけで、政策転換の自主的取り組みが欠落している。サマワから陸上自衛隊撤退は完了したものの、航空自衛隊は米国の要請に応じ、期限を再延長して後方支援に当たっている。膨大な予算を伴う“軍事協力”なのに、新聞がほとんど報じないため、国民一般の関心は無いに等しい。
さらに不思議なのは、海上自衛艦のインド洋派遣が5年間も続き、今なお他国艦艇への無料給油を行っていることだ。そもそも洋上給油は、アフガニスタンでのテロ掃討作戦を支援するためだったが、“無料ガソリンスタンド”として重宝がられ、イラク戦争の後方支援にも使われていると指摘されている。防衛庁の資料によると、「5年間で203億円分の給油を行なった」とのこと。この点、9・11テロ後の米外交政策に追随した日本政府の姿勢を改めて問い直す必要があると考える。新聞各紙に、「検証報道」を切に望みたい。
▽「中国残留孤児」救済の責務
神戸地裁は12月1日、敗戦後の中国東北部(旧満州)に残された中国残留孤児への補償を求めた裁判で画期的な判決を下した。兵庫県内に住む中国残留孤児65人が「中国に置き去りにされ、永住帰国後の自立支援も不十分」として、一人当たり3300万円の国家賠償を求めた裁判。 橋詰均裁判長は「一般の在留邦人を無防備な状態に置いた戦前の政府の政策は、自国民の生命・身体を著しく軽視する無慈悲な政策であったというほかない」と判決冒頭で述べたあと、「国は帰国の妨げとなる違法な措置を講じたうえ、帰国後も自立支援義務を怠ったとして、61人に総額4億6800万円の支払いを命じた。約2500人が永住帰国しているが、政府の補償拡充を求めて2200人前後の帰国者が全国15カ所での集団訴訟に臨んでいるという。これら集団訴訟の中で、原告が勝訴したのは神戸地裁判決が初めてだ。
これまでの訴訟では、「戦争損害論」(戦争損害は国民が等しく受忍しなければならない)を根拠に、公的補償を認めなかったが、神戸地裁は「孤児の損害は日中国交回復後、政府が早期に救済する責任を果たさなかった結果である。戦争損害ではないから、いわゆる戦争損害論によって国家賠償責任を否定することはできない」との論旨で、原告サイドに踏み込んだ判決は明快だ。
さらに、判決理由の後段で、北朝鮮による拉致被害者に対する自立支援策と比較し、政府対応の“格差”に言及したことに注目したい。「拉致被害者が永住帰国後、5年を限度として生活保護より高水準の給付金やきめ細かな就労支援を受けているのに、中国残留孤児への支援策は生活保護の受給を永住帰国後1年をめどとするなど極めて貧弱だ」と厳しく述べている。拉致被害者補償へのクレームではなく、「国の落ち度がない拉致被害者より、落ち度が少なくない残留孤児の支援が貧弱でよかったわけがない」との指摘は、明快な論理である。
「敗戦時に、そして帰国した後にも、国から棄てられたと感じている孤児にとって、この裁判は人間の尊厳を取り戻す闘いだった」(毎日12・2社説)――国は控訴せずに、救済措置拡充に全力で取り組むべきだ。
*本稿は、「新聞通信調査会報」1月号に掲載された「プレスウォッチング」の転載です)
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