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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2007年04月02日10時26分掲載
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被害者の“遺影”を掲げよ 無謀運転者に珍しい判決
2年前に米フロリダ州で酒に酔って無謀運転をしていた車が、トラックに衝突し、トラックに同乗していた17歳の女性が死亡する事故があった。この事故をめぐる裁判で、判事は最近、被告に対し珍しい判決を言い渡した。量刑は禁固2年、さらにその後3年間の保護観察だったが、判事は、これに条件をつけた。それは、出所後の保護観察中、家の中に死亡した女性の“遺影”を掲げることだった。これを怠れば、保護観察違反になるという。(ベリタ通信=江田信一郎)
2005年4月、同州バートーの道路で、アーサー・ピアース被告(31)運転のキャデラックが時速72キロの制限区域にもかかわらず、時速193キロというスピードで走っていたため、バランスを崩し、トラックに追突した。この衝撃で、トラックは数回転がり、助手席にいたチェルシー・グレゴリーさんが死亡した。
チェルシーさんは、当時婚約したばかりで、事故が起きたときも婚約者と一緒で、トラックの助手席に乗っていた。ピアース被告は、いとこのクリストファー・ピアース被告(27)とカーレースに興じているうちに事故を起こしたが、酒に酔っていた。
酒酔い死亡事故は有罪なら15年の禁固刑になる。当然重い刑が宣告されるだろうと誰もが予想した。ところが、米紙レッジャーによると、ことし1月、この事故の主任捜査官(49)が心臓発作で突然死亡した。事故の全容を知る捜査官の死亡に、検察はあわてた。その理由について、同紙は明確には説明していないが、被告の刑事責任を立証するはずの中心人物が急死したため、裁判所に十分な証拠が提出できなくなったらしい。
この結果、検察は両被告との間で司法取引を結び、本裁判に入らずに事件を解決する道を選んだ。チェルシーさんの両親も、しぶしぶこの方法を承諾した。
司法取引では、被告が有罪を認めれば、本裁判に入らずに量刑が言い渡される。理由は裁判が長期化するのを防ぐためのものだ。量刑も軽減される傾向がある。
特に、今回は検察側が、主任捜査官を失ってしまったという弱みがあるため、かなり軽い刑が宣告される見通しになった。ピアース被告はことし2月、有罪を申し立てた。これを受け、判事は3月23日に量刑の言い渡しを行なった。
これに先立って、犠牲者のチェルシーさんの母親が法廷で、最愛の娘を失った家族の悲しみを訴えた。親孝行で、責任感のあるチェルシーさんは、将来美容師になる夢があった。父親は娘の死後、卒中で一時倒れた。法廷に提出した文書で、父親は毎晩、神に対して父親の代わって娘を抱擁してくれるよう祈っていると述べた。
判事は、量刑言い渡しの中で、ピアース被告に対し、2年後に州刑務所から出た後、家の中に、少なくとも一辺が60センチある、チェルシーさんの写真を掲げ、さらにそれに「あなたを殺して申し訳ない」と書いたものをつけるよう命じた。判事によると、保護観察官がいつでもピアース被告の家に出かけ、写真を掲げているかをチャックすることになるという。いとこのクリストファー・ピアース被告の量刑言い渡しは4月に行なわれる。
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