4月5日、筆者は、中国のウェブ・サイト「中国網(チャイナネット)」に招待され、北京市内にある本部を訪問し、同サイトの幹部と懇談し、また約1時間、同スタジオにて司会者及び中国人ネット・ユーザーとの交流を行った。以下、その概要を紹介したい。
●10ヵ国語で対外発信
筆者が「中国網」を訪問した際に、迎えて頂いたのは、李家明中国網執行総裁(中国互聯網協会ニュース情報サービス工作委員会秘書長・中国互聯網ニュースセンター常務副主任・北京中国網伝播有限公司総経理を兼ねる)、李雅芳、張梅芝両中国網副総編集長(両名共に中国互聯網ニュースセンター副総編集長も兼ねる)、薛建華中国網多言語部長らである。
「中国網」についての説明をとりまとめると以下の通りとなる。 ─「中国網」は、中国政府の対外広報担当部門である国務院新聞弁公室のオフィシャルなサイトである。 ─2000年に、ウェブ・サイト「中国網」を開設した。 ─現在、10カ国語で対外発信している。即ち、中国語(繁体字と簡体字)、英語、日本語、仏語、独語、露語、スペイン語、韓国語、アラビア語、エスペラント語である。 ─スタッフは約230名。 ─三つの大きな「部」がある。中国語部、英語部、その他の「多言語部」。「多言語部」の中に日本語セクションがあり、日本語が分かるスタッフは6名。(日本語部のスタッフには、この「日刊ベリタ」の「日中・広報文化交流最前線」のウェブ・サイトを紹介して、これから読んでもらうように宣伝しておいた。)
本年は、日中国交回復35周年であり、「日中文化スポーツ交流年」であるが、「中国網」では、「日中文化スポーツ交流年」の特別のサイトを開設してくれている(http://japanese.chnia.org.cn/culture/archive/sc/node_7015422.htm )。 現在は日本語のみだが、今後、中国語、英語も開設する計画があるという。筆者からは、この交流年を広報面で盛り上げてくれることに感謝しておいた。
●日本からの中国語発信も増える
国務院新聞弁公室という役所について説明すると、日本で言えば、内閣広報室、外務省の広報文化交流部と外務報道官組織の仕事に相応する仕事をしていると言える。国務院新聞弁公室は、中国の様々な役所にスポークスパーソン制度の導入と、その電話番号を公開するように働きかけたり、2005年には東京で日中交流の写真展を開催したりと、積極的な対外広報活動を展開している。 筆者も日本大使館において対外広報の仕事をしているので、国務院新聞弁公室の関係者とは、お互いの問題意識についてよく意見交換したりしている。対外広報をする組織というのは、自分の国が外国でどう受け止められているかということについて常に考えないといけないので、概して、発想が内向きではなく外向きと言える。 また「日中文化スポーツ交流年」推進のために、中国側には組織委員会が設立されているが、国務院新聞弁公室は、この組織委員会のメンバーでもある。
筆者は、中国網の司会者の汪洋さんと共に、約1時間ほど、ネットユーザー達と交流した。「日中文化スポーツ交流年」、青年交流、留学生交流、インターネットについて等、やりとりをした。その結果は、以下のサイトで見れるので御覧頂きたい。 (日本語)http://japanese.china.org.cn/txt/2007-04/05/content_8072819.htm (中国語)http://webcast.china.com.cn/webcast/created/1182/44_1_0101_desc.htm
中国のオフィシャルな組織からのインターネットを通じる多言語対外発信は、この「中国網」以外にも、主要なものとして以下がある。 ─「人民網」(人民日報のウェブ・サイト):中国語、英語、日本語、仏語、独語、露語、スペイン語、アラビア語の8か国語。1997年に開始された。昨年12月に開設10周年記念親睦会が北京市内で開催され、筆者も参加した(http://j-peopledaily.com.cn/2006/12/08/jp20061208_65754.html 参照)。 ─「CRI(中国国際ラジオ放送局)」:43カ国語で対外発信。最近、日中の視聴者達の討論会も開催している。 ─「北京週報(Beijing Review)」:中国語、日本語、仏語、独語の4カ国語。 ─「人民中国」:日本語。 このサイトの記者達は、取材にも熱心であり、北京で開催される各種交流事業ではよく顔を合わせる。
他方、日本からの中国語発信としても以下のものがある。最近、日本からの中国語発信が増えてきているのは喜ばしいことである。インターネットを通じて、どのように相互理解を増進することができるかは、引きつづき皆で考えないといけない課題である。 ─在中国日本大使館(http://www.cn.emb-japan.org.cn ) ─Web Japan、Trends in Japan、にっぽにあ等(http://web-japan.org/index-c.html) ─国際交流基金「心連心」(http://www.chinacenter.jp) ─フォーリン・プレス・センター(http://www.fpcj.jp/ch ) ─共同網(共同通信社の中国語発信)(http://china.kyodo.co.jp ) (つづく) (本稿中の意見は、筆者の個人的意見であり、筆者の所属する組織の意見を代表するものではない。)
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