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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2007年05月30日00時16分掲載
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時事英語一口メモ
【25】「根拠なき熱狂」とバブル同士の結婚
<A href="http://jijieigo.at.webry.info/200804/article_29.html" target="_blank">ブログ版</A>
米連邦準備制度理事会のグリーンスパン前議長が残した名文句の中に“irrational exuberance”(根拠なき熱狂)という言葉がある。米国のハイテク株バブルへの警句として、1996年12月の講演で使った。日課である早朝の入浴中に、この言葉を思いついたのだという。そのグリースパンが高騰する中国の株式市場について警鐘をならしたが、中国の投資家は聞く耳を持たないようだ。(鳥居英晴)
「根拠なき熱狂」という言葉が使われたのは、1996年12月5日、ワシントンで行われたアメリカン・エンタープライズ公共政策問題研究所の夕食会。
"But how do we know when irrational exuberance has unduly inflated asset values, which then become subject to unexpected and prolonged contractions as they have in Japan over the last decade?"
(根拠なき熱狂が資産価格をいつ過度に膨らませ、過去10年間に日本で発生したような予期せぬ長期的な収縮につながるのか、知ることはできるのか)
グリーンスパンは5月23日、マドリードで開かれた会議に衛星回線を使って参加。中国の株式市場について、”It is clearly unsustainable. There's going to be a dramatic contraction at some point."(明らかに持続不可能だ。いずれ劇的な収縮があるだろう)と懸念を表明した。
ふたつの発言に共通する"contraction"には、経済活動の低下、景気後退という意味がある。
ブルームバーグ通信社のコラムニスト、ウィリアム・ペセックは、25日のコラムでこれを取り上げた。
Alan Greenspan and Li Ka-Shing may understand more than most what comedian Rodney Dangerfield meant when he said ``I don't get no respect.''
(アラン・グリーンスパンと李嘉誠は、コメディアンのロドニー・デンジャーフィールドが「誰も構ってくれない」と言ったことの意味を一番よく理解しているかもしれない)
李嘉誠は香港の最大の企業集団・長江グループ創設者。17日に「バブルが確かに存在している。中国人として、中国の株式市場を懸念している」と述べた。``I don't get no respect''は、2004年に亡くなったデンジャーフィールドのキャッチフレーズである。
Here you have Greenspan, the man often called the greatest central banker who ever lived, and Li, Asia's richest man, worrying aloud about asset bubbles in China. And yet, the benchmark CSI 300 Index closed only 0.5 percent lower yesterday. That doesn't compare with the 9.2 percent plunge on Feb. 27. That one, oddly, became a buying opportunity for an index that has jumped 92 percent this year after more than doubling in 2006.
(最も偉大な中央銀行総裁とよく呼ばれたグリーンスパンとアジアで一番の金持ちの李が中国の資産バブルに警鐘をならした。だが、CSI300指数は24日、前日比0.5%下落しただけだった。2月27日の9.2%の下落とは比べものにならない。奇妙なことに、その大幅下落は買いのチャンスとなり、2006年に倍以上に伸びた同指数は、今年に入り92%上昇している)
History will probably show that Greenspan, Li and those investors around the globe losing sleep over China's bubble were spot on. Tens of millions of Chinese -- perhaps even 100 million or more -- are likely to regret not heeding such warnings.
(歴史は恐らく、グリーンスパン、李それに中国のバブルで夜も眠れない世界中の投資家が正しかったことを示すだろう。数千万人、恐らく1億人を超える中国人は、そうした警告に耳を傾けなかったことを後悔しそうだ)
The real losers could be China's leadership. When China's central bank governor, Zhou Xiaochuan, says stock prices are excessive and Premier Wen Jiabao worries about ``problems'' for the economy, you know Chinese officials are more concerned than they admit publicly.
(真の敗者は中国の指導者かもしれない。中国人民銀行の周小川総裁は株価が行き過ぎたと述べ、温家宝首相は経済の「問題」を心配していると語ったが、周知のように中国当局者は、公式に認める以上にもっと憂慮しているのである)
中国の株式市場が過熱している背景には、中国国内で過剰流動性がある。新華社のXFN-ASIA(27日)によると、中国社会科学院世界経済政治研究所所長で中国人民銀行の通貨政策委員会委員であった余永定はこう説明する。
Yu said excessive liquidity from the rapid growth of the money supply and China's ever-increasing trade surplus and the relatively lower bank interest rates are reasons for the sizzling stock market.
(急速に伸びているマネーサプライと中国の増え続ける貿易黒字からくる過剰流動性、それに比較的低い銀行金利が、株式市場を過熱させている)
He said the broad measure of money supply, the ratio of M2 to GDP (gross domestic product) is now more than 160%, the highest in the world.
(マネーサプライの大まかな目安である、M2の国民総生産に対する比率は現在、160%以上で、世界で一番高い)
Yu added that it is impossible for the central bank to completely sterilize the excessive liquidity through the issuing of bank bills or/and raising commercial banks' requirement ratio - and that a complete sterilization has never been accomplished.
(中央銀行が銀行手形の発行や商業銀行の預金準備率の引き上げを通じて、過剰流動性を完全に不胎化するのは不可能である。完全な不胎化はなされたことがない)
膨れ上がる貿易黒字の中、中央銀行である中国人民銀行は人民元高の圧力を弱めるため、年2000億ドルに上るドル買い・元売り介入を行ってきた。この結果、中国の外貨準備高は3月末現在で1兆2000億ドルを超え、世界最大になっている。
人民銀行は、中央銀行手形を発行して、介入で市中に放出した人民元を商業銀行に引き受けさせるといった形で回収している(不胎化オペ)。しかし、大量に発行される中央銀行手形に買い手がつきにくくなっているといわれる。
通貨市場で自国の通貨を売り、増加したマネーサプライ(通貨供給量)をそのままにしておく「非不胎化介入」は、通貨供給の増加によりインフレ圧力になる。
中国の消費者物価上昇率は4月時点で前年比3.0%。預金金利(1年もの)は18日に引き上げられ、3.06%になった。実質金利はほぼゼロ。このため余剰のお金が株式市場に流れ込んでいるかたちになっている。株価は2006年初めから急上昇。株式市場の口座開設数は1億を突破、毎日約30万のペースで新設されているという。
市中の人民元を減らすためには、金利を上げればいい。しかし、余永定は、金融政策だけでは株式市場のバブルを抑制することはできないと言う。
He said rate hikes would bring too strong an impact on the economy if raised too high, and that higher interest rates will attract huge capital inflows from abroad and therefore offset the intended effect of the rate hikes.
(金利を高く上げすぎると、経済に大きな影響を与えすぎ、高い金利は外国からの巨大な資本の流入を招き、利上げの目指す効果を相殺してしまう)
中国はジレンマに直面している。人民元を大幅に切り上げれば輸出競争力を失い、失業者を増大させ、社会不安を招く恐れがある。人民元相場を維持するために為替市場介入を続ければ、バブルを悪化させる懸念がある。
中国は外貨準備を米国債を中心に運用しているが、より高い利回りを目指して米国のプライベートエクイティ会社(企業買収を専門にする投資会社)のブラックストーン・グループに30億ドルを投資することを決めた。ペセックは23日のコラムで、それをBlackstone + China = Bubble Marriage(バブル同士の結婚)と呼んでいる。
Here you have the world's most-watched communist nation investing in perhaps the most capitalist of Wall Street vehicles: a private-equity firm. China is doing so with foreign-exchange reserves, which it uses to ensure employment for its 1.3 billion people.
(世界で最も注目されている共産主義国家が、13億人の国民の雇用のために使う外貨準備をプライベートエクイティ会社というウォール街でも最も資本主義的な組織に投資しようとしている)
China, of course, has at least a couple of bubbles on its hands. One is the equivalent of Spain's annual gross domestic product in reserves. The other is the irrationally exuberant surge in Chinese stocks。
(中国には少なくともふたつのバブルが存在する。ひとつはスペインの年間国内総生産に相当するほどの外貨準備。もうひとつは中国株式での根拠なき熱狂の上昇である)
Then there's the private-equity bubble.
(プライベートエクイティもバブルである)
Private-equity firms are forces of change in the global markets and they can create new efficiencies. Yet their activities respond directly to the cost of global credit. At the moment, China's currency policy, together with Japan's ultra-low interest rates, is a key source of the liquidity feeding bubbles.
(プライベートエクイティ会社は世界の市場での変化を起こさせる勢力であり、新たな効率性を生み出すことができる。しかし、その行動は直接的に世界的な資金調達コストによって左右される。現在は、中国の為替政策と日本の超低金利がバブルを起こしている流動性の源になっている)
金利の低い円で資金を調達し、それを金利の高い海外の通貨で運用して利ざやを稼ぐyen carry trade(円キャリートレード)の総額は1000億ドルに達するともいわれる。
``We have actually now bubbles everywhere,'' Marc Faber, who oversees $300 million in assets at Marc Faber Ltd., told Bloomberg News in Zurich on May 21. ``We have bubbles in real estate, in equities, in bonds, in commodities, in art prices and totally useless collectibles. So, this bubble is huge and includes just about any asset in the world.''
(マーク・ファーバー社で3億ドルの資産を運用するマーク・ファーバーは21日、「今はあらゆるところにバブルが見られる」と語った。「不動産、株、債券、商品、美術品、役立たないコレクションでバブルが起きている。このバブルは巨大で、世界のどのような資産も含んでいる」。)
ロイター電(24日)によると、中国のアナリストらはグリーンスパンが予想するような大規模な下落が起こる可能性については否定的な見方が大勢だという。
Alan Greenspan's warning about a bubble in China's stock market was met by disagreement, resentment and conspiracy theories among many Chinese investors on Thursday -- suggesting the bubble may continue building.
(グリーンスパンの中国株式市場におけるバブルの警告は、中国の投資家の間では、反対意見や敵意、陰謀論で迎えられた。バブルは膨らみ続けるようだ)
"Imperialists and their running dogs don't want to see a strong China -- don't be fooled by foreigners," read one anonymous but typical posting on www.eastmoney.com, a popular online forum for investors.
(「帝国主義者とその手先は中国が強くなることを望んでいない・・・外国人にだまされるな」。投資家に人気のある「東方財富網」の掲示板に匿名で書かれた典型的な書き込みである)
Many people in China recalled that Greenspan's warning about "irrational exuberance" in the U.S. stock market in 1996 did not prevent that market from rallying for the rest of the decade.
(グリーンスパンは1996年に米国の株式市場を「根拠なき熱狂」と警告したが、市場がはじけたのは2000年になってからであったことを中国の多く人たちは思い出した)
参考サイト
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601039&sid=aoHE5wlTGnSg&refer=home
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601039&refer=columnist_pesek&sid=aU7bs9CJazGI
http://www.forbes.com/business/feeds/afx/2007/05/27/afx3761750.html
http://www.reuters.com/article/reutersEdge/idUSSHA867320070524
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/wp07j09.htm
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転載について
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