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2007年10月07日20時37分掲載
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根津教諭の「君が代」拒否
<停職6ヶ月「出勤」日記・21>「いよいよ仕事だ、とうれしくて、よっしゃ!がんばるぞ!」
10月1日(月)
南大沢学園養護学校に初出勤。前夜はいつもより早くに布団に入ったのに、やっぱりほとんど一睡もできずに朝を迎えた。7時半校門前に着くと、もう何人か、校門前「出勤」に同行してくれた人の姿があった。いつも7時50分過ぎに校門を通過する校長がこの日は、私が着いて間もなく出勤してきた。「あら、今朝は早いんですね」と声をかけたが、校長は黙って頭を下げ、中に入っていった。Mさんが作ってきてくれた「根津さんを解雇しないでください」「校長先生、職務命令を出さないでください」などと書いた何枚ものプラカードを読んでもらう間もなく。そこでみんなは、校舎内にいる校長に向かって、プラカードのことばを唱和した。辺りは静かなので、声は校長にしっかり届いただろう。都教委にも報告が上げられているはずだ。
私を激励しに集まってくれた15人の人たちと出勤式をした。私は、「今日は仕事に復帰の日であり、同時に解雇に向かうカウントダウンの日でもあります。でも今は、いよいよ仕事だ、とうれしくて、よっしゃ!がんばるぞ!という気持ちです」と挨拶した。近藤順一さんから黄色のバラの花束をプレゼントされ、とっても感激。たくさんの力を得て、8時過ぎ、校舎に入った。
今日は都民の日で生徒はお休み、教職員もちらほらしか出勤して来なかった。出勤している人と挨拶を交わしながら、皆さんの机上に用意してきたあいさつ文(※)を置いた。朝の職員打ち合わせで校長から紹介され、自己紹介をさせてもらった。
午前中校長から学校の説明があったのだが、冒頭、「発令書を渡します」と言われた。案の定、卒業式での不起立に対する再発防止研修を受講せよという発令書だった。「10月4日」ということで、Iさんと同日であった。何はさておき、最初に発令書を渡す校長に、私はもっと優先してかけることばは持たないのかしら、と思った。
この学校は、開校11年目なそうだが、2年後(?)には小・中学部はなくなり、開校当時の母体校だった多摩養護学校に移転、高等部と職業科の学校に変わるのだと言う。正確には覚えていないが、おおよそこのようなことを聞かされた。この話はいつから出ていたのか尋ねると、11年前の開校から数年(5,6年)後のことだそうだ。
「開校数年で廃校とは、余りに見通しのない計画だったのではないか。卒業した子どもたちの母校がなくなるというのは大ごとだと思いますが、校長はどうお考えですか」と聞いたが、「都教委のやることを実行するのが校長の仕事ですから」と、考えは聞かせてもらえなかった。私は、「現場の声を都教委に伝え、橋渡しをするのが校長の仕事だと私は思いますよ」と言ったが、返事はなかった。この校長ばかりではなく、知る限りどの校長も、校長は教育委員会から派遣された伝達・執行及び監視役と、思い込んでいる。学校教育法上は、教育委員会から独立しているのに。
事務手続きやらで、1日目は終了。
2日(火)
開校記念日で生徒はお休み。午前中、私が入ることになったクラスの教員2人から説明を受けた。職員室に戻ると、愛知のNさんから祝電が届いていた。うれしく、ありがたい。
3日(水)
いよいよ生徒と出会った。担当することになった生徒が通学バスから降りてくるのを受けて、一日が始まった。1日も早く気持が通じ合うようにがんばりたい、と思う。下校が済んで、私自身は朝からトイレに行っていなかったことに気づいた。
4日(木)
再発防止研修の基本研修に水道橋の教職員研修センターに行かされた。9時少し過ぎに着くと、都教委への抗議と私たち2人への激励にすでに何人もの人が来てくださっていた。支援者は続々集まってくださり、私たちが建物の中に入る頃には、50人ほどに膨れ上がっていた。ありがたい。
10時10分前、それぞれ指定された部屋に入った。処分量定が違うから別々の部屋にしたのだそうだが、地方公務員法を説明するだけなのだから、別室にする必要はないだろうに。受講者1人に対し、担当者、講師、記録係、校長と4人を配置し、講義が始まった。担当者はS研修部教育経営課長、講師はI企画部企画課長。
今までと同じに講義のはじめは、「所属、職、氏名を言ってもらえますか」で始まった。私は、「私が受講を申請したのではなく、あなた方のほうで私を特定して呼び出し、今日受付で受講票まで出しているのに、なぜ、聞かれるのでしょうか」と訊いた。「研修する上でお聞きしたい」「名前を訊くのは、当然のこと。一般的なこと」との講師の返事。「拒否するのか」とさらに聞くので、私は、「拒否をしているのではない。理由のわからないことには答えられないのです」と言うと、講師は校長に回答を求めた。
講師の2番目の質問は、「教員経験年数は? どんなことに力を注いできたかを話してください」だった。「大勢を一度に呼んでいるのではなく、私を呼び出し、受講させるのに、私についての資料をご覧になっていないのですか? 授業をするにも、生徒たちの状態をつかんでおくのは当たり前のこと。あなたは、当然すべき準備をされていないんですか」と訊くと、「おおよその年数は知っていますが、もっと詳しく知りたいのです。書類の上での情報収集以上に」と言う。名前を訊くことから始めるのは事情聴取の時も同じ。警察の被疑者取調べとも同じなんだろう。
講義に当たって私は、講義の後質問の時間をきちんと確保してほしいことを要求し、この場で回答ができなかったことについては、後日回答をもらえるのかを確認しようとしたが、「5分質問の時間をとっている」「とにかく話を進める」と講師は一方的に言い、原稿を読み上げ始めた。読み上げた内容は、これまでの再発防止研修のときと同じに思えたが、今までよりも踏み込んだところがあるように思われた。
質問したいことはいくつもあった。「信用失墜行為は、勤務時間にかかわらず、個人の行為であっても該当する」と読み上げたことについて私は、「刑法に抵触することならばわかるが、ほかにどんなことが該当するのか」を訊いた。講師は、「こうむ(公務と校務のどちらか?)に悪影響を与える場合」であり、その判断は、「任命権者の裁量」だと言う。
具体例を求めたが答えてくれないので、「今日私たちの支援に集まった人たちの中に教員もいるでしょうが、この場合は信用失墜行為に該当しますか」と訊くと、「そうだ」と言う。後から「一般論」と付け加えたが、この講師の意識は「そうだ」にあるのだろう。聞きたいことがたくさんあるというのに、「時間です」と講師は引き上げてしまった。「よく読みたいのでその原稿を私にください」と今回もお願いしたが、くれなかった。
講義では今までと違い、免職についての言及があった。河原井さんにもなされたそうで、質問をしたかったが、できずじまい。
講師が引き上げた後、報告書の作成を命じられた。「応じようにも講義に対し質問がいっぱい、答えてもらわないと報告書は書けない」と申し出たが、担当者は「お書きください」を連呼する。仕方なく、レジュメを写して報告にした。所感は書き始めたら時間だと言われ、途中で提出をさせられた。12時20分退室。5時間休暇に入り、待っていてくれた人たちにお礼を述べ、報告をした。
4時からは、05年春の処分についての裁判があった。
5日(金)
「処分より対話を!都教委に『君が代』解雇をさせない!都庁前One dayアクション」の日。7時半に都庁前に着くともう、一人いらしていた。チラシまきを始める8時には30人以上の人がいらして、第一庁舎前と第二庁舎前とに別れ、マイクも2箇所で使って情宣、チラシまきをした。次々と参加者が増え、チラシは瞬く間になくなってしまった。
第一回目のリレートークと出し物を始める9時半には、90人の人になり、1日で総勢400人もの人が駆けつけてくださった。大阪、愛知、三重、宮城、茨城、長野、房総半島の最南端から参加してくださった人たち、仕事にいけば入る賃金を棒に振って参加してくださった人たち、「君が代不起立」をご覧になって遠くから来てくださった今日が初対面の人たち、そして、停職「出勤」で知り合った人たち。皆さん、「処分はおかしい!」と発信したことで関心を持ってくださった人ばかり。石川中の教え子であるNちゃん、Iちゃんも来てくれて発言をしてくれた。Hさんは、仕事で参加できなくて、と丁寧にメールをくれた。とってもうれしかった。
北九州で処分をされ闘っているココロ裁判の人たちは、ご自分たちの裁判の後にチラシまきをして東京の現状を地元の人たちに伝えてくださったり、大阪では、13日に集会を企画してくださったり、はたまた、私たちに呼応してアメリカ、フランス、カナダから連帯のメッセージ、決議や都教委への要請文が届けられた。サンフランシスコ、ロサンゼルスの日本領事館に抗議文を届け、行動してくださった人たちもいらっしゃる。
うれしい出会いがたくさんありました。歌や演奏、詩の朗読と気持ちが癒され、あるいは気持ちが高揚する場面もあり、担当してくださった方々に感謝です。
大勢が都教委の処分に怒っている、ということは都教委に伝わったはずです。
One dayアクション第二弾についてもこれから考えます。
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