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2007年10月18日14時34分掲載
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「軍事と人道・復興支援は切り離せ」 アフガン問題で日本国際ボランティアセンターが声明
政府は11月1日で期限が切れる「テロ対策特別措置法」に代わる「補給支援特措法案」を17日に閣議決定し、国会に提出した。一方、民主党は18日、イラクで多国籍軍の人員や物資を輸送している航空自衛隊を即時撤退させるための「イラク復興支援特措法廃止法案」を参院に提出、自衛隊派遣は民生安定に限定するべきだとする考え方を掲げている。こうした日本の動きは、対テロを掲げた“アメリカの戦争“にじゅうりんされたアフガニスタンの現実や、そこに暮らす人々の願いに応えるものなのか。アフガニスタン現地で医療支援などで長く活動を続けている日本のNGO「日本国際ボランティアセンター(JVC)は「アフガニスタンにおける対テロ戦争と日本の軍事支援の見直しを求める声明」を12日に発表。アフガニスタンの現実を踏まえて、「日本政府はいかなる形であろうと自衛隊による協力ではなく、包括的な和平に向けたイニシアシャティブをとるべき」と提言している。JVCによると、アフガニスタンやパキスタンの一部地域では紛争当事者による和平をめざした政治的対話が始まっており、国際社会はその動きこそ大切にすべきだと訴えている。(大野和興)
JVCがアフガンで活動を始めたのは、米軍による空爆が始まった翌年の2002年。活動はパキスタン国境に滞留していた難民への食料や医薬品の緊急支援からはじまった。ついで現地事務所を東部のジャジャラバードに置き、無医村や難民キャンプへの巡回診療活動や乳児の母親への栄養指導、さらに村の伝統産婆へのトレーニング、女子医療従事者養成など医療を中心に、アフガニスタンの人々の命を守る活動を続けてきている。
2006年秋まで現地代表として活動していたJVCの谷山博史代表は、5年間の活動経験をもとに、「アフガニスタンの治安は日々悪化、民衆の犠牲者は増える一方であり、対テロ戦争こそがアフガニスタン社会に『憎悪と報復の連鎖』を引き起こしている」と語っている。
その一方で、国際社会から見えないところで、平和構築に向けての動きが出ていることに注目したい、と谷山代表は語る。
「アフガニスタンとパキスタンのパシュトゥーン部族リーダ600人と両国の大統領が参加して8月9日から12日までピース・ジルガ(和平会議)が開催され、ターリバーンとの交渉を進めるべきとの声明が発表された。多国籍軍による民間人の犠牲が増大し、武装グループの勢力が急速に拡大するなか、アフガニスタンでは対テロ戦争の見直しを模索する動きが始まっている」
JVCの「声明」は、こうした現実を踏まえながら、次のように述べる。
「対テロ戦争はアフガニスタンに平和も安定ももたらしてはいません。『テロリスト掃討』と称する対テロ戦争による民間人の犠牲者は後を絶たず、アフガニスタン人の間にこの戦争に対する疑念と反発が高まっています」
「また対テロ戦争を任務とする連合軍と、治安支援を任務とする北大西洋条約機構(NATO)指揮下の国際治安支援部隊(ISAF)が統合されたことでISAFまでが対テロ戦争の当事者となってしまい、戦争の泥沼化に拍車をかけています。さらにISAF/NATO指揮下の人道復興支援部隊である地方復興支援チーム(PRT)の活動が人道復興支援と対テロ戦争との境界を失わせ、NGOや国連など援助機関による人道復興支援の実施を困難なものにしています」
軍隊が人道支援の名のもとに軍を動かすことで、NGOもまたその一翼とみなされ、攻撃や憎悪の対象になっているというのだ。
こうしたなかで、日本の立場はどうなのか。「声明」はアフガニスタンに地上軍を派遣していない日本政府の支援は、「アフガニスタンでは『中立』とみなされる傾向が強く、高い評価を得ています」という認識を示している。
しかし続けて、「これには、日本の自衛隊がインド洋で対テロ戦争支援のために給油を行なっている事実がアフガニスタンであまり知られていないという背景があります」と指摘、給油もまたアフガニスタンの人々から見れば、自分たちを攻撃する戦争への参加であることを、現場の視点から指摘する。
「声明」は、以上のような認識の下に、いま問われているのは、「戦争を終結させるための取り組みと、軍事と切り離し融和と安定を促進するものとしての人道・復興支援」であるとして、以下の五点を訴えている。
1)国際社会と日本政府はアフガニスタンで行われている対テロ戦争を見直し、敵対勢力やパキスタン、イランなど周辺国を含むすべての紛争当事者と包括的な和平のための協議を始めるべきです。
2)国際社会はすでにパキスタンやアフガニスタン一部地域で試みられた紛争当事者による休戦協定や和平協定の取り組みを検証し、このような取り組みが成果を積み重ね、和平の環境が地域から醸成されるよう支援すべきです。
3)日本政府は「テロ対策特別措置法」を継続せず、アフガニスタンにおいていかなる形であろうと自衛隊による協力ではなく上記包括的な和平に向けた政治的なイニシアティブを発揮するべきです。同時にNGOや国連、アフガニスタン行政と協力して地域の融和と安定を促進する復興支援にこれまで以上に力を入れて取り組むべきです。
4)国連、NATOおよび各国政府は対テロ戦争との境界が失われた現在のISAFの役割と活動を見直し、治安の側面支援という本来のミッションに戻すべきです。
5)NATO/ISAFおよび各国政府は、PRTによる復興支援活動を止め、PRTの役割をISAFの本来のミッションの枠内での治安支援活動に特化すべきです。
また、JVC「声明」は補足資料として、現在のアフガニスタンの情勢をどう見るか、そこでの外国軍がどう見られているか、などを現地で活動するNGOの視点から整理、対テロ戦争といわれるものが何を生み、どういう問題を引き起こしているかを具体的に分析している。
JVC「声明」と補足資料の全文は、以下のJVCホームページで見ることができる。
http://www.ngo-jvc.net/
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<書評>日本国際ボランティアセンター編『軍が平和をつくるんだって? アフガニスタンで起こっていること』 評者・小倉利丸
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村の伝統産婆さんが取り上げた赤ちゃん
谷山博史JVC代表





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