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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2008年03月03日11時30分掲載
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米国とは距離をおこう オバマ候補に真の「変革」を期待できるか? 落合栄一郎
先頃から、米国の帝国主義/好戦性の全体像をこの欄で略述した(日刊ベリタ2007.12.13、2008.01.08、2008.01.05)。日本は、現在アメリカの政治、軍事、経済的(その他の文化も含めて)影響を非常に強く受けており、少なくとも政治に携わる人々はそれを歓迎していて、日本はアメリカの実質的な属国となっている。もう一度、アメリカの問題点を考え直して、日本の皆さんにアメリカへの追随を止めてほしいと念願するものである。 加治康男氏はアメリカメデイアへの幻想を捨てよと言っておられる(日刊ベリタ2008.02.11)。アメリカ的文明は、遅かれ早かれ、地球文明から消滅せざるをえないものである。すなわち人類がこの先数世紀も生き延びたとすると、その人達はアメリカ的文明を完全にかなぐり捨てているはずである。そうしなければ、生き残れない。おそらくこれをかなぐり捨てるのが遅ければ、人類は生き残れないであろう(生物種としてはもう少し生き延びるかもしれないが)。それはここで論じない消費文明も包含しているが。
米国の基本的問題は、少数者(大企業とその投資家)の金儲けが最優先課題(退廃的資本主義)であり、そのためにはあらゆるものを犠牲にして顧みないこと、政府も立法府もその勢力に完全に屈服させられていることに起因する。すなわち多数の犠牲の上に少数が支配する構造である。この構造は、少数(彼ら自身ではなく労働者=消費者)が生産したモノを大多数の消費者が消費して(させられて)支えている。 理論的にはこの傾向が高じれば、少数エリートが依存する消費者が疲弊しきって消費できなくなり、従って少数エリートも共に崩壊せざるをえないことになる(落合、日刊ベリタ2007.04.12「利潤という利己的遺伝子」)。この一例は、最近のアメリカのサブプライムローンの焦げ付きに端を発した世界経済の破綻である。
さて利潤の最優先追求に起因するアメリカの外交政策・戦争政策は先に略述した(日刊ベリタ2007.12.13、2008.01.05、2008.01.08)ので繰り返さないが、先に取り上げなかった問題のいくつかと、現在アメリカの中で、まともに考えている人達の声を2、3お伝えしようと思う。
(1)アメリカ国内問題 まず企業のレベルで、ROE(資本家への利益率)のみが最大の関心事であることの影響(原丈人「文芸春秋」2007.11月号の記事参照)─リストラ、企業縮小その他あらゆる手段で、ROEを上げようとすることによって企業は疲弊,縮小するが、そういう手段をとったCEOは賞讃される─これとストックオプションを利用して、自分の懐を肥やすごろつきCEOが跋扈している。勿論企業の財政を粉飾して自分達の懐を肥やすという手段も用いられる─エンロン社やワールドコム社など。 利益率を上げる方法には他に安い労働力を使うことがあり、生産現場の海外移転や、アウトソーシングなど行なわれている。これによりアメリカ国民の高賃金雇用機会が減少した。アメリカでの雇用機会の増大は、低賃金のセクターが殆どである。結果は中流の消失と貧困の増大である。医療保険というものが、私企業によって行なわれているために、貧困層が保険を買えないとか、人の治療よりも保険会社の利益が優先されている。勿論予防医学は軽視される。 しかし、現在のアメリカでの最大の問題はアフガン、イラク戦争である。軍需産業が戦争遂行によりぼろ儲けするようにできてしまっていて、戦争の悪い面は主要なメデイアは報道しない。正常な精神・神経の持ち主の戦争反対の声は、メデイアや政治に反映されていない。
(2)対外問題 企業に邪魔な外国政権の武力による転覆の例やエコノミックヒットマンの活躍などによる財政援助の欺瞞による他国の属国化は前に記した(2008.01.05)が、世界支配(による利益拡大)の野望は政治経済分野に限らない。例えば、GM(遺伝子操作)作物の分野でアメリカの企業が世界中の農業を支配下におこうと試みている。 究極的な方法の一つは、作物の種をGMで、一度は成長するが、2度目には成長しないようなものにしてしまう。ということは、一旦この種を使うと、収穫の一部から種を残しておいて翌年にはそれを蒔くということが出来なくなって、毎年この企業の種を購入しなければならなくなる。こうしたGMの問題は、経済問題ばかりでなく、自然生物界の多様性の破壊などの根本的な問題でもある(この問題は別の機会に)。
さてアメリカの正常な意識を持つ人達の自国のこうした問題への困惑しきった声をいくつか紹介する。
(a)「アメリカが平和を愛する国」と思い込んでいる人もいるようだが、とんでもない(D.M.Green,AlterNet、2008.02.28)第2次大戦後にアメリカが介入した戦争には、朝鮮、ヴェトナム、ラオス、カンボジア、キューバ、ドミニカ、アフガニスタン、ガテマラ、ニカラガ、エルサルバドル、レバノン、グレナダ、パナマ、コロンビア、ソマリア、ボスニア、コソボ、イラク。これらには、CIAなどを通して政府転覆などを行なったものは含まれていない。 こんなに沢山の国と交戦した国は他にあるか?アメリカの軍事予算は、どの国のそれよりも大きいばかりでなく、アメリカ以外の全ての国の軍事予算の合計よりも大きいのである。この計算には、現在のアフガン、イラク戦での臨時支出は含まれていない。こんな国が平和を愛する国か?
(b)アメリカは建国の過程から、原住民のジェノサイドで始まった─こんなに好戦的なのは不思議じゃない。もしかしたら、原住民の怨霊がたたっているのかも(maxpayne,AlterNet2008.02.28)。
(c)「変革で不十分なら革命はいかが」(S。Robinson、AlterNet2008.02.22)この論者は、現在アメリカには革命が起る条件が整っている(フランス革命などを対象としている)と指摘している。革命という非常手段をとらなければアメリカは変わらないという懸念の表明である。
さて、現在、民主党候補の一人オバマ上院議員は、「変革」を旗印に、アメリカ人の多くに支持を得ている。民主党の候補に彼が選出される可能性は高い。また、先のベリタ記事(2008.02.07)にも指摘したような共和党の国民揺動作戦(うその中傷─もうすでに始まっている)にも国民が乗らず、狂信者による暗殺がないとして、アメリカが史上はじめての黒人大統領を選出するか、そして彼が、どの程度の「変革」を実現できるか、世界中の注目が集まっている。しかし、これまで述べて来た(日刊ベリタでの2007−2008の記事)ようなアメリカの問題を大統領一人で根本的に変えることはあまりにも困難なように思える。
日本は、こうしたアメリカにべったり追従するのではなく、日米安保なども解消して、距離をおいて冷静につき合って行くべきであろう。
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