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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2008年05月11日05時20分掲載
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オーストリア監禁事件 父の嘘を見抜いた医師
【ロンドン10日=小林恭子】オーストリアのアムシュテッテンで実の娘を24年間、自宅の地下室に監禁し、性的虐待を繰り返した上に子供まで産ませていたヨーゼフ・フリッチェル(73歳)の長年の嘘を明るみに出したのは、ある医師の行動がきっかけだった。現地から伝えた英「テレグラフ」紙などの報道を追った。
フリッチェルの監禁行為が世界中で報道されだしたのは先月26日だったが、その1週間前の19日、実の娘のエリザベス(42歳)との間にできた子供の一人、カースティン(19歳)が病気になり、病院に連れて行かざるを得なくなった。
フリッチェルは、エリザベスが「宗教集団に入るために、子供を捨てて家を出た」とする嘘を周囲に語ってきたが、カースティンの様子を地元の病院で診断したアルバート・ライター医師が、もしこれをそのまま信じていたら、エリザベスと3人の子供は現在でも地下に閉じ込められていたかもしれない。
ライター医師が「何かおかしい」と感じたのは、カースティンが祖父(カースティンは娘のエリザベスの間にできた子供なので実父にもなる)フリッチェルに連れられて病院にやってきた時だった。
意識不明状態になっていたカースティンに、すぐに救命治療が開始された。「祖父のフリッチェルは、カースティンを自宅のドアの前で見つけたと説明した。『カースティンの母親エリザベスは奇妙な宗教集団には入れ込んでおり、娘のカースティンを捨てた』、と言った」
「私はこの説明をした時のフリッチェルの声の調子にいやな感じがした。どこかおかしいように思った。特に変だと思ったのは、カースティンを助けるために私が聞いた質問に答えようとしない点だった」
カースティンにはほとんど歯がなく、衣服のポケットには母親からのメモがあった。「フリッチェルによれば、母親はカースティンのことを心配していないと言うが、メモを読めば、娘のことを非常に心配している母の様子が伝わってきた」
カースティンの様子がさらに悪化したので、医師は一人で母親を探すキャンペーンを始めることにした。
ライター医師はフリッチェルに連絡を取り、母親にどうしても会いたいと述べた。当初、乗り気ではなかったフリッチェルは、最後には協力することに合意した。医師は病院の広報部を通じて地元メディアに連絡をつけ、フリッチェルからエリザベスの昔の写真を入手した。この写真は地元メディアで一斉に報道された。掲載された記事の最後にはライター氏の個人の携帯電話の番号が連絡先として入っていた。地元テレビ局がこれを取り上げ、瀕死のカースティンの様子と消えた母親の昔の写真を画面上で見せた。
エリザベスと2人の子供はこの様子を地下室にあるテレビで見ていた。エリザベスがフリッチェルにどんなことを言って地上に出られるよう説得したのかは不明だが、フリッチェルは「自分を裏切らないこと」、つまり、エリザベスが宗教団体に入ったために子供たちを捨てたという作り話をばらさないことを条件に、エリザベスは地下室から出られることになった。
フリッチェルは医師に電話をし、これからエリザベスと病院に向かうことを告げたが、「面倒なことを起こすな。警察を呼ぶないように」と指示した。しかし、医師はすぐに警察当局に通報し、フリッチェルとエリザベスはまもなく逮捕された。エリザベスは父と別々にされてから初めて、24年間の身の上話を語りだしたと言う。
現在、フリッチェルは地元刑務所に殺人罪、レイプ罪などの容疑で拘束されている。
アムシュテッテンには世界中から報道陣や観光客が殺到し、エリザベスと地下で生活してきた子供たちが収容されている施設にもパパラッチが詰め掛けている。「ジャーナリスト、お断り」という貼り紙が施設の外壁に出されていると言う。
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