・読者登録
・団体購読のご案内
・「編集委員会会員」を募集
橋本勝21世紀風刺絵日記
記事スタイル
・コラム
・みる・よむ・きく
・インタビュー
・解説
・こぼれ話
特集
・教育
・文化
・アジア
・国際
・入管
・中国
・市民活動
・米国
・欧州
・みる・よむ・きく
・核・原子力
・検証・メディア
・反戦・平和
・外国人労働者
・司法
・国際
・農と食
・イスラエル/パレスチナ
・市民活動告知板
・人権/反差別/司法
・沖縄/日米安保
・難民
・医療/健康
・環境
・中東
提携・契約メディア
・AIニュース
・司法
・マニラ新聞
・TUP速報
・じゃかるた新聞
・Agence Global
・Japan Focus
・Foreign Policy In Focus
・星日報
Time Line
・2024年11月21日
・2024年11月20日
・2024年11月18日
・2024年11月17日
・2024年11月16日
・2024年11月15日
・2024年11月14日
・2024年11月13日
・2024年11月12日
・2024年11月11日
|
|
2008年06月17日03時28分掲載
無料記事
印刷用
橋本勝21世紀風刺画日記
第104回:ダガーナイフを自らの脳に突き刺すしかなかった君よ
秋葉原の歩行者天国で7人の人を殺害した君よ。自分は負け組みしかないというコンプレックスからの怒りと絶望を社会へぶつけるがごとく、トラックとダガーナイフを使い、無差別殺人を実行した君。大量殺人を行うのに特別な訓練も技術も必要ない。そう君は、兵士でもなければ、格闘術の心得があるわけでもない、ごく普通の若者にすぎない。
犯行時間はたった2分間あまりだったという、結局、死刑台でその人生を終えるしかない君よ。その2分間で25年間の人生を無にしてしまった君。人間を殺すというのは簡単なことさ!と証明みせた君。この社会に絶望し、未来に希望をもてない者たちよ、わたしに続けとでも、君は言うのだろうか。だがどんなに簡単に人を殺せるとしても、内心に燃えたぎる怒りがあろうと、「人間はなぜ人間を殺してはいけないのか?」という愚問を発するまでもなく、多くの人は、殺人を実行したりしない。それは死刑になるのが怖いからということでもない。損、得で考えても、殺人なんか損なだけという健全な常識があるからだ。それに君と違って他者の命を奪うことへのごく自然な嫌悪感があるからだ。
そして格差社会や、不安定な派遣社員の身分におとしめつづける、社会への激しい怒りも決して君みたいに、無差別殺人を計画、実行するといった愚かで、非人間的なことに向かったりしない。
君の幸福の尺度を当てはめると、ほとんどの人は不幸になってしまう。夢や希望を実現できないのが大部分の人の人生、多くの人が憧れる職業は競争が激しく、それになれる人は限られている。負けたり、挫折したり、断念したりというのがほとんどの人の現実である。それでも人は生きていく。「社会が悪い」「会社が悪い」「家庭が悪い」と君は人のせいにするが、本当は自分が悪いということを薄々感じていたのではないか。「顔が悪い」なんてことが君の不幸の原因なんかではない、人生の挫折や失敗と折り合いをつけられない自分の生き方の下手くそさ、恨みっぽくていじけた自分の性格をイヤだと思っていても直せない、そんな自分のことを分っていたのではないか。悲観と落胆の袋小路に入り込み、抜け出せなくなった君、その手にした絶望というダガーナイフで、自分の脳を突き刺すしかなかったのだ。(橋本勝)
|
転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
|
|
|