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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2008年07月13日11時25分掲載
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G8
気候変動対策を名目に原子力促進 G8首脳の発表にNGOが抗議声明
北海道洞爺湖G8サミットで採用された「3Sに立脚した原子力エネルギー基盤整備に関する国際イニシアティブ」をめぐり、ピースボートとグリーンピース・ジャパンは共同で声明を発表した。7月8日、国際メディアセンター(IMC)で記者会見を行ない、「原子力は地球温暖化対策として役に立たない。原子力の平和的利用と核不拡散および軍縮を推進するのは矛盾している」と訴え、原子力に依存しない温暖化対策とエネルギー安全保障を構築し、G8はその主導的役割をはたすよう求めた。(木村嘉代子)
8日に発表された「環境・気候変動」に関する成果文書には、「気候変動とエネルギー安全保障上の懸念に取り組むための手段として、原子力計画への関心を示す国が増大していることを目の当たりにしている」とあり、各国に原子力の建設を促すような記述がある。
これに対し、グリーンピース・ジャパンの鈴木真奈美さんは、次のように説明する。 「日本やフランスは、国内での原子力建設が頭打ちになっているため、国策として推進してきた原子力の衰退を防ごうと、海外への輸出に生き残りをかけている。気候変動対策という名目で、原子力ルネッサンスと称し、これまで原子力を導入していない、または、原発をあらたに建てることができなかった国々での巻き返しをはかりたいのだ。
日本やフランス、米国は、グリーン開発メカニズム(CDM 先進国が途上国に温暖化対策に役立つ技術を輸出した場合、それによって削減されたCO2や他の温室効果ガスの分が自国の削減分として認めるというメカニズムで、ヨーロッパの強い反対により原子力は含まれない)の対象に原子力を加えるよう、国際的な場で交渉をすすめている。
しかし、原子力は気候変動対策として役に立たない。今後10〜15年間に、温室効果ガスの排出を具体的に下げなければならないのだが、原子力発電は、建設計画から実際の運転開始までに、先進国でさえ少なくとも10年かかるといわれている。発展途上国であれば、インフラから整備しなければならず、最低でも15年はかかるだろう。
さらに、国際エネルギー機関の研究などによると、温暖化対策として効力を発揮するには、世界中に少なくとも700基ほどの原発が必要だといわれている。700基の原発を、これから10〜15年の間に建てるのは不可能だ。それに費やす時間とコストを、風力発電や太陽熱発電といった自然エネルギーの技術に投じたほうが、現実的な温暖化対策につながる」
また、地球温暖化対策としての原子力の平和的利用をうたいながらも、「保障措置(核不拡散)、原子力安全、核セキュリティ(以下3S)が根本原則」とし、「3Sに立脚した原子力エネルギー基盤整備に関する国際イニシアティブ」を開始すると述べられていることについて、ピースボート共同代表でG8サミットNGOフォーラム人権・平和ユニット・リーダーの川崎哲さんは、核不拡散の面からこう語った。
「このサミットでは、イランと北朝鮮の核兵器問題が焦点となっている。この両国の核放棄を盛り込みながら、原子力を推進するのは、大きな矛盾である。北朝鮮もイランも、核兵器の開発が最初からあったわけではなく、平和的な原子力利用の権利という主張のなかで行ってきた。濃縮や再処理といった核燃料にかかわる技術は、その延長線上に、核兵器の原料の製造が控えている。こうした最もセンシティブな部分について、国際的な規定が必要だという議論がずっとあった。今回の3Sの国際イニシアティブでは、核兵器につながる危険な技術に対する規定の具体的な道筋がなく、それなのに原子力を地球温暖化対策として推進しようとしている。
2つめの問題はインドだ。インドは核兵器不拡散条約(NPT)に加盟していないため、普通なら核設備の輸出や輸入は認められない。ところが、ブッシュ大統領は、特例でインドに原子力の協力を認める方向で、現在、国際原子力機関(IAEA)や国際原子力協議グループ、米国議会の最終争議を待っているという段階だ。3Sでは「原子力整備には保障措置(核不拡散)が原則」とうたっていても、インドの保障措置は非常に甘い。つまり、インドは、核兵器製造も原発建設も可能という、通常のエネルギー対策では承認されないこともできる事態になりかねない。
3点目は、核兵器製造や拡散につながらない新しい技術が、現実にはまったく科学的には立証されていないことがあげられる。核兵器につながらない新技術と明確に証明されないまま、原子力の推進だけが一人歩きをしている。
核不拡散を強化しつつ、原発を推進すると言うのは大きな矛盾であり、むしろ、核不拡散体制を強化しつつ、自然エネルギーおよび再生可能なエネルギーの道に転じるべきだ。本来進むべき道から逸れているといわざるをえない。
さらに、「このイニシアティブの下では、IAEAの活動と協力して又はIAEAの活動の補完として」という部分に懸念を抱く。任意の有志連合のようなG8が勝手に作ったものにより、非常に厳しい基準を有するIAEAの役割が相対的に薄められてしまうのではないか。IAEAの規定がすべてではない、と最近言われはじめている。3Sの国際イニシアティブがどのように展開していくかわからないが、IAEAの規定をはずしてはならない。はずせば、不拡散体制がどんどん崩れていくだろう」。
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ピースボート共同代表の川崎哲さん(左)とグリーンピース・ジャパンの鈴木真奈美さん
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