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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2008年09月08日01時17分掲載
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時事英語一口メモ
【49】Splittistと人面獣心
<A href="http://jijieigo.at.webry.info/200804/article_58.html" target="_blank">ブログ版</A>
中国当局はチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマを「分裂主義者」と呼んでいるが、中国のメディアはこれを英語ではsplittistと訳していることが多い。しかし、splittistという言葉は中国製英語である。Splittistという言葉は、チベットやウイグルの少数民族や台湾をめぐる問題に対して使われているが、中国がこの言葉を使い出したのは、1960年代の国際共産主義運動をめぐる対立のさいであった。この言葉はpejorativeな意味が込められている。(鳥居英晴)
Splittist, splittismという表現については、ウィリアム・サファイアーがニューヨーク・タイムズ紙の連載コラムOn Language(4月27日)でとり上げている。
“Beijing’s communist rulers,” noted The Washington Post’s editorial page, kept resolutely independent by the editor-columnist Fred Hiatt, “have been brushing off Olympics-related protests” as “the work of Western extremists or ‘splittists’ such as the Dalai Lama.” Charles Hopkins of Chicago writes: “I cannot find the words splittist or splittism in my dictionary. Where did these words come from? Why are they used only for Chinese separatists? What is wrong with the word separatist?”
(ワシントン・ポスト紙の社説は「北京の共産主義支配者は、五輪に関係した抗議を“西側過激派”とか“ダライ・ラマなどのsplittists”の仕業とはねつけている」と述べた。シカゴのチャールズ・ホプキンスは「splittist やsplittismという単語はわたしの辞書では見つけることができない。これらの言葉はどこからきたのか。なぜこれらは中国の分裂主義者だけに使われるのか。separatistという言葉で何か問題があるか」と書いている)
Nothing wrong with separatist (or the churchly schismaticist), but not even linguistic dissenters can object to a synonym with a history. Back in 1962, Britain’s Guardian newspaper reported that “that dread word, ‘Splittism,’ which has never before darkened a page of the Sino-Soviet polemic, broke through to the surface of the Peking ‘People’s Daily’ in the first open discussion of a possibility of a split.” The New China News Agency chose that English word in translating fen lie zhu yi, based on fen li, “to tear up,” as taken from Marxist discourse.
(separatist、教会的にはschismaticistで何ら問題がない。だが、言語学的反対者でさえ、歴史を持った同義語に反対することはできない。1962年、英国のガーディアン紙は「これまで中ソ論争のページを暗くすることはなかった恐ろしい言葉、splittismが北京の人民日報の表面にでてきた。それは、分裂する可能性がある最初の公開議論であった」と報じた。新華社は分裂主義を英語に翻訳するのに、マルクス主義の言説からその英語の言葉を選んだ)
1956年のフルシチョフのスターリン批判、平和共存路線の提起に対して、中国共産党が激しく抵抗し対立、「中ソ論争」が始まった。1960年代には対立が表面化し、論争は:激化した。中国共産党はソ連共産党指導者を「修正主義者」(revisionist)「分裂主義者」と呼んだ。
Fen lie, with China’s official translation of “splittism,” has long been a hot-button word in Chinese communist terminology, and not just directed against Tibetans objecting to the ravishing of their culture. (Though derided in Beijing as a splittist, the Dalai Lama advocates autonomy within China, not separation.) Three years ago, China’s congress adopted an antisecession law threatening to use military force against Taiwan if it declared independence, using fen lie for secession, or splittism. Why two t’s? Apparently, we slavishly followed the Chinese propaganda agency’s English spelling.
(中国の公式翻訳ではsplittismとなっている分裂は、中国共産主義用語では激しい議論を引き起こす言葉であった。文化を奪われることに反対しているチベット人だけに向けられたものではなかった。北京では分裂主義者としてあざけられているが、ダライ・ラマは分離ではなく、中国内の自治を求めている。3年前、中国の議会は、台湾が独立を宣言すれば、武力の使用も辞さないとした反国家分裂法を採択した。なぜ2tがあるのか。明らかに、われわれは中国の宣伝機関の英語のつづりを盲従的に従った)
The Oxford American College Dictionary はsplittismについて、 (among communists, or in communist countries) the pursuance of factional interests in opposition to official Communist Party policy.(共産主義者や共産国で、公式の共産党の方針に反して、派閥の利益を追求すること)としている。北朝鮮のKCNAもsplittistという言葉を“the moves of the splittist forces to bar the reunification of the country”(祖国の統一を妨害する分裂主義者の動き)などのように使っている。
チベット問題では、文革時代を彷彿させるレトリックが復活した。達頼集団(Dalai clique)などという表現もそうである。文革時代には「資本主義の道を歩む者」という意味の走資派(capitalist roader)、手先の意味の走狗(running dog)など奇妙な英語の表現があふれた。Running dogについては、Wikipediaには、“Running Dog is a literal translation into English of the Chinese/Korean/Communist insult 'Zou Gou', meaning lackey. Its first recorded use in English was in 1937.”(running dogは中国・朝鮮・共産主義者の侮辱的言葉の走狗、追従者の英語の直訳である。記録されている最初の使用は1937年)とある。
張慶黎・チベット自治区共産党委員会書記は3月19日、「达赖是一只披着袈裟的豺狼、人面兽心的恶魔」(ダライは袈裟を着たオオカミ、人面獣心の悪魔だ)と述べた。APはこれを、"The Dalai is a wolf in monk's robes, a devil with a human face but the heart of a beast."と訳している。
英紙フィナンシャル・タイムズで Gideon Rachmanはコラム(3月31日)で次のように述べている。
China wants the world to celebrate its emergence as a modern, pragmatic and dynamic country. But at moments of stress – or when neuralgic subjects such as Tibet and Taiwan are raised – the Chinese can revert to the worst rhetoric of the Cultural Revolution. What is the rest of the world meant to make of the statement that the Dalai Lama is a “monster with a human face and an animal’s heart”? This crude and inflexible language reflects crude and inflexible policies on Taiwan and Tibet – dependent on the threat of military force.
(中国は自国が近代的、現実的、ダイナミックな国として出現したことを、世界が祝福してほしいと思っている。しかし、緊張が生ずると、例えばチベットや台湾といった神経が触る問題が生ずると、中国は文化大革命のころの最悪なレトリックに戻りかねない。たとえば、ダライ・ラマは「人面獣心だ」などという発言を、世界はどう理解すればいいのか? こうした粗野で柔軟性のない物言いは、軍事力の脅しに頼る粗野で柔軟性のない台湾やチベットに関する政策を反映している)
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