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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2008年09月08日01時30分掲載
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時事英語一口メモ
【52】グルジア紛争とrevisionism、revanchism
<A href="http://jijieigo.at.webry.info/200809/article_1.html" target="_blank">ブログ版</A>
グルジアへのロシアの軍事介入をめぐって、ロシアと欧米の対立が深まり、「新冷戦」の到来という見方も出ている。ロシアを非難するのに使われている言葉には、expansionism(拡張主義)、 imperialism(帝国主義)、revanchism(失地回復主義)、revisionism(修正主義)などがある。分かりづらい言葉が revisionismである。かつて中国がソ連を非難するために投げつけた言葉でもある。(鳥居英晴)
エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国とポーランドの大統領が8月9日、グルジア紛争に関してロシアを非難した共同声明の中にこの言葉がある。
The EU and NATO must take the initiative and stand-up against the spread of imperialist and revisionist policy in the East of Europe. New international peacekeeping forces should be created as the current setting proved to be ineffective.
(欧州連合とNATOは、欧州の東部での帝国主義的・修正主義的政策の拡大に反対するため、率先し、立ち上がらなくてはならない。現在の平和維持部隊は役に立たないので、新しい国際的な部隊が作られるべきである)
ウェブスターはrevisionismを次のように定義している。
1 : a movement in revolutionary Marxian socialism favoring an evolutionary rather than a revolutionary spirit(革命的マルクス社会主義での、革命的精神より斬新的な精神を支持する運動) 2 : advocacy of revision (as of a doctrine or policy or in historical analysis) (教義や政策、歴史的分析の修正を主張すること)
1の意味では、revisionismは社会主義内でterm of abuse、 pejorative term(侮蔑的用語)として使われてきた。19世紀末、暴力革命を否定したエドアルド・ベルンシュタインやカール・カウツキーらを指すものとし使われた。この言葉は1960年代、中ソ対立で復活した。中国はソ連、ユーゴスラビアを「現代修正主義集団」と呼び、フルシチョフ、チトーらを「修正主義者」と呼んだ。文化大革命では、劉少奇は「中国最大の修正主義者」「中国のフルシチョフ」と非難された。
Wikipediaでは2の意味について、次のような分類をしている。
Fictional revisionism, the retelling of a story with substantial alterations in character or environment, to "revise" the view shown in the original work(フィクション修正主義、原作での見方を修正し、登場人物や状況を大幅に変えた改作)
Historical revisionism, the critical re-examination of historical facts(歴史修正主義、歴史的事実を批判的に再検討すること)
Historical revisionism (negationism), a particular form of historical revisionism concerned with the denial of facts accepted by mainstream historians(歴史的犯罪を否定する歴史修正主義、主流の歴史家から受けいれられている事実の否定に関わる特別の形の歴史修正主義) ホロコーストの否定や日本の戦争犯罪についてdownplay(控え目に言う)、whitewash(ごまかす)しようとする歴史教科書の例が挙げられている。
Revisionist Zionism, a nationalist faction within the Zionist movement(修正主義シオニズム、シオニスト運動の中の民族主義派)ウラジミール・ジャボチンスキーが設立。
Territorial revisionism, euphemism for revanchism or irredentism, the desire to recover the territory of a nation lost in war(領土の修正主義、敗戦国の領土回復の願望、失地回復主義、領土回復主義の婉曲語法)
ロシアの行動がrevisionismとして非難されているのは、revanchism、irredentismの婉曲表現としての territorial revisionismである。ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、ウィリアム・サファイアーがLanguageのコラム(8月29日)で、 revanchismとirredentismに触れている。
Revanchism, a 1926 coinage about Germany rooted in the French for “revenge,” means “seeking reprisal or vengeance”; it was long used by Russians against NATO expansion and recently directed at the Kremlin in the McCain mutiny against accommodationists.
(Revanchism,は“revenge報復”にあたるフランス語に語源があり、ドイツについて1926年に造語された。報復、復讐を意味する。ロシアがNATOの拡大に反対するのに長く使われていた。最近は、和解派に対するマケインの反乱の中で、クレムリンに向けて使われている)
Irredentism, from the Italian irredenta, “unredeemed,” popularized in 1914, means “seeking the recovery of a region ethnically or historically part of one country but now a part of or occupied by another.”
(Irredentismはイタリア語のirredenta、“unredeemed償われていない”からきたもので、1914年に広まった。「民族的ないし歴史的にその国の一部であった地域で、現在は他国の一部になっていたり、占領されている地域の回復を求めること」)
サファイアーは4月13日のコラムでも、この言葉を取りあげている。
Revanche is French for "revenge." Its first appearance in English came in an 1858 letter from Queen Victoria, but, as an ist, it blossomed as a word meaning "one seeking vengeance or reprisal" after World War II.
(Revancheは"revenge"のフランス語。英語にはビクトリア女王の1858年の手紙に最初にistとして現れた。第2次世界大戦後に報復、復讐を求める意味の言葉として盛んに使われた)
Revanchist was used by the Soviets to derogate West German democrats like Konrad Adenauer who dreamed of unifying Germany and ending Russian domination of Eastern Europe.
(Revanchistは、ドイツを統一し、ロシアによる東欧の支配をやめさせることを夢見ていたコンラート・アデナウアーのような西ドイツの民主主義者の名声を傷つけるために、ソ連が使った)
The diplomatic word's direction, though not its meaning, was turned around last month by Senator John McCain in a profound speech to the Los Angeles World Affairs Council that followed his trip to the Middle East and Europe. Among the things on which the future of the trans-Atlantic relationship lies, the presumed Republican nominee said, was "addressing the dangers posed by a revanchist Russia."
(外交用語の意味ではなく方向が、先月、ジョン・マケイン上院議員のロサンゼルス世界事情評議会での高尚な演説で転換した。その演説は、中東、欧州旅行の後に行われた。大西洋をはさんだ関係の将来がかかわることの中には、「失地回復主義のロシアがもたらす危険に対処すること」があると語った)
Revanchist Russia is not only aptly alliterative, it also uses a favorite Communist derogation to call Moscow's autocrats to account for their bullying of independent Ukraine and Georgia, former Soviet vassal states now hopeful of joining NATO. McCain could have chosen a synonym, irredentist, rooted in Italian for "unredeemed," but that word always sets State Department teeth on edge.
(Revanchist Russiaは適切に頭韻を踏むでいるばかりでなく、モスクワの独裁者が旧ソ連の属国で、現在はNATOに加盟したいと思っている、独立したウクライナとグルジアをいじめていることに対して、共産主義者のお気に入りの中傷を使っている。マケインは同義語の irredentistを選ぶこともできた。それはイタリア語の“償われていない”に語源があるもので、その言葉は国務省をいつもイライラさせる)
Revisionist state(修正主義国家)に対比されるのが、status-quo state(現状維持国家)である。
レバノンのデイリー・スター紙に載ったフランス国際関係研究所副所長のドミニク・モイジのRussia is behaving like a revisionist imperialist power in Georgia(ロシアはグルジアで修正主義的帝国主義者のように振舞っている)と題する評論(8月29日)は、次のように述べている。
The current crisis in the Caucasus does not mark the return of the Cold War, nor is it likely to mark the start of open warfare between Russia and the West; it is, more simply, the return of the traditional imperialism practiced by the Russian Empire more than a century ago.
(コーカサスでの現在の危機は冷戦の回帰を示すものでもないし、ロシアと西側との間で戦闘状態が始まることを示すことでもなさそうである。それは単なる、1世紀以上前のロシア帝国による伝統的帝国主義の回帰である)
China is, with the exception of Tibet, a satisfied and confident status-quo empire. Russia by contrast is a revisionist imperialist power, whose lack of self-confidence is returning to haunt the world.
(チベットを除いて、中国は満足し、自信を持った現状維持の帝国である。対照的に、ロシアは修正主義的帝国主義パワーであり、その自信の欠如が世界をまた悩ませ始めている)
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